たとえ私たちの時代じゃなかったとしても(文学フリマ大阪レポ)
〜平家物語って、真理なんだね〜
って、静かに悟った文フリだった。
盛者必衰、おごれるもの久しからず。
いや、天下取ったことなんて一度もないんですけど。
でも、調子に乗った人が没落するという意味ではマジで平家物語、もう、ものっすっごく売れない、過去一売れない文フリだった。
大阪は過去2回出店していて、そのときはどちらも100冊前後売れたのだ。
だから今回もそのくらい売るつもりで本を持って行ったら、これがもう歴史に残る大失敗。
売れた冊数は24部、計16,300円。
奇しくも私が初めて東京に出店したときと同じ冊数。
場所も時代も違えど、ろくに宣伝もせず、什器は全部ダンボールで作ったこんなブースと同じなんて。
しかも冊数は同じでも本の値段は違うから、売り上げ的には最下位である。
こんなダンボールブースに負けるなんて!!!
冷静に考えてみよう。
12時から17時の5時間の間に100冊なんて、これまでが異常だったのだ。
いままで調子に乗らせてくれていたみなさま、本当にありがとうございました!
と、このままレポを締めてしまいたいのだけれど、傷口に塩を擦り込むがごとく敗因を振り返ってみたい。
考えられる敗因は、とりあえず4つ。
①環境の変化
②札幌ではしゃぎすぎたことを文フリ神が見咎めておられる
③私たちの時代が終わった
④運が急上昇する前フリ
4分の3が、なんとなく、スピリチュアル。
「①環境の変化」に関していえば、今回の出店者はみな同じ状況にあった。
昨年までの地下鉄でサクッと行けるOMMビルから、モノレールで行くインテックス大阪に会場が変わったのだ。
大阪万博と同じ路線のため、電車も激混み。
加えて同会場では、コヤブソニックという音楽系イベントも開催されていた。
なんでこんな時期に会場変えちゃったの!?という嘆きはあちこちで見かけた。
それでも蓋を開けたら過去最大の来場者数だというから、会場を変えたのは運営的には大正解だったのだろう。
幸い私たちはとき子さんの入念な下調べのおかげで、すべての行程で座れた。
今日の私たち、電車運が絶好調ですね!と話していたけれど、もしかしたらこれはラッキーではなくて、私たちの目の前がスカスカになる呪いだったのかもしれない。
文フリでは両隣が超人気ブースだったこともあって、チラシだけ受け取ってサッと離れてしまう人がほとんどだったし、稀に立ち止まってくれたのかと声をかけたら隣のブースからほんのりはみ出している人だったりして、手に取ってもらう段階まで全然たどり着けなかった。
普段の私たちは、お目当ての本を手に入れてホクホクふらふら歩いている人を狙い撃ちすることで販売数を伸ばしてきたから(卑怯)、ふらふら族を立ち止まらせられなかった時点で苦戦は確定。
しかもそんな状況なのに、遠目に見ると私たちの周りはものすごく賑わっているように見えていたらしい。
正確には「ものすごい賑わい(一部地域を除く)」なんですよ……。会場のみなさーん!ここは過疎です!!!
だから逆に今回来てくれたお客さんは、ほぼ全員顔を思い出せる。
そして、一人ひとりとこんなにゆっくりお話できたのも久しぶりで、それはとても楽しかった。
普段は家でいただくことが多い差し入れのお菓子も、今回はほぼその場でいただいた。
東のテツさんがくださった自家製梅干しを、とき子さんとおんなじ顔でしゃぶったり(染み渡るクエン酸)、皐月まうさんを延々引き留めて「今回全然売れないんですわぁ」と愚痴を聞いてもらったり。
お名前を出していいか聞きそびれてしまったけれど、はじめましてのnoterさんや文フリ嫌いを公言しているnoterさんも来てくださったり、私の本をコンプリートしてくれているお客さんが新刊を買ってくださったり。
本当にありがたいことだな、と心から思う。
そんなこんなで、売上的には過去最高に悲惨な文フリではあったのだけれど。
「びっくりするほど売れなかったねぇ!」
「来たときとスーツケースの重さがほとんど変わらないんですけどー!!」
「私たちの時代が終わった!って感じがしたよねぇ!」
「でもこんなに売れなかったのに、私たち、思ったより落ち込んでないですね!」
……こんなにも売れなかったのに、私たちは不思議なほど陽気だった。
ケタケタ笑いながら、ずっしりと重いスーツケースを引いて帰って、もりもりお好み焼きを食べた。
もともと、このペースで即売会に出店するのは今年度までと決めていたからかもしれない。
10月4日のZINEフェス東京と来年の2月8日の文学フリマ広島を終えたら、私たちの新刊作りもイベントへの出店もひと区切りとなる。
来年度からの予定はほぼ未定。
とりあえず、チェコに行くためにお金を貯めなくては。
それぞれに創作大賞の中間選考に通ったり、自費出版文化賞で入選したりと、「一部では評価されている」という事実の支えもあるかもしれない。
たまたま今回買ってもらえなかっただけで、本当はいい本なんですよ、という自負。
そしてそれと同じくらい、あるいはそれ以上に、私は、自分たちの文章も本もとても好きなのだ。
売れやすい本も売れにくい本も、等しくいい本だなと思う。
調子に乗っていることを反省したばかりだけれど、正直私は素通りするお客さんに対して「私たちを見逃してしまうなんて、お目が低いでやんす」と心のなかで前歯を出してすらいる。
今回、全然売れなかったけれど。
たとえ私たちの時代じゃなかったとしても、これからも私は「いい本ですよ」と言い続けたい。
どんなにほそぼそとでも、届くべき人のもとに本を届けられるように。
【次回予告】
10月4日(土)のZINEフェス東京では、私たちの本に加えて、橘鶫さんの画集『風語り Vol.1』と石田薫さん(Kaoru Ishidaさん)の新刊『コーヒー豆のいばしょ』も販売します。
私もとき子さんもちゃっかりと寄稿している2冊、部数がやや少なめなので絶対にほしい方は事前にお声がけいただけると助かります。
ネットショップもあるので、気になった方はぜひこちらから。
https://ko-fi.com/kaoruishida/shop
さらに隣接は、ウミネコ制作委員会さん。
私たちつるときは、新刊のエッセイ集『あのころ、ひみつきちで』にも書かせていただいています(すごく尻が軽い二人組みたいな告知)。
こちらもとてもおすすめですよ!
見本とうちゃこ
— ウミネコ制作委員会|10/4 ZINEフェス東京(浅草) (@RADIO32658194) September 17, 2025
今夜最終チェックして入稿 pic.twitter.com/4tgMsKDmeB
