【第40回】AIは2つの変化を一緒に見られる?共分散とは
2つのデータが、同じ方向に動くのか、逆に動くのかを知りたいことがあります。
その関係の向きや強さを表す1つの指標が共分散です。
この記事では、共分散で何がわかるのかをやさしく解説します。
1. 読み方
きょうぶんさん (Covariance)
2. 意味(定義)
「2つの変数が、連動してどのように動くかを表す指標」のことです。
「共」は「一緒に」、「分散」は「バラつき」を意味します。つまり、「一方のデータのバラつきが、もう一方のデータのバラつきと『一緒に』どう動いているか」を計算したものです。
プラスの値: 片方が増えると、もう片方も増える傾向がある(正の相関)。
例:勉強時間が増えると、テストの点数も上がる。
マイナスの値: 片方が増えると、もう片方は減る傾向がある(負の相関)。
例:ゲームの時間が増えると、睡眠時間は減る。
ゼロに近い値: 2つの間に関係が見られない(無相関)。
3. 歴史・背景
共分散の概念は、統計学が「単なるデータの集計」から「変数間の関係性を探る科学」へと進化する過程で不可欠なものとなりました。
18世紀から19世紀にかけて、天文学や経済学において、「気温の変化が作物の収穫量にどう影響するか」「金利の変化が株価にどう影響するか」といった、複数の要因が絡み合う現象を解析する必要が生じたのです。共分散は、こうした「変数同士の連動性」を数値化する基礎的な道具として、統計学の発展とともに確立されました。
4. 比較・対比(似た用語との違い)
ここが試験で狙われる「整理」ポイントです!
共分散 vs 相関係数 (Correlation Coefficient) ★超重要
共分散: 「連動の度合い」を示すが、単位の影響を受けてしまう。
例:身長と体重の共分散を「cm と kg」で計算するか、「m と g」で計算するかによって、数字の大きさが全く変わってしまう(これでは比較しにくい!)。
相関係数: 共分散を「標準偏差」で割って、−1 から +1 の範囲にギュッと収めたもの。
単位の影響を受けないため、「この2つの関係は強いか弱いか」を誰でも同じ基準で判断できる!
共分散 vs 分散 (Variance)
分散: 「1つのデータ」のバラつきを表す。
共分散: 「2つのデータ」の連動性を表す。
例え話:ダンスのペア
分散: ダンサーAさんが、どれくらい大きく動いているか(個人の動き)。
共分散: ダンサーAさんとBさんが、ステップを合わせて「一緒に」動けているか(ペアの連動性)。
相関係数: そのステップの合わせ具合を、「完璧な一致(+1)」から「真逆の動き(−1)」という点数で表したもの。
5. 活用シーン(どんな問題に使うか)
AIの主成分分析 (PCA): たくさんの特徴量(データの特徴)の中から、情報の損失を最小限にして、重要な「まとまり」を見つけ出す際、変数間の共分散(または相関)を利用します。
ポートフォリオ理論(金融): 複数の資産(株など)を組み合わせる際、「値動きが逆になる(負の共分散を持つ)」資産を混ぜることで、全体の「リスク(分散)」を抑える計算に使われます。
特徴量エンジニアリング: 機械学習において、どのデータ同士が強く連動しているかを見極め、不要なデータを削る判断材料にします。
6. G検定での出題傾向
G検定では、以下のポイントが狙われます!
符号の意味: 「プラスなら正の相関」「マイナスなら負の相関」という基本知識。
共分散と相関係数の変換式: 「相関係数 = 共分散 ÷ (標準偏差A × 標準偏差B)」 という公式は、計算問題や概念問題で非常に狙われやすいです。
単位の不変性(相関係数): 「共分散は単位に依存するが、相関係数は単位に依存しない」という性質の違い。
主成分分析 (PCA) との関連: データの次元圧縮を行う際、共分散行列を扱うことが多いため、文脈として登場することがあります。
7. G検定の例題
【問題1:相関係数の計算】
2つの変数 X と Y の共分散が 12 であり、X の標準偏差が 4、Y の標準偏差が 3 であるとき、この2変数の相関係数はいくらですか?
A. 0.5
B. 1.0
C. 1.5
D. 12
【問題2:共分散の性質】
2つの変数 X と Y の関係について、共分散が「負の値」であったとき、その関係として最も適切なものはどれですか?
A. X が増加すると、Y も増加する傾向がある。
B. X が増加しても、Y は全く変化しない。
C. X が増加すると、Y は減少する傾向がある。
D. X と Y の間には、全く相関関係が存在しない。
8. 例題の回答と解説
【問題1 の回答】
正解:B
【解説】 相関係数は ρ=12/(4×3)=12/12=1 したがって、相関係数は 1.0(完全な正の相関)となります。
【問題2 の回答】
正解:C
【解説】
共分散が「プラス」であれば、一方が増えるともう一方も増える「正の相関」。
共分散が「マイナス」であれば、一方が増えるともう一方は減る「負の相関」を意味します。
したがって、Cが正解です。
