立冬 凍える景色の中に居る 鮎漁師の呟き
夕刻 川へ
陽の落ちかけた頃
鮎達が 川を下りだす

西の空が燃える
鮎漁師が 話かけてくる
“西側からと東側から
組んで 綱張らないか”
東の岸に渡った
鮎達は飛び跳ねる
ただ
その位置は変わらない

闇が増す
川原に ポツンと立っている
日が沈み 闇が迫る
対岸の鮎漁師からの合図は無い

大木のように 川原に佇む
“そろそろ?”
“まだ?”
“鮎は…”
返事は無い
居残りで立たされている
小学生だな
空眺め
星を眺め
月は何処へ
水面は闇
我も闇なり…
先程まで 闇だった辺りが
急に輝きだす
不思議な気配に包まれる

鮎の気配は無い
いつしか対岸の鮎漁師は居ない
先程まで厚い雲に包まれていた
月が 現れた
明日は満月

川の神さまは
神秘的な景色を魅せてくれた
鮎の姿は 無かったけど…
平安な暮らしをする縄文人
ギランバレーに恋をして
立冬 凍える景色の中に居る
毎日毎日
奇跡のような景色を魅せてくれる
鮎漁師 浮世雲
森羅万象
