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終わらない時代 第1話 崩壊

食器の音。兵士達の笑い声。
テレビから流れるニュースキャスターの声。
いつもの光景だ。

ジュリアは糧食を口に運びながら、その騒がしさをぼんやりと聞いていた。

「今日のスープ、やたら薄くない?」

隣に座っているリンは不満気な様子。


「こんなものでしょ?軍の食堂だし」

ジュリアは気にしていない。

「いや絶対薄いって!水で薄めている!」

リンは断言した。

その隣でミネルが小さく笑っている。

「栄養価に問題ないよ?」

「味の話してんの!」

リンはフォークを振りながら抗議する。

ミネルは落ち着いた声で続けた。

「でも確かに塩分は少ないかも。健康にはいいけどね」

「ほら、科学者も認めた」

リンは満足そうに頷く。

三人は、幼なじみであり、親友である。
彼女達はそれぞれ違う理由で軍に入隊した。

ジュリアは過去の射撃競技の優勝経験を評価されて。

ミネルは研究論文が軍の研究機関の目に留まって。

リンは単純に「軍人ってかっこいいじゃん!」

ふと時計を見る。 

「あ!もうこんな時間!」

「訓練に遅れちゃう!」

リンは焦った表情で立ち上がる。

ミネルは落ち着いた声で言った。

「私は研究室に戻るね。資料の整理、まだ終わってないから…」

三人は食堂の出口で別れた。

ジュリアとリンは装備を身に着けながら走った。


ミネルは地下研究室へ向かう階段へ。

それが――

最後の、平穏な時間だった。

ジュリアとリンは外に出た。

…その時だった。

――ドン。

低い音が地面の奥から響いた。

ジュリアの眉がわずかに動く。

「……今の、何?」

リンも首をかしげる。

次の瞬間。

地面が大きく揺れた。

「地震!?」

リンは取り乱す。

だが違った。

基地の中央のアスファルトが盛り上がる…

その下から現れたのは、巨大な蔓。

地面を突き破り、巨大な蔓が空中へと伸びた。

まるで蛇のようにうねる巨大な蔓。


「なに、これ…!」

次の瞬間、別の場所でも地面が割れた。

無数の根が地中から飛び出す。

基地は一瞬でパニックに陥った。

『総員退避!総員退避!』

警報が鳴り響く。

「嘘だろ…?」

リンは絶望の表情。

巨大な蔓は格納庫の屋根を紙のように潰した。

爆発。炎。悲鳴。

ジュリアの目が鋭くなる。

「リン!」

「なに!?」

ジュリアは格納庫を指さす。

「あれ!」

リンの視線が向く。

格納庫内の白い小型トラック。

「あれで逃げるんだな!了解!」


二人は無我夢中で走る。

背後で巨大な根が地面を砕く。

コンクリートが飛び散る。

リンが運転席に滑り込んだ。

ジュリアも助手席に飛び乗る。

「よし!キーが付いてる!」

その瞬間、巨大な根が格納庫の柱を叩き折った。

屋根が崩れる。

「行くぞ!」

アクセル全開。

小型トラックが格納庫から飛び出した。


背後で巨大な樹が、ゆっくりと空へ伸びていく。

それはこれまで都市を破壊してきた巨大樹そのもの。

彼女達の平和な日常は崩壊してしまった…。


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