小説家の一文から学ぶ、心を動かす描写とは 〜文章力の向上へつなげる技術〜 01
こんばんは!
会社員のかたわら、Kindle本を計21冊出版しておりますツナギビトです。
余談ですが、先日モスバーガーに行って
「てりやきマックバーガーひとつ!」と
当たり前のように注文をすると、
パートのおばちゃんらしき人に困惑した顔で見られてしまいました。
そんな話はさておき、文章力を伸ばしたい――。
そう思って書き続けていても、ふと「何かが足りない」と感じる瞬間はありませんか?
今回の記事では、プロの作家によるたった一文の中に秘められた“感情を伝える技術”を読み解き、
日々の執筆に活かせる「書き方のコツ」をお伝えします。
まずはこちらの一文をご覧ください。
◆引用:プロ作家の一文
典子は何気なく訊いたのだが、自分の言葉の奥にひそんでいるものに気づいて、わざとらしく腕時計を見た。しかし、それすら、とりつくろおうとしているものとは裏腹の仕草になってしまい、目を伏せてワインを飲んだ。
この一文を読み終えたあと、
心に残るのは「典子の動揺」「言葉と本心のズレ」、
そして「なにか大切なことが心の中で起きている」
という予感ではないでしょうか。
このように読者の感情に訴えかける文章には、いくつものテクニックが詰まっています。
今回は、以下の3つの視点から読み解いていきましょう。
◆プロの技①:感情は“行動”で描く
この一文には、「不安だった」「後悔した」といった感情の直接的な表現は一切出てきません。
それでも、読者は典子の内面を感じ取ることができます。
なぜなら――
「わざとらしく腕時計を見た」
「目を伏せてワインを飲んだ」
といった行動描写が、そのまま感情を映し出しているからです。
「腕時計を見た」という何気ない仕草も、「わざとらしく」と一言添えるだけで、“ごまかそうとしている”という意図が読み取れます。
さらに「目を伏せてワインを飲む」という行動で、「顔を見られたくない」という心理がにじみ出る。
これは、感情を説明せず、行動に託すという書き方です。
🔑 コツ①:感情は“行動”で描写する。
説明より、動きが語る。行動こそが心の言葉になる。
◆プロの技②:感情の流れを“時間の流れ”で描く
この一文には、「時間の流れ」があります。
何気なく質問をする
自分の言葉の奥に潜む本心に気づく
ごまかすために腕時計を見る
それが逆に不自然な仕草になってしまう
最後に、ワインを飲むことで感情を鎮めようとする
この流れを追っていくと、まるでカメラが典子の心の中をスローモーションでたどっているような感覚になります。
このように、感情の“揺れ”や“気づき”を、時系列で追うことで、読者は自然に感情に入り込めるようになります。
🔑 コツ②:感情の変化は“時間の順序”で描く。
内面の揺れを順を追って書くと、読者は深く共感できる。
◆プロの技③:意図と行動の“ズレ”を描く
この一文の核心はここにあります。
「それすら、とりつくろおうとしているものとは裏腹の仕草になってしまい」
これは、人間描写の核心を突いた一文です。
典子は、何気なく質問したつもりでした。
でも、その言葉の奥にある本音に気づいてしまい、動揺する。
だからこそ、“わざとらしく”腕時計を見てごまかそうとする。
でも――
ごまかすための行動が、逆に感情を露呈してしまう。
これこそが、“意図と行動のズレ”です。
人間は、隠したい感情ほど、行動の端々にそれが出てしまうもの。
この“ズレ”を描くことで、人物のリアルさと切実さが生まれます。
また、典子の人間性がこの一文に集約されていて、より読者に感情移入を促しやすくなっています。
🔑 コツ③:「隠そうとする行動」が、かえって心をにじませる。
本心と仕草のズレこそが、人物に命を吹き込む。
◆まとめ:プロの一文から学べる、文章上達の3つのポイント
① 感情は行動で描く説明ではなく“仕草”で伝える
② 時間の流れに沿って、心の動きを順序立てて描く
③ 意図と行動のズレを活かすごまかしの仕草に感情を滲ませる
◆今日からできる練習法
✅ 書いたセリフの感情を、セリフなしで“仕草だけ”に書き直してみる
✅ 登場人物の気持ちが動く“3ステップ”を時間順に整理して書いてみる
✅ キャラクターが「本心を隠そうとする場面」を1つ書いてみる
◆さいごに
文章力とは、難しい言葉や比喩を使うことではありません。
感情を、いかに自然に、読者に伝えるか。
そのためには、プロの一文をじっくり読み解くことが、何よりの学びになります。
今回ご紹介した技術は、どんな文章にも応用できます。
エッセイ、小説、ブログ、脚本、日記
――あなたの言葉に「深み」と「温度」へつなげるヒントになりますように。
あなたもぜひ、この文章の技術を学び、自分の物語やエッセイに応用してみましょう。
読者の心をぐっと掴み、没入感に浸りこむような一文を、あなたのその手で!
また、今回取りあげた宮本輝さんの著書『花の降る午後』は、未亡人の心の揺れ動きを描いたとても素晴らしい作品なので、ぜひ読んでもらいたい作品です!
📚ここまで読んでいただきありがとうございます!!🙇🏻♂️
次回も、文章力の向上へつなげる技術について深堀りしていく予定です!
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