読みやすい洋書の3条件と、当てはまる10冊
洋書を読みたい人はけっこう多いんだな、と自分の記事の反響(?)を見て思いました。
洋書を読む動機はきっと様々で、「英語資格取得」「英語圏に留学したい」という勉強派から、
「本が好き」「英語を読むのが好き」という趣味派まで。
私は趣味:勉強=8:2くらいの洋書読み。
高校2年次に初めて自分で買った洋書がHarry Potterの第1巻。
そこからもう20年以上、細々と読んできて約150冊が読書録に載っています。
で、私なりに、「読みやすい洋書の条件」があるんですよ。
【読みやすい洋書の3条件 by 茶ぶどう】
①各チャプターが短い(6ページ以内とか)
②標準的な(学校で習うような)英語
③名詞の種類が少ない
この3条件を満たしやすいのがいわゆる「児童書」です。
これらの逆を考えると、「初心者にはおすすめしにくい洋書」になります。
①の条件は、実は無視できなくもない。おもしろい物語であれば、いくら長くてもかまわないという有力な説がありますのでね。
しかし②は初心者にとっては重要でしょう。学校で習わないようなスラングや、非標準的な英語はわりと高いハードルになります。スラングは辞書で調べても出てこないことがあるし、一見平易な語の連なりであるがゆえに、知らなければ認識しにくいものです。また、方言や、つづりの不正確な英語の羅列は、相当英語力がないと解読が難しい。
この点で読みづらい代表格が、かの有名なFlowers for Algernon、「アルジャーノンに花束を」。主人公の日記形式ですが、つづりを正しく書けないため、
Mabey I shoudnt of let them oparate on my branes like she said if its agenst god.
最初の方はこんな感じなんですよ。これを、
Maybe I shouldn't have let them operate on my brains like she said if it's against God.
と解読するには、それなりの英語力が必要です。
③の条件は、日本語の話で考えてみればわかりやすいでしょう。
現代の中学生の日常話と、「ぬりかべ」「こなきじじい」などの妖怪変化が多数出てくる話ではどちらが日本語学習者にとって易しいか、想像がつきますよね。
なので、児童書でもファンタジーは難しい場合があります。その世界独特の名詞が大量に出てくるから。
多種多様な妖精たちが出てくる話を読んで、辞書にも載ってなくて閉口したことがあります。名詞の種類は少ない方が断然読みやすい。
読みやすい洋書10冊
上記3条件をおおむね満たす作品を、私の主観で易しい順・読破しやすい順に10冊並べてみたのが以下です。①~⑨は児童文学の範疇。後ろの方はけっこう長いのでお気をつけください。
①Love That Dog (Sharon Creech)
子どもの詩の形で書かれている。読みやすいが泣かされた。
②A Cat Wings Tale (Ursula K. Le Guin)
ル=グウィンの「空飛び猫」シリーズ。ジェーンの話で泣いた。
③Crenshaw (Katherine Applegate)
アメリカの貧困の現実も見える。トトロみたいな猫(イマジナリー・フレンド)が出てきて辛い物語を救っている。
④Skellig (David Almond)
英語がものすごく美しい。お話しはやや不思議。姉妹編のMy Name Is Minaもおススメ。
⑤River Boy(Tim Bowler)
静かな物語。登場人物が極めて少ないことも読みやすさの一因。心に落ち着きがほしいときにぜひ。
⑥Fish in a Tree (Lynda Mullaly Hunt)
文字を読むのに困難を覚える「ディスレクシア」の少女が主人公。英語科教員を目指す人は必読。『木の中の魚』という題で邦訳が出ているので、教員を目指す人は現場に入る前にぜひとも読んでほしい。
⑦Cirque de Freak (Darren Shan)
日本でも大人気、「ダレン・シャン」シリーズ。全12巻と長いが、1冊ずつはそこまでのボリュームはない。何よりおもしろい。まさに“page-turner”。
⑧Walk Two Moons (Sharon Creech)
名文でつづられる少女の旅。視界が開けるラストが胸を打つ。何度も読む価値がある本。
⑨The Giver (Lois Lowry)
本好きなら絶対聞いたことがあるタイトルのはず。4部作でやや長いが、第1部単体でも素晴らしい。
⑩Piranesi (Susanna Clarke)
児童文学ではない。不可思議な建物(?)内部で生活する主人公の日記。極めて特殊な舞台設定だが、謎のリーダビリティがある。⑧、⑨が読める人はたぶん読めるはず。
「3条件」より大事なこと
実は、「読みやすい」よりもずっとずっと大事な指標があります……「先を読みたくなる」かどうか。
指標、と呼ぶには主観的すぎるので、これは何とも言えないんですけどね。
でも、心をつかんで離さないストーリーは、きっと1冊の最後まであなたを連れていってくれるはずです。
けっこう難しくても、長くても、「これから何が起こるの!?」「このあとどうなるの!?」と続きが気になって仕方がない、そんな物語。それが私にとっては「ハリー・ポッター」でした。
Harry Potterシリーズは上記「3条件」に当てはまらない洋書の代表。なじみのないファンタジー世界。受験勉強で習わない名詞のオンパレード。各章はやや長め、ハグリッドその他キャラの非標準英語……様々なハードルがあります。
英語は得意な方だと自負していた私も、さすがに苦労しましたねー。1巻は最初一日1 chapterしか進めなかった。
それが興に乗って、最後は3章一気に読んだりした。スネイプが、……えー!? 嘘!! みたいな。
1章を必死で読んで「なんか男の子が生き残ったらしい」しかわからなかった(五里霧中)のに、長足の進歩だった。これですっかり自信をつけ、「私は英語が読める」と勘違いして大学の英文科に進んだわけですが、それはまた別の話。
結局、自分の好みの本を見つけるのが一番です。
だとしたら今日の記事はなんだったのか……まあ、もしヒントにしていただけたり、上記リストの作品からお気に入りを見つけていただいたりしたら幸いです。すばらしい、と思った作品しかリストには載せませんでしたので。
(こうしてみると、ニューベリー賞受賞作はさすがに質が高いんだな……)
