女子大生、セックス依存症になりました〜2話〜『失敗した初体験』
「恥ずかしいから、付き合っていることは周囲に言わないで」
先輩がそう言ったから、わたしはふたりの関係を秘密にした。
交際してから初めて、二人きりで外食に出かけることになった。彼の実家は都内でも有数の大病院を経営している。だから、当然どこか高級なレストランで外食になるのかと思った。
けれど彼の希望は、意外にもファーストフードだった。
最初に行ったのは、大学から遠く離れた駅前のマクドナルド。知り合いに会う心配のない場所で、わたしたちは待ち合わせた。
ハンバーガーをかじりながら、彼は気軽な口調で言った。
「今度、セックスしよう」
あまりに唐突で、わたしはすぐに返事ができなかった。
「……何回かデートしてからでもいいですか?」
まだ心の準備ができていなかったのだ。
「セックスしないなら、付き合えない」
彼が立ち上がろうとしたとき、わたしは思わず叫んでいた。
「セックスします!」
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その場で次に会う日を決め、会場となるホテルも予約した。わたしは、格式はあるけれど手頃な値段の都内のホテルを選んだ。その手際を満足そうに眺める彼の様子を見て、今の幸せを失わずに済んだことに、少し安堵した。
尊敬できる相手と、心だけでなく体もつながれるなんて。
未知の体験に、期待感もあった。
その日、ホテルに入った彼は慣れた手つきでルームサービスを注文した。
少し格式のあるホテルに、そんな仕組みがあることを、わたしは知らなかった。学生なのに、どうしてこんなに色々知っているのだろう。
感心してそう伝えると、彼は「うちの家族はホテルに泊まると、よく部屋でお茶をするんだ」と教えてくれた。
彼の家族の話を初めて聞いて、わたしは嬉しくなった。彼の世界に少し触れられた気がしたからだ。
食事を終えると、彼は唐突にわたしにキスをした。
それが初めてのキスだった。
最初は軽く唇を重ねるだけで、ついばむようにやさしく。だがすぐに、むさぼるような激しいキスへと変わっていった。
わたしが思い描いていたキスは、軽く唇を重ねるだけのもの。口の中に入り込むキスは、知識としては知っていたが、現実のこととは思えなかった。
───こんなことが本当にあるなんて。
思わず体を引きそうになったが、彼は離してくれなかった。
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初めてのキスは甘かった。
直前に軽食を食べたせいか、口の中に残っていたデンプンが唾液によってグルコースに分解されたのだと、頭の片隅で考えた。緊張でおかしくなりそうだったから、どうでもいいことを考えて気を紛らわせていたのだ。
深いキスを続けると、何だか心地よくなってきた。そこで交互にシャワーを浴びに行った。
初めてのセックスは、途中までは順調だった。
人肌はあたたかく柔らかい。触れられると、少しくすぐったくて心地よかった。
「もしかして、はじめて?」
彼が驚いたように聞く。
セックスはおろか、キスも初めてだと告げると、彼はニヤリと笑った。
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すべてが初めてだと告げたにもかかわらず、彼は性急だった。彼は経験豊富で、セックスを楽しんでいる様子だった。
わたしは怖くてたまらなかった。
でも、彼の様子を見て、そういうものなのだと必死に合わせようとした。
胸をすくいつづける焦りと孤独感も、セックスの瞬間だけは遠のいた。それが少し嬉しかった。
しかし結局、わたしは彼を受け入れきれなかった。体の芯が固くなり、まるでその場所に入っていかない。無理に途中まで押し込まれると、局部を傷つけ出血した。
「あれ?生理になった?」
と彼は言った。
わたしはズキズキと引き裂かれる痛みに、そうじゃないと答えた。
「生理じゃないの?」と再び尋ねられた。
結局、痛すぎて最後まで続けられなかった。
その時の彼の落胆した顔に、わたしは蒼白になった。
もうダメだ、と思った。
セックスができないなら、付き合い続けられないだろうと、涙が止まらなかった。
彼はふて寝してしまい、そのまま朝を迎えた。わたしは一晩、眠ることができなかった。
その、なんとも言えない空気の中でお別れをして家に帰ると、彼からメールが届いていた。
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⇩次回 『初彼のデートDV』
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