不自由な人間のための本|自由なサメと人間たちの夢
二〇二五年下半期、巷間、本好きの心を色めき立たせている『女王様の電話番』の著者である渡辺優は、小説すばる新人賞受賞後の本作で、こう言い放つ。
_私の死への憧れなどウンコと同じレベルなのだ
「わかる」と感じた方は、ぜひ手に取って読んでみて欲しい。ウンコと同じレベルの憧れに囚われながら生きなければならない不自由さを痛感させられるだろう。
ぬるいトイレの便座に座りながら読んでくれるのならば、昇天するほどお洒落な人だと認定させていただく。しかし、そんな個人的な評価など、
あなたの死への憧れと一緒にトイレに流していただければ最高だ
仮想現実と拡張現実が、指数関数的な勢いで現実感のフィールドをスプラトゥーンする世界で生きるしかない『死にたい人』と『死にたくない人』(ここでは両者を総じて『不自由な人間』と呼ぶ)に読んでもらいたい、一冊。
言わずもがな、わたしたちは、それぞれの夢の中でしか自由に生きられない不自由な人間なのだから。
自由なサメと人間たちの夢
『ラスト・デイ』より

