戦争と不誠実な政治が、生活の彩りを奪っていく
ナフサ不足である。
ナフサ。昨今の中東情勢以降、急に目にするようになった聞きなれない3文字だが、ナフサとはつまり「粗製ガソリン」である。
原油を精製して得られる無色透明の液体で、プラスチック、合成ゴム、合成繊維など、生活に欠かせない化学製品を作るための「基礎原料」だ。
ペットボトル、食品容器、ゴミ袋、自動車部品、タイヤ、衣類、合成洗剤、塗料などなど、我々は日常のあらゆる場面でナフサ由来の商品を使用している。
そのナフサが、不足している。
この記事のポイント(読む時間がない方向け)
◎建築、印刷、イラスト、オタク文化など、“生活の彩り”に関わる分野が既にナフサ不足の影響を受け始めている
◎カルビーは印刷インク不足を受け、ポテトチップスなど14商品のパッケージを白黒化すると発表した
◎政府は「ナフサは足りている」と説明しているが、市場や企業側には強い不信感が広がっている
◎「目詰まり」は単なる物流問題ではなく、“政府発表が信用されていないこと”そのものによって加速している
◎不誠実な政治は、社会の信用を壊し、結果として経済や生活の彩りそのものを奪っていく
昭和のオイルショックよりヤバい?令和のナフサショック
日本が輸入する原油の多くは、中東からやってくる。そして、そのタンカーの多くが通過するのが、イランのすぐそばにある「ホルムズ海峡」だ。世界でも屈指の“石油の大動脈”であり、ここで軍事的緊張が高まると、原油価格や輸送コストは一気に跳ね上がる。
1970年代、日本は中東戦争の影響による原油価格の高騰で、「トイレットペーパー騒動」に象徴されるオイルショックを経験した。スーパーから商品が消え、人々が買い占めに走ったあの混乱である。
そして今、我々は再び、「令和のオイルショック」とも呼べる状況の入り口に立たされている。
1970年代のオイルショックでは、主に「ガソリン不足」や「原油価格の高騰」が問題になった。しかし、2026年の危機は少し性質が違う。
現代社会は、昭和とは比べ物にならないほど“石油化学製品”に依存している。プラスチック、塗料、接着剤、包装、半導体、医療用品、物流資材、社会インフラのあらゆる場所に、ナフサ由来の素材が入り込んでいる。
つまり今回の危機は、単なる「燃料不足」ではない。“文明を支える中間素材”そのものが詰まり始めているのである。
実際、海外メディアからは、今回の混乱を「1970年代以降で最大級のエネルギー安全保障危機」と見る声も出始めている。
本来なら、日本はイランとは独自の外交関係を作っていた。中東では比較的「どちらか一方に全面的に肩入れしない国」として見られていた。
・日本は長年、イラン産原油に依存していた
・アメリカと同盟関係にありながら、イランとの外交窓口は維持していた
・2019年には当時の 安倍晋三 がイランを訪問し、米イラン仲介を試みた
・中東諸国からは「日本は旧宗主国でも軍事介入国家でもない」と見られていた
そのため、“完全な中立”ではないにせよ、「対話可能な国」という独特の立場を持っていた。日本は本来、中東で独自の外交パイプを持つ国だったのだ。
しかし、高市総理はトランプ大統領に抱きつき、アメリカとの同調を強める方向へ大きく舵を切った。
建築業界からオタクまで襲うナフサ不足
建築業界は既に混乱している。ナフサはシンナーや塗料の原料である。塗料がない。塗料がなければ、壁が塗れない、壁が塗れないのであれば、足場を解体できない。足場が解体できなければ、工期を延長するしかない。工期を延長すれば、次の現場に移れない。材料も買えなければ、従業員に給料を払うこともできない。
建築業界だけではない。ナフサ不足は、オタク産業や、イラスト界隈も直撃する。例えば、アクリル絵の具の主成分であるアクリル樹脂は、基本的に石油化学製品由来である。ナフサ不足が起きると、アクリル絵の具を使うイラストレーターは価格高騰や供給減少の影響をモロに受ける。
じゃあ、デジタル勢は大丈夫じゃん!
かというと、もちろんそんなことはなく。デジタルイラストの主な道具(PC、液タブ/板タブ、モニター、ソフトウェア)にはプラスチック・樹脂・化学素材が大量に使われている。これらはほぼ100%石油化学製品(ナフサ由来)である
そして、デジタルで描かれた絵をプリントするのは、プリンターとインク、そして紙だ。このうちインクは、顔料・染料に加えて、分散剤や樹脂などが使われており、その多くが石油化学製品である。
さらにプリンター自体も、精密部品の塊であり、当然ながらプラスチックや半導体、各種樹脂素材に支えられている。 紙に関しても、コーティング剤やサイズ剤、インクの定着を助ける化学処理が施されており、ここにも石油由来の素材が入り込んでいる。
つまり、同人誌、商業誌共に、印刷の価格が高騰していく。
東京インキは原材料高騰や物流コスト上昇を背景に、2026年6月出荷分からオフセットインキなどを20〜30%以上値上げることを発表した。
アナログだろうが、デジタルだろうが、現代の
“絵を描く”
“描かれた絵を楽しむ”
という行為は、かなり石油に依存している。タンカーは、生活の彩りである“色”そのものを運んでいたのだ。
カルビーがポテチ袋を白黒に
だが、高市総理率いる日本政府は「ナフサは足りている。」と言う。目詰まりしているだけだと。つまり、年内分のナフサは足りているのに、中間に入っている業者が心配して、今まで通り卸していないから供給できていないのだ。という理屈である。
消費者は、今後の不足を心配して多めに買おうとする。供給する側は、今後の見通しが立たないので、今まで通りは卸せない。目詰まりの理屈はわかる。日本政府は、値段が上がらないように補助金まで使ってジャンジャンガソリンを使わせようとしているが、韓国政府は原油供給の逼迫を受け、車両の走行を制限する取り組みを始めた。
そんな中、あのカルビーが印刷インク不足が深刻化していることを受け、ポテトチップス、かっぱえびせん、フルグラなど計14商品のパッケージを白黒に変えることを発表した。
一部原材料の調達不安定化を受け、商品の安定供給を最優先とする観点から、印刷インクの色数を従来仕様から 2 色に変更するという企業努力である。
しかし、ここに政府が聴き取りを行う予定だと明らかにした。TOTOがユニットバスの受注を中止した時も、政府が聴き取り調査に入り、「受注はするが納期未定」という結果になった。
ネットでは、政府の圧力、ヒアリングという名の恫喝ではないかという拡大解釈が広がった。一般企業の商品のパッケージに政府が口を出すとは、どこぞの全体主義国家のようなやり口である。しかし、TBS NEWS DIG Powered by JNNによれば、農水省はヒアリングの経緯について、「カルビー側から要望があり、連休前から予定されていた」と説明。57の資材について流通実態の調査を行っているとしている。
しかし、一連の騒動で、結果的に、総理という日本の舵取りのトップに立つ人物が「不誠実な人格のオーナー」である場合の問題点が浮き彫りになってきた。
不誠実な人格が総理をやると何がマズイのか
そもそも政府が言うように、目詰まりが発生したり、パッケージを白黒にしたりするのは、政府、つまり高市総理の言う「ナフサは足りています」が信用ならないからだ。
日本政府は先の大戦では、国民に対して連戦連勝と報じていたが、実際はボロ負けしていた。当時の報道も、大本営発表をそのまま垂れ流し、真実を伝えなかった。日本国民はその歴史を知っている。
戦時中の“大本営発表”の記憶は、日本社会に深い不信感を残した。
「政府発表を、そのまま信じ切れない」
という感覚は、決して突然生まれたものではない。その上、高市総理は、
・「立法調査官」経歴表記問題
・「インターン経験」を巡る説明
・旧統一教会関連団体との関係
・SNS中傷動画問題
・政治資金・宗教関連支出問題
などなど、一つのネタでワイドショーが半月ぶっ通しで取り上げそうな疑惑で溢れている。その上、旧統一教会の教祖である文鮮明の名前を知らなかったという、どう見てもバレバレの嘘を平気でつく。
このような説明の変遷や疑惑報道が積み重なった結果、“政府発表をそのまま信じ切れない”という空気が広がっている。
人は、不誠実な態度をとっている人間を信用できない。多くの従業員を抱える経営者であれば、自分の判断次第で社員が路頭に迷うので、尚のこと慎重になる。信用の崩壊は経済を止めてしまうのだ。
国民は、高市内閣も、政府が言うことをそのまま垂れ流し、広報と化しているNHKや、大手マスコミも信用しなくなってきている。政府が、「ナフサ不足は目詰まりによるもの」と言うのであれば、目詰まりを生んでいる不信感こそが、国民の答えだ。
もうすぐ夏がやってくる。祭り、花火、イベント、コミケ、旅行。夏は本来、“彩り”に満ちた季節のはずだ。しかし、その彩りを支えていたものが、実は遠い海の向こうから運ばれてきた石油と、社会への信用だったのだと、今になって思い知らされている。
我々は、今年どのような夏を過ごすことになるのだろうか。
白黒になっていくのは、ポテチの袋だけではないのかもしれない。

それでは、読んでいただきありがとうございました。
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