Tristis est anima mea ラテン語歌詞とつながる英単語
今度はラテン語と英語のお話しを。
前回↓
大学で聖歌隊に入って初めてポリフォニーの曲に出会って、
「めっちゃ素敵だ~!!」と思ったんですが、
古楽がいいってだけじゃなくて、歌詞のラテン語も素敵なんですよ。
たぶん私はちょっと(ちょっとどころじゃない)古いものが好きなんだろうな。
で、ラテン語は意味不明な化石言語のように見える一方で、英語にその痕跡が残ってたりするのでおもしろい。
英単語の何割かはラテン語由来(ざっくり)
英語は元をたどるとゲルマン語派、ドイツ語の仲間であり、ラテン語から派生してきた言語ではありません。
でも、語彙の面で大量にラテン語・フランス語から借用をしてきた関係で、ラテン語につながる語が多いんです。
なので、ラテン語を欠片も知らなくても、英語の語彙知識があれば、「もしや英語でいうとアレか……?」と推測できたりします。
そのつながりが発見できると、
楽しい。
※以下、言語の専門家ではないため正確性は保証しません。ほとんど自分用メモです。誤りがあったらそっと教えてくださると感謝です。
※ラテン語は初歩しか習ってないしそれも全て忘れております……(それでも書く厚かましさよ)
※むしろ曲(Tristis est anima mea)を聴いてください。
歌詞全文(英語との対訳)
Tristis est anima mea usque ad mortem :
Sorrowful is my soul even to death
sustinete hic, et vigilate mecum :
Stay here, and keep vigil with me
nunc videbitis turbam, quæ circumdabit me.
Now you will see a crowd, which will surround me
Vos fugam capietis,
You will take flight
et ego vadam immolari pro vobis.
And I will go to be sacrificed for you
(英訳はWikipediaなどを参考にしつつちょこっと手を加えております)
ラテン語と関連する英語
Tristis est anima mea usque ad mortem
anima は
☆animal「動物」
☆animate「生命を吹き込む、元気づける」
といった語に入っています。
animaで「生命、魂」。心理学用語にもアニマはあるんですね。
ちなみに、かの「アシックス」の社名は
「健全な身体に健全な精神あれかし("Anima Sana in Corpore Sano")」
からとってASICSらしいです。

mortemは「死」。
☆mortal「死ぬ運命にある」
⇔☆immortal「不死の」
☆mortuary「葬儀場、霊安室」
adは接頭辞としてaddict,address, adhere, adjectiveなど相当数の語に見られます。
「~に」英語の前置詞toにあたります。
Advent「待降節、アドベント」のadもそう。
advent = come to~。キリストが世にやってくるのを待つシーズン。
この季節で私が一番好きな曲がVeni veni Emmanuelです。
VeniはAdventのventと同じ、comeの意。
sustinete hic, et vigilate mecum
私の電子辞書に入っているジーニアス英和大辞典は優れた辞書で、語源を最初に付してくれています。それによると、
☆sustain はラテン語sustinere(持続する、耐える、支える)由来だそうです。
sustinete hicは「ここでがんばって持ちこたえなさい」くらいの感じでしょうか。
昨今SDGsの重要性が叫ばれ「サステナブル」が社会的にキーワードになっていますね。
(「サステイナブル」の方が発音としては近いよなー)
☆sustainable「持続可能な」
☆sustenance「食物」(生命を維持するもの)
vigilateにダイレクトにつながるのが
☆vigil「寝ずの番」
☆keep vigil「徹夜する」
☆vigilant「絶えず警戒している、寝ずの番をする」
ハリーポッターではMad Eye Moodyが “Constant Vigilance!”って叫ぶのが印象深いですね。
nunc videbitis turbam, quæ circumdabit me
nuncで思い出せる英語はありませんが、実はnow「今」をたどると、イタリック語派・ゲルマン語派のさらに上位グループ、インド・ヨーロッパ語族なるところでこの2語が重なるらしい(Oxford Dictionary)。
videbitisは日本語にも入っている「ビデオvideo」「テレビtelevision」が関係あり。
その他関連語に
☆vision「視力、視界」
☆visual「視覚の」
☆visible「目に見える」
circumdabitに思い起こされるのが
☆circumstance「状況、環境」
circum-は「まわりに」という意味で、
☆circumference「円周」 なんてばっちりそのままですね。
circumcision「割礼」は礼拝通訳者ならいつでも口から出るようにしたい語。「丸く切り取る」、生なましいな!!
他にcircle「円」関連がラテン語由来。
circus「サーカス」もその仲間で、「円、円形競技場」から来ているようです。

Vos fugam capietis
fugamとつながるのは
☆fugue「フーガ、遁走曲」
やっぱりここは音楽上も逃げるフーガ形式にしなきゃならないんだな。
☆refuge「避難」
☆fugitive「逃亡者」
☆centrifugal「遠心力の、中心を離れようとする」(中心から「逃げる」)
capietisは英語ではcaptureに当たるかもしれません。
この歌詞の英語訳が ”You will take flight”だったりするので、takeに近い意味のcaptureだろうかなと。
et ego vadam immolari pro vobis
etはandで、et cetera「エトセトラ」などにそのまま見られます。
egoは日本語になっている。「エゴ」=「自分」はもう定着してますよね。
英語にもegocentric=self-centered「利己的な」とか、egoismとかバンバン入ってます。
immolariは全然ピンとこないけど、調べるとimmolate「いけにえとして捧げる」という英単語が出てくるのですごい。「いけにえ」はどうしたって英語じゃsacrificeでしょう。そのsacrificeだってラテン語から来ているようなんですが。
proは英語のforです。これがpro-/ pre-などの接頭辞になっていて巨大な英単語群を形成しています。さすがに列挙するのは面倒……
ということでこのへんでお開き!
御託はいい、曲を聴いてほしい!
