【ショートショート】変身磁器
──チンッ
小気味の良い音が実験室に響き渡る。モス博士は紙人形のような顔色で機械の蓋を開けた。
「……できている……できているぞ!」
博士は取り出した容器を天に掲げ、叫び声をあげた。
『冷めない紅茶が飲みたいわ』
博士が宮殿に呼び出され、女王陛下からそう告げられたのが半年前。開発費は防衛費と並ぶほどの額が提示された。それから博士は1日を26時間にするほどの勢いで研究に明け暮れた。
古今東西、あらゆる器を取り寄せ分析した。そして、博士はある装置の開発に成功する。装置に入れる素材は磁器の器が最も安定した。そして今日、完成の日を迎えた。
「見たまえ、この眩い美しさを。よし、計ってくれ」
光り輝く器に紅茶が注がれ、タイマーが1秒、また1秒と時を刻んでいく。そして、10時間が過ぎた。
「──まだ、温かい。よし、女王陛下に拝謁するぞ!」
冷めない紅茶に狂喜した女王陛下は、博士にサーの称号を与えた。この発明品は『サーモス』という名前で世界中で愛されている。
終
サーモスにはこんな開発秘話があったとか無かったとか。
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