【ショートショート】隕石の伯父さん
伯父が帰ってくる。ぼくは生まれてこの方会ったことがない。その伯父が帰ってくるということで、祖母は「あの放蕩者が!」と罵りながらもどこか嬉しそうだ。
祖母に祖父がぶち当たったとき、伯父と母は生まれた。母は祖母のそばから離れず月となった。伯父は勢い余って遥か遠くへと旅立った。何億年ぶりかに地球と交差する軌道に戻ってくる伯父は、いったいどんな旅をしてきたんだろう。
ぼくは今大阪万博のアメリカ館にいる。数え切れないほどの兄弟の中の1人のぼくだが(母は来るもの拒まず、今話題のオープンマリッジというやつだ)、月の石として珍しがられている。
「ねえ、ばあば。じいじがぶち当たってきたときは、いっぱい生き物が死んじゃったんでしょ?伯父さんは平気なの?」
「そうだねぇ。恐竜とかたくさん死んだねぇ。でもねぇ、私たちはただそこに在るだけだから、どうすることもできないよねぇ」
祖母はそう言って少し寂しそうに地表の生き物を眺めた。
「でも、今度こそあの子が通り過ぎないように、しっかり受け止めてあげなきゃねぇ」
ぼくの前で足を止め、目を輝かせながらガラスケースに貼り付いた少年。それを見つめ返しながら、「仕方ないよねぇ」とぼくはため息を吐いた。
終
ちょっと分かりづらいですよねぇ。こんな感じで考えました。
・祖母(地球)
・祖父(彗星)
・伯父(隕石、祖父が衝突した衝撃で遥か遠くに飛び出した)
・母(月、彗星が衝突した時の破片が集まって月になったという説)
・父たち(月に降り注ぐ隕石)
・ぼく(月の石)大阪万博のアメリカ館にいる
たらはかにさまの毎週ショートショート【隕石の伯父さん】に参加させて頂きました。
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