🇮🇹世界遺産、ヴィチェンツァで古代ローマを回顧するパッラーディオ建築を巡る
前回は世界遺産のヴェローナの街を歩きました。
今回はヴェローナから普通電車で40分弱行ったところにあるヴィチェンツァ(Vicenza)を日帰りで訪れます。

パッラーディオ建築で知られるヴィチェンツァ
ヴィチェンツァは15世紀初頭から18世紀にかけてのヴェネチアの統治下に大きく繁栄した町。
16世紀には建築家、アンドレーア・パッラーディオ (1508–80)がヴィチェンツァをはじめ、その他24のベネート州の村で様々な建物を設計しました。
彼の古代ローマの古典的要素かつ、左右対称であり遠近法を用いた建築はパッラーディオ建築と呼ばれ、後にイギリスや他ヨーロッパ諸国、そして北米まで広がったとされています。例えば、イギリスのバースはパッラーディオ建築で広く知られ世界遺産に登録されています(↓)。
パッラーディオは図面を基本にして空間を設計した最初の建築家と考えられている上、当時の建築家は皆兼業していたにも関わらず、彼は専業で建築に携わった最初の建築家なのだとか。
そんなアンドレーア・パッラーディオが手掛けた建築は「ヴィチェンツァ市街とベネート地方のパッラーディオ様式の邸宅群」として1994年に世界遺産に登録されました。
いざヴィチェンツァへ
今回はこのパッラーディオ建築を求めてヴィチェンツァを訪れます。電車で40分弱とあっという間。

まずは中心にあるシニョーリ広場(Piazza dei Signori)へ。

ヴェネチア共和国のシンボルであるサンマルコとサンテオドーロの像が建っています。ヴェネチアのサンマルコ広場にも建っていますよね。

細長いビサーラ塔が一際目立ちます。

パッラーディオ建築の数々
シニョーリ広場には、かつてはベネチア共和国の軍のオフィスだったLoggia del Capitaniato。現在は市議会場となっているそう。中世の既存の建物をパッラーディオが改築したもの。

バシリカ・パッラディアーナは、元々あったゴシック建築のラジョーネ宮に、パッラーディオが白大理石のアーチと柱を組み合わせた開口部を持つロッジアと呼ばれる開廊を設けて改築した公会堂。ロッジアが初めて用いられたことで有名な建物なのだそう。

ロッジアの後ろに見える階段。公会堂は2階部分にあり現在は展示場などとして利用されているそうです。

内部はアーケードもありショップが並びます。

現在は市営美術館となっているパラッツォ・キエリカーティ。キエリカーティ伯爵の邸宅として建てられ、パッラーディオは町中にありながら田舎のヴィラの雰囲気を演出したといいます。

舞台セットが圧巻のオリンピコ劇場
そしてヴィチェンツァで最も素晴らしかったのがオリンピコ劇場。
オリンピコ劇場は、パッラーディオの晩年に建設が始まり、完成を見届けることなく亡くなりました。プロジェクトはパッラーディオの息子と建築家のヴィンチェンツォ・スカモッツィに引き継がれ、1583年に完成。パッラーディオの最高傑作と言われているそう。
劇場前の広場に立つと正面入口の門が立派です。隣にある観光局でチケット(€12)を購入し見学します。

劇場は中庭の左手の建物。
パッラーディオは古代ローマの建築家兼エンジニアのウィトルウィウスの書物やローマ時代の遺跡を詳細に勉強したとされ、古代ローマ建築の要素がはっきり見て取れます。
玄関ホールのフレスコ画。

劇場のアカデミーのメンバーの会議室。壁は一面だまし絵で、ヴィンチェンツォ・スカモッツィがデザインしたそう。

劇場内に足を踏み入れると…

その彫刻に圧倒!まるで本物の古代ローマの劇場のよう。
スカエナエ・フロンスと呼ばれる白い舞台の壁の裏には、街並みが見えます。古代ギリシャのティーヴァの町を再現した舞台セットだそうで、遠近法を用いて奥に行くにつれて道が坂のようになっているのが分かります。

この劇場で最初の公演が行われたのは1585年で、ティーヴァが舞台となっている古代ギリシャの悲劇、ソポクレスの「オイディプス王」だったそう。ヴィンチェンツォ・スカモッツィがセットのデザインを担当し、驚くべきは木造のセットが完全に劇場の一部となっていること。

一時は解体されて倉庫に眠っていたという舞台セット。400年以上の時を越えて見られることに驚きです。
観客席の後ろには劇場の創設者やパッラーディオの肖像が並びます。なんでもこの劇場は世界初の屋内劇場ということ。天井に空が描かれているのは従来の屋外の雰囲気を作りたかったからなのでしょう。


舞台の真上の天井部分は立体的に見えますが、だまし絵のよう。

入口のホールに劇場の模型がありました。舞台セット部分がどうなっているのか分かります。

ヴィチェンツァの街並み
パッラーディオの建物は立派でインパクトがありますが、それら以外のヴィチェンツァの旧市街の街並みは落ち着いています。

雨模様のせいかひっそりとしていました。

イタリアのよくある旧市街の通り。

中世の塔が立派です。

観光案内所でもらった地図に記載されているモデル・ルートに沿って歩きましたが、小さな町なので美術館などに入らなければ3~4時間で十分という感じでした。パッラーディオの建築は市内に20ほどあり、モデル・ルートでほぼカバーされています。
次回はヴェローナからバスで国境を越えてドイツのミュンヘンへ向かいます。
