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タイミー⑨|アラフィフが憧れの雑貨店に挑戦。初めて企業にBad評価を付けた日

自分に合う働き方を、もっと探してみたい。

前回の品出しタイミーを終えたあと、
少しだけ前向きな気持ちになっていました。


いつもは、
できそうな仕事」を選ぶ私。

でも今回は、
憧れの仕事」に挑戦してみようと思いました。


いつか働いてみたいと思っていた、
おしゃれな生活雑貨店。

ちょうど近くの店舗の募集が
出たばかりでした。

いつも店員さんも親切だし、
きっと安心して働けるはず…


そう思った私は、
人生で初めて憧れの生活雑貨店のタイミー
挑戦してみることにしました。


これは私が45歳から“100の人生初”に挑戦している
ミケチャレ未経験チャレンジ』シリーズの第40弾。

心配性考えすぎてしまう私が、
勇気を出して一歩踏み出すリアルな体験談です。




そこは、
誰もが知る有名なお店。

シンプルな商品に、整った売場。

こんな場所で働いてみたい。

昔から、少し憧れを持っていたお店です。


仕事内容は、
こう書かれていました。

・セルフレジ操作フォロー(研修あり)
・商品メンテナンス
・試着室対応
・掃除

3時間だけの勤務でした。


今回指定されたのは、
「無地のシャツ」と「シンプルな色のスラックス」。

無地のシャツって、襟付き?
ロンTでもいいの?

さくを

曖昧な指示に悩んだ末、
“白い襟付きブラウス”を着ることにしました。

いちばん無難で、
いちばん失礼がないと思ったからです。

でも家にあったのは、
つるつるした光沢のある一枚。

テカテカのブラウスに、
黒のスラックス。

どこか「ホテルの宴会スタッフ」のような格好に、
少しだけ違和感を覚えながら家を出ました。



第1号という現実


今回の職場は、
ショッピングセンターの一角にある店舗でした。

お店に到着すると、
店内はたくさんのお客様でごった返していました。

ザワザワした空気の中、
レジからは「次の方どうぞ!」という声が響きます。

数か月に一度あるセールの日、
それも土曜日でした。


私は、店に着いたものの、
バックヤードへの入り口が分からずウロウロ。

どの店員さんも忙しそうで、
なかなか声がかけられません。

キョロキョロしていると、
ちょうど店員さんが近くを通りかかりました。


「タイミーから来た〇〇です…」

すかさず声をかけます。

「え?……タイミー???」
「ちょ、ちょっとお待ちください。」

そう言って、
店員さんはどこかへ行ってしまいました。


その場で突っ立って待っていると、
お客さんが不思議そうにこちらを見てきます。

その視線が気になった私は、
商品を見ているふりをして待つこと5分。


──まだ、誰も来ません。


始業時間が迫り、
チェックインできなければ遅刻になってしまう。

焦り始めた頃、
別の店員さんが通りかかりました。


「タイミーから来た〇〇です!」

「ここで待ってと言われたんですが、
もう始業時間が迫っていて…」

でもなぜか、
その人も「?」な表情。

とりあえずバックヤードへ案内してもらうと、
中には店長さんがいました。


30代後半くらいの、
ぽっちゃりした男性。

額からは、
滝のような汗が流れています。

「タイミーから来ました〇〇です。」
このセリフを言うのは、もう3回目。

時計を見た店長さんが、
ハッとして言います。

「あ、タイミーさんですね。」

やっと認識してもらえたことにホッとしました。

チェックインも間に合い、
ようやく落ち着いて仕事ができそうです


ただ、私はひとつだけ、
気になっていたことがありました。

募集を見た時に、
企業レビューがゼロだったことです。

つまり私は、
この店舗で働くタイミー「第1号」。

その意味を、
まだこの時の私は知りませんでした。



“まずは掃除”から始まった


普段の生活では、
決して見ることのないバックヤード。

パソコン作業用のデスクや、
積み上げられた商品の在庫。

何をやるんだろう…

おしゃれな職場で働く緊張と、
少しだけワクワクする気持ちがありました。


すると、
汗だくの店長さんが言いました。

「まずは掃除をお願いします。」

……掃除か。

正直、少しだけ拍子抜けしました。

売り場の一員として働けるものだと、
勝手に期待していたからです。


でも仕事内容の一番下に、
「掃除」と書かれていたことを思い出します。

まあ、仕方ない。

「わかりました」と返事をして、
教えられた通りにモップがけを始めました。



居場所がないという感覚


お客さんでごった返す店内。

肩幅の2倍くらいあるモップを引きずり、
人ごみの中を進むのは至難の業。

なるべくお客様の邪魔にならないよう、
すき間を縫うように動きます。

ラックの下や、
かがまないと届かない隅まで、
端から端まで丁寧にモップをかけました。

気づけば40分ほど経っていました。

モップには、
これでもか!というほどの埃。

少しだけ、
役に立てているような気がしました。



バックヤードに戻り、
掃除が終わったことを伝えました。

すると店長さんは、
少し驚いた顔で言いました。

「え、もう終わったの?
あと1時間やってもらえる?」

え?あと1時間?
もう掃除するところないけど…

もしかしたら、
私のやり方が足りなかったのかな…

そう思い、
もう一度店内に戻りました。



その途中で、
お客さんに声をかけられました。

「パスポートケースはありますか?」

私は、旅行関係のコーナーを探してみましたが、
見つけられませんでした。

店内の店員さんは、
みんな忙しそうで声をかけづらい。

裏にいた人なら…と思い、
バックヤードへ走り尋ねました。

「手が離せないから、店内の人に聞いてもらえる?」

困ったような表情でそう言われ、
私はまた店内へ戻ります。


今度は、
レジ付近にいた店員さんに尋ねると、

「あそこのトラベルコーナーにあるから。」

少しぶっきらぼうに指をさすだけ。

そこには無かったけどな…
でも、私が見落としているのかもしれない。

そう思って、もう一度探しました。

でも、やっぱり見つからない。


また同じ店員さんに聞こうとしたものの、
さっきの冷たい反応が頭をよぎる。

私には、声をかける勇気が出ませんでした。

その後、
別の店員さんを探して聞いたけれど、
パスポートケースは売り切れ。

お客様を長く待たせてしまったことに、
ただ申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

それでも、気を取り直して、
またモップがけに戻りました。



私は“掃除の人”だった


すると今度は、
小さな女の子が声をかけてきました。

お母さんに頼まれたのか、
探している商品の場所を聞いてきたのです。

答えようと振り返った瞬間、
女の子が言いました。

「あ、お母さん!この人、お店の人じゃないよ!」

………。

私は言葉を失いました。


みんなが首から下げている
赤いストラップの名札。

それを、私はもらっていません。

そして着ているのは、
テカテカの白いブラウスに黒いズボン。

売り場に立っているのに、
お店の人だとも思われていない。

どこにも属していない、
ただの掃除の人でした。

そうか。
私、浮いてるんだ…

そう気づいた瞬間、
なんだかとても虚しくなりました。

そして、
急に居心地が悪くなりました。

知り合いに見られたら嫌だな…

そんなことが頭をよぎり、
人目を避けるように
下を向いて掃除を続けました。



やっと1時間が過ぎました。

こんなにも時間が長く感じたのは、
初めてかもしれません。


私はバックヤードに戻り、
掃除が終わったことを伝えました。

すると店長は忙しそうに言いました。

「あー、終わりまでモップかけといて。」

……え?終わりまで?
あと1時間以上あるけど?

戸惑う私に、
店長はハンディモップを差し出しました。

「棚のほこり取りでもいいよ。」

私はなんとか気持ちを立て直し
もう一度売り場へ向かいました。


でも、
棚の上や商品の上には、
ほとんど埃はありませんでした。

それでも「あと1時間…」と思いながら、
汚れを探し続けました。



その後もお客様に声をかけられ、
店員さんに引き継ぐことが何度もありました。

けれど、誰もがピリピリしていて、
声をかけるたびに「誰?」という視線が向けられる。

そのたびに、
イライラしている空気が伝わってきました。


心が折れそうになりながらも、

大丈夫。
私は、間違ったことはしていない。

そう言い聞かせながら、
残りの時間をやり過ごしました。



あふれ出た感情


やっと終業時間になり、
お礼を言ってお店を出ました。

「ありがとうございました。」

そう声に出したけれど、
誰からも返事はありませんでした。


とぼとぼと車に戻り、
シートに座った瞬間、
なぜか涙がこぼれました。

緊張がほどけたからなのか、
それとも、
ずっと我慢していたからなのか…

私はただ、
仕事をしに来ただけなのに…

人手が足りない場所で、
少しでも役に立てたらと思っていました。

でもそこに、
私の居場所はありませんでした


もう少し、
仲間として迎え入れてほしかった…

そんな気持ちが、
涙と共にあふれ出ました。


タイミーって、何のためにいるんだろう…

薄暗くなっていく車の中で、
ぼんやりとそんなことを考えていました。



「評価する側」になる怖さ


車を出す気力がなくて、
エンジンもかけずにしばらく座っていました。

なんだか複雑な気持ちのまま、
もう一度募集ページを開いてみます。


レビューのない店舗。
慣れていない現場。

───そうか、
私が「第1号」だったんだっけ。


店舗を評価する画面を前に、
指が止まりました。

GoodかBadか、
どちらかを選ばなければいけません。


Badを付けたら、
自分の評価も下げられるかもしれない。

それが怖くて、
私はこれまでGoodしか押したことがありませんでした。


でも今回は、
それでは終われない気がしました。


嫌な思いをしたからじゃない。

次に入る誰かが、
同じ気持ちにならないように。


私たちは、ただの「人手」じゃなく、
一緒に働く人間なんだと気づいてほしかった。


しばらく画面を見つめたあと、
私は決めました。

Badを押そう。


コメント欄には、
書きたいことが山ほどありました。

でも、文句にはしたくありませんでした。

書いては消し、書いては消し。
どうしてもうまい言葉が見つかりません。

「もう少し、チームの一員として扱ってほしかった。」

そう書いて、
私はそっとBadを押しました。



私だけじゃなかった


企業からの評価が返ってくるまで、
落ち着かない日が続きました。

本当に、Badを押してよかったのかな…

時間が経つほど、
不安がじわじわと広がっていきました。


そういえば、
私のあとにも数日間、
タイミーの募集が出ていたことを思い出しました。

あの現場を、
他の人はどう感じたんだろう。

急に、
他の人の評価が気になって仕方なくなりました。



数日後、
企業から評価が届きました。

ドキドキしてページを開きます。

評価は、──Good。

思わず、ホッと胸をなでおろしました。


次に、店舗の評価欄を開いて、
他のタイミーのレビューを確認します。

評価は3件
Good率67%

……Badを付けていたのは、私だけでした。


やっぱり私が間違っていたのかな…

そんな思いが、頭をよぎりました。


けれど、
レビューを読み進めていくと──

ひとりは「ありがとうございました」
という短いコメント。

もうひとりは、とても長い文章でした。

「聞いただけなのに嫌な顔をされた」
「お客様を待たせて心苦しかった」
「理不尽な怒りをぶつけないでほしい」

そこには、
私が感じたことと同じ気持ちが
書かれていました。

私だけじゃなかった。

それだけで、
少し心が軽くなりました。



✨自分の感覚を大切にしたい


企業のイメージに、
勝手に憧れて応募したタイミー。

でも私は、
初めて企業にBadの評価を付けた。

最初は、
「こんなことしていいのかな」
と何度も迷った。

今まで評価されることはあっても、
自分から悪い評価を付けることはなかったから。



思えば私はこれまで、
ずっと「評価される側」として働いてきた。


どうしたら選ばれるか。
どうしたら迷惑をかけないか。


相手の顔色を見て、
相手の期待に応えようと頑張ってきた。


嫌われたくない。
波風立てたくない。


自分の気持ちを抑え込み、
相手に合わせることを優先してきた。



だから、
誰かを評価する立場になることが、
こんなにも怖いとは思わなかった。


Badを押したのは、
企業を責めたかったからじゃない。


「存在していない人間」のように扱われるつらさを、
次に入る誰かに、味わってほしくなかったから。


でも押したあとで、
自分の感覚が本当に正しいのか
分からなくなっていた。


自分が敏感すぎただけかもしれない。


ズレているのは自分かもしれない、
そう思うと急に不安になった。


でも、
他のタイミーのコメントを読んだとき、
少しだけ安心できた。



正しかったからじゃない。

「私だけ」じゃなかったから。



自分の気持ちを伝えることは、
波風を立てないようにやり過ごすよりも、
ずっと大変だった。


それでも、
不思議と少しだけ自分を大切にできた気がした。


気持ちを言葉にして伝えることは、
私にとってはまだ難しい。


でも、少しずつ、
変わっていきたいと思った。


相手に「どう思われるか」ではなく、
自分が「どう感じているか」。


その小さな感覚を、
これからは大切にしていきたい。





最後まで読んでいただき
ありがとうございました!

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📌前回の品出しタイミーの話

📌初めてのタイミーに挑戦した話

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