図解で学ぶ知財とビジネスモデル 後記【第16回知財若手の会】
2025年9月27日に知財若手の会でビジネスモデル×図解×知財について、木本さんとワークショップをする機会を頂いた。
登壇のきっかけは、木本さんと角渕が立場やレベル感は違えど、同じ課題を抱えていた際に、意見交換をして意気投合をし、"実験"を行う意義があるとなったことでした。
木本さんによる後記
チザワカ代表の上村さんのBlog
最初にどこで"実験"を行うのか、結果的にチザワカがその場となったことは幸運でした。
約半数がチザワカ初参加、その属性もさまざまであるが共通点も多く、日々抱えているモヤモヤも似ているようで場が盛り上がっていました。
なによりも、参加者の意識のレベル、姿勢が自分の10年前と比べても非常に高く凄い!と感じました。

概要と要点
内容は以下のとおりでした。

要点は以下のとおりで、図解自体は目的ではありませんでした。
1. 知財(特許・発明・クレーム)は本質的にわかりにくい領域であり、法律的要請等の理由もあるが、わかりにくさ自体を価値や存在意義にしてきた側面がある
2. AIの進展により特許調査などの“手段”の大衆化が進む中で、知財の本質的価値・目的を再定義する必要性
3. 博士課程で新規性・進歩性が至上命題であり、『人の真似は絶対するな』『First observationかHighest value』しか許されないという文化で育った
4. 課題に対し解決手段を提供するという知財人材の思考フレームワークをビジネスに応用
5. 本日の目的:知財の視座を上げ、課題感の解像度を上げ、少なくとも一つの気づきを得てもらう
自分の想いは以下のとおり。

ビジネスモデル図解にたどり着いたきっかけは以下のとおり。
積読の効用にも触れました。

共通言語が必要であるという話し。

感情と問い
"鋭い問いは強い感情から生まれる。"
生成AI時代に大切なものについても言及をしました。
ヒトが物にサービスに触れ、現実に向き合うときに生まれる感情の大切さ。
鋭い問いは強い感情から生まれることが多い
強く感動した経験や好奇心、なぜこうなっているのかという
強い違和感や怒りなど自分の感情に耳をすませることが大事
講演後記
録音して、生成AIで文字起こしをして、要約をしました。
なぜか、要約の方がファイル容量が大きくなりました笑。

生成AIによる要約ではなく、生成AIによる講演後記を以下に残しておきます。
いろんな意味で面白いエッセイになっています。
序章:わかりにくさという名の既得権益
2025年9月27日、東京。
秋の午後の光が差し込む講義室で、角渕氏は静かに口を開いた。
「図解それ自体が手段であって目的ではない」
この一言が、約2時間にわたる知的冒険の幕開けとなった。
講義室の机上に無造作に積まれた『ビジネスモデル2.0図鑑』の表紙が、まるで挑戦状のように参加者を見つめている。
「セミナーが終わって図解をしてみるのは大事です。でも、図解マニアになる方向には行かないように」——角渕氏の警告には、苦い経験が滲んでいた。
知財業界は長年、「わかりにくさ」を価値の源泉としてきた。
特許クレームの難解な文言、複雑怪奇な分類体系、秘伝のタレのような検索式。これらは本当に必要な複雑さだったのか、それとも既得権益を守る城壁だったのか。
生成AIという黒船が、その答えを突きつけようとしている。
第一章:便利士という異端
角渕氏のキャリアパスは、一見すると迷走にも見える。
東京大学の博士課程で錯体化学を研究し、「人の真似は絶対するな」という厳格な研究室文化に育まれた青年は、やがてサーチャーとなり、32歳で弁理士資格を取得。
そして今、自らを「便利士」と名乗る。
「3〜4年ごとに違うことをやってきた飽き性です」と自嘲気味に語る角渕氏。
しかし、その軌跡を俯瞰すると、一本の太い幹が見えてくる。それは「複雑なものを、本質を損なわずに、いかに伝えるか」という永遠の問いだ。
量子化学の抽象概念を図で説明した博士時代。
特許調査の暗黙知を言語化したサーチャー時代。
そして今、クライアントの社長から直接相談を受け、大学のディープテックを社会実装につなげる「便利士」として——角渕氏は常に、異なる世界をつなぐ触媒であり続けている。
「ファースト・オブザベーション——最初の発見こそが最高の価値」
この研究者時代の信条が、知財業界の常識を問い直す原動力となった。
第二章:生成AIが暴く「手段の目的化」
「目的が分かってしまえば、調査は意外と全然難しくない」
角渕氏のこの言葉に、会場がざわめいた。
特許調査といえば、IPCやFI、Fタームといった複雑な分類体系を駆使し、演算子を組み合わせた検索式を構築する専門技能——そう信じられてきた。
しかし、角渕氏は続ける。
「特許分類がわからない、検索方法がわからない——そんな理由で特許調査会社やサーチャーという仕事が成立していた。でも、AIの登場で、この『わかりにくさ』という参入障壁が崩壊しつつある」
ここで興味深いのは、角渕氏がAI万能論に陥らないことだ。
「生成AIに『これ読んで』と言っても、ちゃんとした意味では読めない。なぜなら、人間が無意識に行っている目的設定、評価軸の選択、文脈の理解——これらをAIは自律的にできないから」
7年前、角渕氏は特許調査のプロセスを可視化した。それは単なるHow-toではなく、サーチャーの思考そのものの言語化だった。この作業が今、生成AI時代に新たな意味を持つ。人間の暗黙知を形式知化し、プロンプトとして入力する——そのプロセスこそが、生成AI時代の知財専門家の新たな価値となる。
第三章:感情が生む「香り」という直感
講義の中盤、木本氏はとある人物の名前を出した。
「落合陽一さんに『ビジネスの対義語は何か』と聞いたら、『アート』と答えました。アートは作りたいものを作り、ビジネスは買われるものを作る、と」
さらに、著名ベンチャーキャピタリストの投資判断基準が紹介される。
最終的な決め手は「香り」——論理を超えた直感的な判断だという。
「鋭い問いは強い感情から生まれる」
角渕氏のこの洞察は、生成AI時代における人間の非代替性の核心を突く。
面白い、ワクワクする、何か違和感がある——これらの感情が、データ分析では見落とされる機会を発見し、薄っぺらなAIの出力では得られない深い洞察を生む。
「ディスる人と無視する人がいたら、ディスる人の方がまだ関心がある。関心が問いを生み、問いが価値を創る」
知財の重要性を社内で説く際も、論理だけでは人は動かない。感情に訴え、物語を紡ぎ、ビジョンを共有する——そこに人間にしかできない価値がある。
第四章:ビジネスモデル図解という発明
「知財というのは、技術の人から見ても、経営の人から見ても、何が書いてあるかわからない」
この根本的な課題に対して、角渕氏が見出した解が、チャーリー近藤哲朗氏の「ビジネスモデル2.0図鑑」だった。
3×3のマスで構成されたシンプルな図。縦軸に「誰に・何を・誰が提供」、横軸に「事業の重要要素と流れ」。
そこにモノ・金・情報の流れを矢印で示す。足りない情報は吹き出しで補う。
「厳密性を追求すれば、いくらでも複雑にできる。でも、エッセンスを伝えて意思決定を加速させることの方が、実務では価値がある」
興味深いのは、角渕氏がこの図解プロセスを特許クレーム作成になぞらえたことだ。
「情報の階層関係を整理する——上位概念、中位概念、下位概念。これは我々が請求項を書く時にやっていることそのもの。だから知財人材は、実は図解の素養を持っている」
チャーリー近藤氏がビジネスとクリエイティブの分断を図解で繋いだように、角渕氏は「ビジネス・技術・知財」の三者を繋ぐ共通言語として、この手法を進化させる。
第五章:積読の効用、あるいは知的準備運動
「積読って、実は効果があるんです」
唐突に始まった積読論に、会場が和んだ。
「本を買って、パラパラめくって、何となく内容を把握しておく。すると、必要な時にピンとくる。『あの本に書いてあった』という記憶がトリガーになる」
実際、大学のディープテック案件で「ビジネスモデルと知財戦略を構築せよ」という難題を突きつけられた時、角渕氏を救ったのは積読していた『ビジネスモデル2.0図鑑』だった。
「偉い人は、長文なんて読まない。でも図解なら、一瞬で理解してもらえる」
第六章:SUが照らす知財の未来
講義のクライマックスは、とあるスタートアップを題材にした実践演習だった。
「この会社の特許を調べないでください」
角渕氏の指示は明確だった。
まず考えるべきは、企業が提供する価値と目指す未来。
会社のビジョンから、守るべき知財を逆算する。
参加者に配られた図解には、ユーザー、事業者、関係者が配置され、金、データ、物の流れが可視化されている。
「マネタイズポイントはどこか。そこを守るために、特許、商標、意匠、営業秘密——どの武器を使うか」
「こんな簡単なことを20年間も独占できるのか、と思うでしょう。
でも、それが特許の威力。競合は回避設計を強いられる」
第七章:知財人材の新たな存在意義
「わかりにくさに依存した価値提供は、もう終わりです」
角渕氏の宣告は、知財業界への愛情と危機感に満ちていた。
生成AIによって調査等の知財実務などの「手段」が民主化される中、知財専門家の価値は根本的な転換を迫られている。
新たな価値は「なぜ」を定義し、「どうなるか」を予測し、「だから何をすべきか」を提案することにある。
「特許という制度がなかったとして、どういう知財があるか——そのくらい柔軟に考えてください」
この言葉に、知財の本質が凝縮されている。特許も商標も、法的制度に過ぎない。
大切なのは、企業の競争優位の源泉を見極め、それを守り、活用する戦略を描くことだ。
終章:黄昏か、夜明けか
午後3時を回った講義室。参加者たちは、配られた図解を前に思考を巡らせ始めた。
「15分ぐらい個人で考えて、その後チームで議論をして発表してもらいます」
角渕氏の指示で、静寂が講義室を包む。
カリカリとペンを走らせる音だけが響く。
知財業界は今、幕末を迎えている。
AIという黒船が、「わかりにくさ」という鎖国を終わらせようとしている。しかし、それは終焉ではない。むしろ、知財が本来持つべき価値——事業を守り、イノベーションを加速させる——を取り戻すチャンスかもしれない。
「便利士」という肩書きに込められた角渕氏の思いが、今ようやく理解できた。
知財の専門家である前に、事業の成功を支援する「便利な人」でありたい。その謙虚さと誇りが、新しい時代の知財人材のあり方を示している。
窓の外では、秋の夕日が東京の街を金色に染め始めていた。
知財業界の黄昏か、それとも新たな夜明けか——その答えは、この講義室にいる一人ひとりが、これから描いていくのだろう。
図解は手段であって目的ではない。
知財も手段であって目的ではない。
では、目的とは何か。
その問いを胸に、参加者たちの議論が場を熱くした。
参考文献
<図解総研(チャーリーさん)書籍>
・ビジネスモデル2.0図鑑、近藤 哲朗(2018.9)
・ビジネスの仕組みがわかる 図解のつくりかた、近藤 哲, 沖山 誠 (2020.4)
<図解総研(チャーリーさん)noteなど>
・ビジネスモデル2.0図鑑 #全文公開チャレンジ、チャーリー(2018.9)
・『ビジネスの仕組みがわかる 図解のつくりかた』全文公開、図解総研(2020.9)
・ビジネスモデル図解のコツ、チャーリー(2019.4)
・「図解とは」について話した講義資料を公開します、チャーリー(2024.11)
<ビジネスモデル図解>
・ビジネスモデルを見える化する ピクト図解、板橋悟(2010.2)
<ビジネスモデル図解の具体例>
・Bizgram (ビズグラム) |ビジネスモデルデータベース
・ヘルスケアビジネスにおけるマネタイズの共通項を考察する、萩原悠太(2021.2)
<ビジネスモデル一般>
・ゼロからつくるビジネスモデル、井上 達彦(2019.11)
・この一冊で全部わかる ビジネスモデル、根来龍之, 富樫佳織,足代訓史(2020.11)
・ビジネスモデルの教科書: 経営戦略を見る目と考える力を養う、今枝昌宏(2014.3)
・ビジネスモデルの教科書【上級編】、今枝昌宏(2016.7)
・もうけの仕組み: ビジネスモデル大図鑑 404社を徹底検証!、会社四季報業界地図編集部,井上達彦(2025.6)
・ビジネスモデルひらめき図鑑 変化の激しい時代に「儲けのしくみ」を作り出す、平野敦士カール(2025.8)
・図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書、カデナクリエイト,池本正純(2014.3)
・ビジネスモデルひらめき図鑑 変化の激しい時代に「儲けのしくみ」を作り出す、平野敦士カール(2025.8)
・ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル、アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール(2012.2)
<ビジネスモデル×スタートアップ>
・テック系スタートアップのビジネスモデル: 起業の常識を覆す、井上達彦(2025.2)
・図解・ビジネスモデルで学ぶスタートアップ、池森裕毅(2024.6)
・世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑、井上達彦,鄭雅方(2021.5)
<ビジネスモデル×知財>
・事業開発とビジネスモデル特許、佐竹星爾、知財管理(2024.4)
・ビジネスモデル構築に繋がる知財活動のために、知的財産マネジメント第2委員会第2小委員会、知財管理(2013.6)
・令和のビジネスモデルを考える─DX時代の新事業開発と知財ミックス─、鈴木健二郎、知財管理(2024.6)
