【雑感】地に足のついた議論が必要かな、と。
これまでだと与党の自民党がスパイ防止法の制定を求めるが、野党がこれに反対する構図であった。だが六月十二日の参院外交防衛委員会では、野党である日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏が「ぜひやってもらいたい」と、スパイ防止法制定に賛成の立場から政府見解を求めたのだ。
(『産経新聞』2025年7月19日)
江崎道朗先生が月刊誌の『正論』で連載されている「インテリジェンス 諜報の世界」の8月号掲載分の転載、のようです。何はともあれ、相変わらずに非常に読みごたえがある内容でした。
参議院選挙で話題になっているスパイ防止法について月刊正論に書いた論考が公開されていました。
— 江崎道朗@富民厚防 (@ezakimichio) July 19, 2025
米国のスパイ防止法について紹介しています。
なお、日本の先行研究を踏まえて、Sedition… https://t.co/bqXUnXk2BW
ここ最近の産経さんの報道姿勢にやや疑念を感じる事が増えてきていたので購読を継続するかどうか、日経さんに切替えるかも含め、検討しているのですが、こうした論考を拝読できるのであれば、とは。ただまぁ『正論』だけにしてしまってもいいのかな、とも感じています(江崎先生の連載が続いている間は)。
柳ケ瀬氏が「なぜ否定的な意見を持っているのか」と追及すると、岩屋外相は特定秘密保護法の例を挙げ、「国会でも大議論になった。なぜかというと、知る権利や基本的人権に十分な配慮がなされているかという観点から、さまざまな議論がなされた。スパイ防止法の中身は定かではないが、こういうたぐいの立法を行う場合には、同様の配慮が求められる」と説明した。
(『産経新聞』2025年7月19日)
論考の中では岩屋さんの意図を丁寧に分析された上で、次のようにもまとめられています。
岩屋外相の姿勢は結局のところ、難しい政治課題に取り組むつもりがないという「逃げ」の政治姿勢であり、本気でスパイ対策に取り組むつもりがないと批判されてもやむを得ないと言わざるを得ない。
とはいえ、政治の側を批判するだけでは済まないのもまた事実だ。日本では、このスパイ防止法に関する研究がほとんどなされていないからだ。よって本連載で米国のスパイ防止法の内容とその制定過程、言論の自由との関係について扱っているが、その参考文献の大半が英語だ。日本政府がスパイ防止法に関する審議会を設置したところで、そこに参加する有識者がどれほどいるのか、甚だ心もとないのが我が国の現状だ。
政治家は万能ではない。方針を打ち出すことはできても、それを現実化するための学問的基盤がなければ政策は具体化しない。そう考えて私は敢えて米国のスパイ防止法について論じているわけだ。
(『産経新聞』2025年7月19日)
何というか、、現状で「スパイ防止法」が必要とされているのは間違いなく、その理想論を語るのは必要ですしいいことだけども、"具体的な内容"はどうしますか、"どう実現するのか"とのロードマップはきちんと引けていますか、といったところでしょうか、そして、その議論をこなすだけの人材が「今の与野党問わずの議員」に存在していますか、とも。
岩屋外相の指摘通り、高市氏の提言でも「諸外国と同水準のスパイ防止法の導入に向けた検討も推進すべきである」とあるだけで、「その中身は定かではない」。そして本連載でも指摘しているように各国によってスパイ防止法の中身も運用も大きく異なる。
旧ソ連や中国のような専制主義国家のスパイ防止法は事実上、国民に対する人権弾圧法となってしまっている。一方、米国の場合、スパイ防止法の中身も運用も時代によって大きく変わってきている。
(『産経新聞』2025年7月19日)
この辺り、日本にとって同盟国でもあり、また普遍的価値観を共有"できる"国の一つでもある米国の事例をもとに丁寧に解きほぐされています。これは手元にも置いておきたい論考です。ここ最近の『正論』さん、他の表題記事がルサンチマンめいてることが多かったので敬遠していたのですが、久々に紙で買っておこうかな。
一九一八年治安維持法は一九一七年スパイ防止法の「改正案」ではあるものの、その目的、対象は大きく異なった。
スパイ防止法の主な目的は、軍事機密保護、徴兵妨害防止であり、取締りの対象も軍事情報漏洩、徴兵妨害であった。言論の自由との関係で言えば、あくまで軍事関連情報の制限だけであった。
一方、治安維持法の主な目的は、反戦言論の抑制であり、取締まりの対象も政府批判全般にわたった。
(『産経新聞』2025年7月19日)
第一次世界大戦時の話にはなりますが、「政府批判を犯罪化」してしまったとの過ちは米国でもありました。少なくとも「言論の自由」を掲げる民主主義国家にはそぐわないものであるのは、今の価値観で判断してもそうでしょうし、当時も同じような議論がなされていたようです。
現在の米国では、戦時下における政府批判を取締りの対象にしたこの治安維持法は、合衆国憲法修正第一条(言論の自由)を侵害したものであり、行き過ぎだと批判されている。
だがそれは、スパイ防止法そのものを否定したということではない。一九一七年スパイ防止法はその後も存続し、現在も有効だ。それは、軍事機密保護、スパイの取締りのためには一定の言論規制が必要だという国民的合意が形成されているからである。
(『産経新聞』2025年7月19日)
どうしても、ある種の「規制」に対しては実害が出てからとのパッシブな形にならざる得ない部分もあると思いますが、「言論、表現の自由」を担保できる形での「スパイ防止」を模索していっていただきたいなとは思います、それだけに、、
参政党の神谷宗幣代表が14日、松山市であった参院選の街頭演説で、公務員を対象に「極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」と述べた。
公務員は、国家公務員法や地方公務員法などにより、政治活動には一定の制限がかかるが、思想信条の自由は保障されている。
(『毎日新聞』2025年7月17日)
オウムによるテロリズムを促すような真似をし、また、安倍元総理暗殺を礼賛するかのような報道をしている毎日新聞やTBSが、「どの口」でいうのか、とは思いますが、それでも彼らの「参政党に対する危惧」は真っ当と思います、発想がまんま、「独裁者」でしかない、、
まぁ、参政党の幹部クラスにはいわゆるネズミ講な陰も見え隠れしているようですからある意味で納得ではありますが、、何にせよ参政党がいうところの「スパイ防止法」は自分たちにとって都合が悪い連中の口をふさぐのが目的の、中露、北朝鮮のような専制国家みたいな運用を想定しているんだろうなぁ、との見立てです。
UK sanctions Russian spies at the heart of Putin’s malicious regime
— 平将明(たいらまさあき/Taira Masaaki) (@TAIRAMASAAKI) July 18, 2025
7月18日、英国政府が、脅威の主体を特定し、公表することにより、悪意あるサイバー活動を抑止する、いわゆる「パブリック・アトリビューション」を実施した。https://t.co/uLJYnVrekP
その一方で、、こういった分析をされている議員さんもおられるのが自民党の強みでもあり、怖さでもあり、、そして頼もしさでもあるとの事をあらためて実感しています。
そういや、参政党といえば、ロシアの傀儡化しているとのネタが出ていましたが、、実際にロシア大使さんからの答え合わせも来ていたようですね、とか、思いながら。
