「you are a hero」ゲストから届いた手紙。広報と接客の間で見つけた景色
仕組み化が重視されがちなホテル業界で、UDS HOTELSが追求しているのは、一人ひとりの「個性」。
「ホテリエと個性」は、自分らしく働きながら、ホテルに新しい風を吹き込むスタッフの物語です。マニュアルを超えた先にある、一人ひとりの挑戦と探求をお届けします。
広報からホテリエへ。異色のキャリアを歩む松井礼子さんは、現在MUJI HOTEL GINZAで日々ゲストを迎え入れながら、拠点の広報担当も務めています。
プレスリリースやSNS運用、取材対応を行いながら、日々ゲストと向き合う。深夜にゲストのスマホを探し続けた翌朝、ゲストが残した手紙には「you are a hero」と書かれていました。広報だけに専念する選択肢もあった中でも、接客を手放さない、彼女なりの答えに迫ります。
広報から“顔の見える”接客へ
──広報からホテリエって、異色の経歴ですよね。どんな道を歩んできたんですか。
新卒は2021年の年で、ちょうどコロナ禍でした。ホテルやブライダルも志望していたのですが採用中止、出版などマスコミにも興味があったもののご縁がなく、鉄道系の不動産会社に就職しました。
予算や売上を管理する部門に配属されたのですが、ミスばかりで人事考課も厳しい評価に。ただ、得意だった文章は唯一褒めてもらえて、運よく広報へ異動になりました。

松井礼子 ホテル事業部 MUJI HOTEL GINZAフロント
鉄道系の不動産会社とオンライン書店の広報・マーケティング担当を経て、2024年にMUJI HOTEL GINZAのフロント担当としてUDSに中途入社。現在は前職の経験を生かして拠点の広報を担当するほか、ゲストCS担当も兼ねており、2026年からはブランド担当としても活動予定。
好きなホテルは、ふふ 河口湖。
プレスリリースを書いたり、SNSの運用をしていくうちに、もっと自分が好きな分野で、好きなものを発信したいと考えて、オンライン書店の会社へ転職します。自由度が高い会社で、メルマガやSNSキャンペーン、著名な方へのインタビューなど、出来ることを広げていきました。
──そこからなぜ接客の道へ。
そんな中、たまたま映画の試写会に関わる機会があり、学生の時以来、久しぶりに接客をしたら本当に楽しくて。小学校の卒業文集に「ホテルで働きたい」と書いていたくらい、接客が好きだったことを思い出しました。
来てくれた人が嬉しそうにしてくれるし、実際にお客さまの顔を見ることでやりがいを感じることが出来たんです。
──ホテル業界でも、なぜUDSだったんですか。
未経験でも関係なく採用してくれること。あとは、新卒で入った会社が不動産関係だったので、当時の先輩にも相談したらUDSのことを知っていて背中を押してくれたんです。

──当時の面接は覚えていますか。
選考の過程で、PS(評価制度)の話をしてくれたのが印象に残っています。
接客以外の部分でも自分の強みを設定できて、それをしっかり評価してくれる。私みたいに異業種からホテリエになった人にとってはありがたいです。
個人の頑張りをちゃんと言える場所があるのは嬉しいですし、給与にも反映されて、得意なことを伸ばせる環境にある。
実際、接客をメインに行いながら、拠点の広報担当としてプレスリリースやSNS運用、取材対応などに取り組めています。
──未経験の不安はありましたか。
もちろんありました。ただ、UDSの接客は格式高すぎるわけでもなく、ラフすぎもしない。ちょっとしたおせっかいだったり、友達や家族に接するような距離感は、ホテル未経験の私でも馴染みやすかったですね。MUJIは特に海外の方が多くて、フレンドリーな接客を喜んでくれるのは嬉しいです。
現場のリアルがわかる広報
──入社後は、どんなことから始めたんですか。
ホテルのことを何も知らなかったので、最初はフロント業務を覚えることに精一杯でした。
3ヶ月くらい経ってから広報にも関わらせてもらい、良品計画さんにSNSの運用について提案していきました。投稿の分析もしていない状態だったので、数字を見ながら運用できる体制を整えて、投稿内容を考えていきましたね。

──具体的な事例があれば聞きたいです。
今まで会社として発信できていなかった拠点ごとの小さな取り組みにも、それぞれ思いやストーリーがあります。そこでプレスリリースを拠点で開設したり、SNSでリールの運用なども始めました。
例えば、MUJI HOTEL GINZA内のレストラン『Japanese Restaurant WA』では、WA Discover Foodという企画があります。
料理人と料飲支配人が直接生産者の元を訪ねて、目利きした食材を使用して都道府県のおぜんとして組み立てています。高知、福島ときて、現在提供しているのは千葉県のおぜん。食べてみると本当に美味しいし、裏側の努力を知った時に、たくさんの人に知ってほしいと思って発信しています。
まちづくりの会社として、地域とのつながりをMUJI HOTEL GINZAの場を使ってちゃんと発信していきたいんです。
──接客にも活きているエピソードはありますか。
最近、松屋銀座さんの100周年を記念して、ウェルカムスイーツを始めました。お菓子売り場のバイヤーさんが厳選したお菓子を渡していて、今配っている「はちみつウィッチ」は銀座のビルの屋上で飼われている蜂から採蜜された、皇居や街路樹の花の蜜からなる『銀座はちみつ』を使っているお菓子です。
銀座のまちは、丁目ごとのつながりが強い。江戸時代の組合のように、同じ区域で商売をしているお店がお互いに送客を心がけながら助けあっているんです。
プレスリリースで発信するだけでなく、ウェルカムスイーツをお渡しする際にはそうした背景も直接お客様にお伝えしています。

──ホテリエがそれを語りたいと思っていて、実際に語れる。そのことが価値になっていそうですね。逆にゲストと接することで、広報の視点はなにか変わりましたか。
ゲストの生の声や現場の今の状況が分かるので、広報には何が必要なのかが分かります。
例えば、MUJI HOTEL GINZAはデザイン性のあるホテルではありつつも、よくある“映え”を目的に来る人は多くない。口コミを分析していると接客に関する部分では「friendly」ってワードがもっとも多いんです。
友達と接するようなフレンドリーさもあるし、みんなが真剣にゲストのことを考えていて対応が細やか。普通のホテルではここまでやらないだろうなってことも多くて、働いていて誇らしい気持ちになります。
ただ、人の温かみや落ち着ける雰囲気って、文章や画像では伝わりづらい。なので、リール動画を始めたり、企画に宿る想いやストーリーをプレスリリースで形にしたりしています。
ホテリエはヒーローになれる
──改めて、転職してよかったですか。
デスクワークをしていた時は毎日同じような日々を過ごしていたんですけど、今は一日として同じ日がない。毎日違うゲストが来て、いろんな事件が起きる。私にはそれが楽しいです。
この前はスマホを失くしたゲストがいて、夜勤中にずっと探して最終的に見つけられました。後日出勤した時に、自分の引き出しに手紙が入っていて「you are a hero」って書いてありました。ヒーローになれる仕事ってないじゃないですか。心から嬉しくて、やっていてよかったなって。

──すてきな話ですね。逆に苦しかったことはありますか。
こんなに英語を使うんだって驚きました。
留学経験もなかったので、ネイティブの英語が全然聞き取れなくて、電話に出ると「英語ができる方に代わって」と言われたこともあります。それがすごく悔しくて、英語学習アプリに課金して通勤中なども勉強するようになりました。
──どのくらいから英語でやり取りできるようになりましたか。
1年くらいですかね。日本にいながらほぼ留学してるくらいの感覚で、今では働きながらこれだけ英語を話せる機会が与えられてありがたいなって思います。

──広報×ホテリエとして、今後はどう考えていますか。
拠点に所属しながらメインは広報・マーケの専門で、時折フロントにも立てるポジションがつくれたら面白いかなと思っています。
ひっきりなしに取材が入ってくるようにすれば実現できると思っていて、そのために本気でホテルの知名度を上げたいと思っています。
──接客にも関わっていたいんですね。
そうですね、やっぱり楽しいので。
いろんな国の方と話すことで世界のことを知れるし、海外の方は日本人と違う反応をくれることも多いです。清掃不備でクレームが入っても、一生懸命に対応したら最後にチョコをいただいたこともありました。
それと同時に、日本の魅力を世界に発信したいです。日本は少し足を伸ばせば全く違う景色が見られていろんな体験ができるし、日本人の美徳みたいなものを褒めてもらって改めて気づくことも多い。
今後はゲストに直接情報を届けるとかもできたら面白いですね。あえて今の時代にハガキを送るとか。MUJI HOTELを好きなゲストってすてきな方が多くて、そうした温度感のあるやりとりを喜んでくれる気がするんです。
UDS HOTELSでは一緒に働くメンバーを募集しています。
興味はあるけどポジションがわからないという方は、まずはこちらから。
