女子大生、セックス依存症になりました〜3話〜『初彼のデートDV』
彼からのメールを読んだ瞬間、カッと顔が熱くなった。
『次までに大人のおもちゃを使って慣らしておくこと。おもちゃはそういう店で買ってね。お金は出すから。
次はちゃんと最後までセックスできるように、自分で練習して、その写真を送ってほしい。自分も我慢したのだから。
──それができないなら、自分は別れたくないけど、別れるしかない。』
最後にそう書いてあった。
彼に嫌われたくない。どの指示も、当時の私には恐ろしく、到底受け入れがたいものだった。でも応えなければ、すべてが終わってしまう。
大人のおもちゃを使って、自分の体を自分で慣らすなんて。
──私は、おもちゃがどういうものなのかさえ知らなかったのだ。
彼はそれを「開発」と呼んだが、方法など想像すらできなかった。
✳︎
それでも、付き合いを続けたい一心で、彼の指示に従うことにした。
【彼に大事にされていない。
人としても、女性としても。】
──そんな声が、心の片隅でずっと響いていた。
幸い、おもちゃはネットで手に入った。
これを体に埋め込む……。
───怖い、恥ずかしい。
私にこんなことができるだろうか。
おもちゃを片手に、泣いた。
それでも、すがりつくしかなかった。彼と別れることは、孤独だった10代前半の日々へ逆戻りすることと同じ。
あの暗闇に、もう一歩たりとも近づきたくなかった。
✳︎
二回目のデートまで、三ヶ月ほど間が空いた。
彼は忙しく、会う機会はほとんどなかったが、数日に一度はいかがわしい指示がメールで届いた。その「日課」をこなすことが、彼との唯一の絆のように思えた。
だから、私は必死に応え続けたのだ。
彼の指示は次第に卑猥さを増していった。
自慰行為のやり方を電話で教える彼は、かつて良き先輩として面倒を見てくれたときと同じ声で語った。
「女性にも自慰がある」「女性も男性のように果てることができる」
──その言葉に、私は心底驚いたものだ。
しかし、その自慰は初め、ただの苦行だった。
なにが気持ちいいのかまったく分からない。
おもちゃを体に入れるのも怖くて仕方がなかった。こんなものが本当に入るのか。
それでも、ここでやめれば彼とは終わる。
私は苦手な宿題を少しずつこなすように、何日も何日も自慰を続けた。
──そして、一ヶ月ほど経った頃。
初めて、おもちゃを使って「イク」という体験をした。
驚きだった。
この世界に、こんなにも気持ちのいいことがあったのか。その瞬間だけは、嫌なことをすべて忘れられることに気づいてしまった。
やがて私は、快感が心の痛みを遠ざけることを学んでしまった。頭がぼんやりすれば、何も考えられない。それが心地よく、心が軽くなる。
鈍麻した感覚のおかげで、人の輪の中にいても辛くなかった。
けれど同時に、幸せを感じる力さえも失われていくことには、まだ気づいていなかった。
私は快感に、少しずつのめり込んでいったのだ。
当時の私は、人の輪で傷つかなくなった自分を「強くなった」「成長した」と錯覚していた。
だが実際には、ゆっくり、確実に、ひとつずつ壊れていったのだ。
*
⇩次回 『残酷な関係性』
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは、創作活動の経費に充てさせていただきます🫶