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〇〇は、絶対に読んではいけない|イン・ザ・メガチャーチ


朝井リョウは、デビュー当時のインタビューで「時代の空気感を瓶詰めしておきたい気持ちだった」と語った。
本作発表後には「この時代の標本みたいな小説を書きたい」と語っている。

しかし、傍目には、『正欲』『生殖記』『イン・ザ・メガチャーチ』と続く系譜は、暴くことの快感を嗜癖としていると感じざるを得ない。

著者が本作で掲げる命題がある。

【命題❶】
なぜ人を操るのに物語を使うのが一番いいのか

共感する。
わたしが共感するのには訳がある。それは、心にも同じことが言えるからだ。わたしは心を専門にした職業に就いている。心理職だ。『物語』を、本作と心理職の共通項にするために命題を一つ追加する。

【命題❷】
なぜ心理カウンセリングは効果があるのか

続く答えは、「心というものがあるから」だ。では、「なぜ心があると心理カウンセリングの効果が生まれるのか」という疑問が湧くだろう。

『物語』が、その答えだ。

物語は心を動かす。心を動かすことを通して人を動かす。『動かす』は見栄えを良くしただけで、『操る』と置き換えることができる。これで、本作と心理職が繋がった。

神も、神話も、宗教も形骸化し無いに等しい現代の日本、物語だけは無くならず、手を変え品を変え再生を繰り返しいる。大国では、政治が担い、はたまた科学的実証の数字が担う。したたかに書き上げた物語のなかで、国民は自らの自由意志によって選択し、生きていると思い込む。信じることも、疑うことも、自らの自由だと。

それが『物語』の効能なのだ。

「用法用量を守って正しくお使いください」、こんな但し書きが頭をよぎる。それができる人に物語は必要ない。個人的には、物語で操ったその先のことを話したいのだが、本作が物語らなかったことは残念でしかない。であるなら、この国で、

推し活をしている人は、
絶対に読んではいけない。



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