【ショートショート】変人式
「遂に……遂に完成したぞ」
「何がです?教授」
ぶるぶると体を震わせる教授の前には、縦横無尽に数式が書かれたホワイトボードがあった。
「何がってきみ──変人を求める式、私の永遠のテーマだよ」
「ああ……」
数学界のノーベル賞と言われるアーベル賞の候補にまでなった教授。尊敬してやまないが、変人を求める式とやらに心血を注ぐのだけは理解ができない。
「ああってきみ……これで私を変人扱いした学会のやつらを見返せるんだぞ?いいかい?例えばこの変数Xに靴底の厚さを代入する」
「靴底……」
「そしてこのNに毛髪の巻数、さらに瞳の透明度αの値を入れてなんやかんやすれば……変人度が丸わかりだ!」
「なるほど……ちなみに、靴底は厚いのと薄いのはどちらが変人度が高いんです?」
教授はにやりと笑って人差し指を立てた。
「良い質問だ。靴底が厚いのは自己顕示欲の高さ。薄ければ薄いほど、人からどう見られるかを気にしない証拠だ。よって薄いほど変人度は高いと言える」
「はあ、なるほど。ちなみに教授の変人度は?」
「よし、早速計算してみよう。靴底がゼロで巻数は……」
計算に没頭する教授を眺めながら私はため息を吐いた。
「よし、わかったぞ!結果は、紛うことなき……変人……」
肩をがっくりと落とした裸足の教授に、私はかける言葉を見つけることができなかった。
終
靴底の厚さにはなんの根拠もございませんm(_ _)m
たらはかにさまの毎週ショートショート【変人式】に参加させて頂きました。
前回の【コブラ参政権】が毎ショセレクションに選んで頂きました。ありがたや😄
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