第7話:言葉を飾らず、価格を下げず、ただ「気候のストレス」に向き合う
前回の第6話でお話しした通り、私たちは「Makuake」を通じて多くのサポーターと出会い、自分たちの思想が伝わる手応えを得ました。その後、自社ECサイトである「AMVEL UMBRELLA STORE」の運営を本格化させていく中で、私たちはブランドとしての「売り方」における明確な規律を設けることにしました。
ECサイトの運営において、世の中には数多くの「売るためのテクニック」が存在します。しかし、私たちはそうした流行のマーケティング手法とは一線を画す道を選びました。
その最たるものが、「恒常的な値引きはしない」というポリシーです。
もちろん、生産終了品や色の偏りが発生した在庫の整理、あるいは特別なイベントといった例外的なケースはあります。しかし、普段から安易な割引キャンペーンを繰り返すことはしません。 なぜなら、私たちの傘は「安くしたから売れるもの」ではなく、プロダクトの本質である「機能」によって選ばれていると受け止めているからです。実直にモノ作りに向き合ってくれている工場と対等なパートナーシップを維持するためにも、適正な価値のまま届けることを大切にしています。
もう一つの規律は、「言葉を濁さず、事実をありのままに伝える」という品質表示の姿勢です。
私たちは、広告や製品ページで「超軽量」や「驚きの軽さ」といった、感覚的で曖昧な形容詞だけで訴求することを避けています。「超軽量」という言葉を使うときには、必ず「超軽量72g」というように、具体的な数字をセットにして誤解のないトーンで表現します。
これは「耐風機能」についても同様です。世の中の多くの傘が「耐風機能あり」とだけ表示している中、私たちはそれだけでは終わらせません。どのような構造を採用し、第三者機関のどのような環境で検査を行い、風速何メートルまで耐えられるのかという具体的な詳細までしっかりとお知らせします。 誇大表現を排し、事実に基づいた誠実な品質表示を徹底すること。これこそが、お客様と長期的な信頼関係を築くための唯一の方法だと信じているからです。
そして何より、私たちは「競合他社が何をいくらで売っているか」を気にしません。
他社の動向を気にしてスペックを競ったり、価格競争に巻き込まれたりすることは、本質的なモノ作りから私たちを遠ざけます。私たちが常に見つめているのは、競合ではなく、私たちの傘を手にしたお客様の「QOL(生活の質)がどう上がるか」だけです。
私たちは、自分たちのビジネスを一種の「不満解消産業」だと捉えています。 雨や強い日差しといった、人間にとってネガティブな気候からくる日常のストレスを、私たちの技術でどれだけ軽減してもらえるか。そこにすべてのリソースを注いでいます。
「カバンに入れておいたことを忘れる軽さによって、朝の持ち歩きのストレスから解放されること」 「ボタン一つで開閉でき、かつ軽い力で縮められることで、雨の日の移動が快適になること」
この本質だけに集中し、誠実な価格と誠実な言葉で届け続ける。 この一見不器用にも思える実直な姿勢こそが、他社との不毛な競争から私たちを切り離し、アンベルというブランドを「指名買い」していただける最大の理由なのだと確信しています。
