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オムライスには勝ちました。でもおじさんはまた、まけました。|孤独上等

前回、オムライスの店に入れなかった。

入り口にあった「レディースランチ」の文字と、
店内に男性客が見当たらなかったこと。

たったそれだけで、53歳のおじさんの足は止まった。

♬自作の曲トップ3に入る楽しさ、少なくとも私ははまってます

そのまま隣のラーメン屋に吸い込まれ、
こってり醤油ラーメンとチャーハンを食べた。

ラーメンに罪はない。ただ、あの日の昼飯は、どこか負けた味がした。

今日は、その再戦である。

前回のように店の前で迷うこともなく、
今回はすんなり入ることができた。

それだけで、ひとまず勝ちである。

ところが、席についてメニューを開いた瞬間、
手が止まった。

サイズ表記である。

SS、S、M、L。

今までの人生で、
SSなんて考えたこともなかった。

Sでさえ、
自分には関係ないサイズだと思っていた。

少し腹が減っていればL。

もっと腹が減っていればLL。

さらに調子がよければ大盛り。

そういう感覚で生きてきた。

当然Lサイズと思いきや、
メニューによっては3000円を超えている。

いや、そういう感じなのか。

おじさん一人の昼ランチとしては、
なかなかの高級オムライスである。

そこで、ようやくメニューをちゃんと読んだ。
しかも文字が小さい。

Lサイズは、ご飯茶碗、5.7杯分。

Mサイズは2.7杯分。

Sサイズは1.7杯分。

SSサイズでも1.2杯分ある。

なるほど、そういうことか。

この店のLは、
自分が思っていた「少し多め」ではなかった。

完全に本気の大盛りである。

Lサイズが3000円を超えるのも、
読んでみれば少し納得できる。
家族で取り分けて食べる人もいるのかもしれない。

店内も、メニューも、
女性が好みそうな店だと勝手に思っていた。

かわいらしい雰囲気。

レディースランチの文字。

オムライスという響き。

そのあたりだけを見て、
自分には少し場違いな店だと決めつけていた。

でも、メニューを読めば読むほど、
その単純な思い込みが崩れていく。

かわいらしい顔をして、
なかなか本気の店だった。

結局、注文したのは、
豚カツのハヤシソースオムライス。

Mサイズ、ご飯茶碗2.7杯分。

価格は2024円。

堂々とした風格である。

Mサイズ、Lはどんなだ?

食べてみると、十分だった。

いや、十分すぎるくらいだった。

もし勢いでLサイズにしていたら、
午後からまともに動けなかったかもしれない。

前回は、店に入れなかった。

今回は、店に入れた。

そして、Mサイズでしっかり満腹になった。

ここまでなら、おじさんの小さな勝利で終わる話だった。

ところが、会計のときにやられた。

あまりのサイズ感だったので、女性スタッフに聞いてみた。

「Lサイズを食べる人っているんですか」

すると、にこやかに返ってきた。

「女性でも食べる人いますよ」

その笑顔が、なかなか効いた。

頑張って店に入った。

オムライスも食べた。

Mサイズで十分だと納得した。

自分なりに、今日は勝ったつもりでいた。

それなのに最後の一言で、
また別の角度から負けた気がした。

もちろん、店員さんに悪気はない。

ただ普通に教えてくれただけである。

でも、こういう何気ない一言で、
自分の中の思い込みが、めくれることがある。

女性向けっぽい店だから。

SSなんて小さすぎるから。

Lくらいなら自分でもいけるだろう。

いやいや。

ちゃんと見ないまま、
勝手に決めていることは意外と多い。

食事だけではない。

服でも、店でも、人でも、
自分の中の古いものさしで測っていることがある。

そして、そのものさしは、
本人だけが正しいと思い込んでいることもある。

今回のオムライスは、
その硬い頭を少し柔らかくしてくれた。

大きな挑戦ではない。

ただ、入れなかった店に入る。

メニューをちゃんと読む。

Mサイズで満腹になる。

そして最後に、
女性でもLを食べると聞いて少し落ち込む。

それくらいの昼だった。

でも、こういう昼が案外残る。

変わったというほどではない。

ただ、気がついたら少しほぐれている。

オムライスに勝ったのか。

自分に勝ったのか。

女性スタッフの一言に負けたのか。

そこまでは、まだよくわからない。

ただ、前回ラーメン屋に逃げた53歳のおじさんは、
今日はちゃんとオムライスを食べた。

まあ一人だけれども、
チャレンジには、やはり変化が伴う。

感謝!

《次回も、また目にしていただくと嬉しいです。》

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