CMのお仕事をしました|今後のAIと人間の付き合い方
DOWAエコシステム様のCMで使用されるアニメーション用イラストと、キャラクターデザイン、背景を担当しました。
DOWAエコシステムは、廃棄物処理やリサイクル、土壌浄化などを通じて、資源循環型社会の実現に取り組む環境企業です。使用済みの電子機器や自動車から資源を回収・再利用したり、汚染された土壌を浄化したりと、環境に関わる幅広い事業を展開しています。
今回のCMは、社名の「DOWA」と「童話」を掛け合わせた企画で、童話『金の斧』をモチーフにした内容になっています。
私は、女神と木こりのキャラクターデザイン、そして背景イラストを担当しました。全て私の手書きによるものです。絵本風の風合いを出すための着色やアニメーションは、CM制作チーム(AI担当)の方々によるものですが、配色や全体のトーン(絵本的な空気感のディレクション)についてはこちらからかなり細かい指定を行っています。
完成した映像はこちらです。
CM制作においてAIにできること、できないこと
近年、CM制作の現場でもAIが急速に活用されるようになってきました。正直言うと、今回の案件も、AIが一部活用されるということを制作の方から最初に伺って、イラストレーターとして全く抵抗がなかったわけではありません。しかし、まず知らないことには何事もその先の対策を立てられません。そういう意味では、今後のAIと人間の役割分担、付き合い方について考えさせられるお仕事でした。
AIは非常に便利なツールですが、基本的にはネット内や既存の情報をもとに画像を生成・補完しています。まさに、タコが自分の足を食べている状態です。
一方で、企業広告において最も慎重にならなければならないのが、オリジナルのキャラクターデザインや、全体の絵柄です。

既存作品との類似が生じれば、著作権や権利関係の問題につながる可能性があります。そのため今回も、キャラクターデザインや背景は人間が担当し、その後の工程でAIを活用するという形になりました。
AIはあくまで道具です。
AIの登場によって、「イラストレーターの仕事はなくなる」と言われることもあります。しかし一方で、何を作るのかを考え、世界観を設計し、責任を持って世に送り出すことは、今も人間の役割です。
実際の現場では、
オリジナルの発想
キャラクターデザイン
世界観づくり
権利面への配慮
こうした部分は、依然として人間の役割が大きいと感じました。

これが欠落したアウトプットは途端に安っぽくなります。我が家の小学生の子供たちでさえ、学校でもらった冊子や、ポストに入っているチラシを見て、「このイラスト、ジェミニだね」と気づくのですが、その絵を見る目が完全に冷めています。
一方で、ちょうどこの記事を書いているタイミングで、イラストレーターがクライアントに提出したラフを無断でAIに取り込まれ、「AIで生成したものを使うので、もうイラストは必要ありません」と契約を打ち切られたという事例が大きな話題になっています。
詳しくはこちらのポストをご覧ください。
生成AI問題について
— 坂之下しま (@nosita0909) July 27, 2026
私はクライアント様へ送ったラフ(2回描き直し)を無断でAIに取り込まれ、「AI出力したものを使うのでもういいです」と取り引きの中止させられました。
私のイラストがAIで取り込まれたものを送られてきた時の絶望感と怒りでいっぱいです。
AIそのものが悪いというよりも、クリエイターの権利や契約を軽視した使い方に問題があると言えるでしょう。包丁も料理に使えば便利な刃物ですが、使いようによっては凶器になります。この場合、罪や問題は包丁ではなく、使い方を誤った人間にあります。
今回私が携わった現場では、オリジナルのキャラクターデザインは人間が担当し、その後の着色やアニメーション制作でAIを活用するという役割分担が明確でした。CM業界は、クライアントの要望に対し、時間が限られることが多いので、人が担うべき部分と、AIが力を発揮できる部分を切り分けることで、お互いの強みを生かした制作が行われた例と言えるでしょう。
AIは制作工程を効率化する強力な道具です。しかし、本当に重要なのは、その道具を誰が、どのようなルールで、どのような責任を持って使うのかです。

今回の案件は、AI時代のCM制作の現在地を知ることができ、とても勉強になる仕事でした。
それでは、読んでいただきありがとうございました。
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