見出し画像

永遠の絆、時の旅

※この作品は「永遠の絆、時の旅」という家族と平和をテーマにした連載小説です。
見えないものが見えた少女・夏希が、恐怖を乗り越え、未来に命をつなぐ物語。



第一話

真夜中の恐怖と母の温もり



真夜中の静寂は、刃のようだった。
冷たい夜気が夏希の肌に突き刺さり、窓辺に射し込む月明かりが洋室の片隅を淡く染めていた。
天井には影が揺れている。

時計の針が、微かな罪の音を刻んでいた。

——その時。

遠くから、誰かに名を呼ばれるような気がした。
風が部屋を横切り、床のどこかが軋む。
闇の中で、空気がひときわ冷たくなった。

目を開けると、そこに「彼」がいた。

薄い笑みを浮かべた、青白い顔。
古びた甲冑。所々に刻まれた裂傷。
金属の隙間から覗く黒ずんだ布。
その眼窩の奥で、冷たい瞳が夏希をじっと見つめていた。

月光が甲冑の金属を冷たく照らし、男の存在をこの世のものではないと告げていた。

男は表情のない顔のまま、ふっと笑った。

その笑みは人間が持つ微笑とは別種のものだった。
冷たく、計算され、抗えない恐怖を背負わせる。



夏希の背筋が凍りつく。
心臓は耳の奥で鈍く、重く鳴り響いた。

「逃げなければ」
その本能だけが夏希を動かした。

布団を頭までかぶる。
息苦しい熱気。汗ばんだ額。
目を閉じても、男の瞳は脳裏に焼き付いて離れなかった。

「出たら、またあの男がいる——」

恐怖の思考がぐるぐると回り続ける。
全身の筋肉はこわばり、心臓は暴れ馬のように脈打っていた。

少女の胸は、不安で締めつけられる。

耳に届くのは、自分の心臓と、時計の冷酷な律動だけ。

どれほどの時間が過ぎたのだろう。
呼吸は限界に達し、ついに布団から顔を出した。

——いない。

男は、影も気配も残さず消えていた。



夏希は、一目散に隣室の母の布団へと飛び込んだ。

母は霊の存在など信じてはいなかった。
だが、夏希の言葉を否定したこともなかった。

「怖がらなくて大丈夫。お母さんがついているから」

そう言って、少女を抱きしめた。

その温もりは、夜の闇と恐怖を越える唯一の灯火だった。



【次回予告】

夏希の視界から次第に霊たちの姿が消え始める。
恐怖と安堵の間で揺れ動く彼女の心が、思わぬ未来へとつながっていく──。



【第一話あとがき】

はじめまして。
第一話を最後までお読みくださり、ありがとうございます。
この物語は「見えない守護者」と家族のつながりを描いています。
夏希の成長と家族の歴史、そして未来への想いを描いた連載小説です。
どうぞ最後までお付き合いください。

この作品が心に響いた方は、ぜひ「スキ」と「フォロー」をお願いします。
あなたの応援が、次回作の原動力です。

▼次回もお楽しみに!
次回:「消えゆく影と心の揺れ」はこちら↓↓↓

#小説 #家族の物語 #時を超える絆 #ご先祖様 #平和への願い #ファミリードラマ #スピリチュアルフィクション #note大学新入生

いいなと思ったら応援しよう!

つなぐ|HIROMI🌸平和の種を蒔く人 「この言葉、広がってほしいな」 そんなふうに感じてもらえたなら、 チップというかたちで、想いをのせてみてください。 わたしも、あなたのあたたかさを誰かに繋げていきます🕊️