終わらない時代 第2話 後悔
ミネルは地下研究室で目を覚ました。

「ん……。」
頭がぼんやりする。
ゆっくりと身体を起こした瞬間、ミネルは息を呑んだ。
研究室が崩壊していた。
棚は倒れ、書類は床に散乱している。 天井の一部は崩れ落ち、赤い警報灯だけが不気味に点滅していた。
「何なの……これ……。」
周囲に人の姿はない。
ミネルは震える手で、自分のバックパックを掴んだ。 それを背負い、ふらつきながら研究室を出る。

地上へ続く階段を上がる。
そして――
「え……?」
ミネルはその場で立ち尽くした。
基地は地獄のような光景に変わっていた。
巨大な蔓が建物を貫き、至る所から黒煙が上がっている。 炎が燃え広がり、遠くから悲鳴が聞こえてくる。
「ジュリア!リン!どこなの!?」
我に返ったミネルは二人の名前を叫びながら走り出した。
その時だった。
「何をしている!早く乗れ!」
突然、兵士に腕を掴まれる。
周囲では、生き残った兵士達が必死に避難を続けていた。
「待って!まだ友達が――」
「いいから乗れ!ここはもう駄目だ!」
ミネルは半ば強引に大型トラックへ押し上げられる。
「出せ!脱出しろ!」
兵士の怒鳴り声と共に、トラックが走り出した。
ミネルは荷台から、離れていく基地を見つめる。

「リン……ジュリア……。無事でいて……。」
小さな呟きは、エンジン音にかき消された。
――その頃。
ジュリアとリンは基地から少し離れた場所に小型トラックを停車させエンジンを止める。
辺りは静まり返っていた。聞こえるのは風の音だけ。

「はぁ…危なかった…。」
疲労困憊のリン。
「私は…何て事を…。」
ジュリアは俯いたまま呟く。
「ミネルを探す時間はあったはず…それなのに…。」
ジュリアは拳を固く握りしめる。
「ジュリア…。あのままミネルを探しに行っていたら私達死んでいたよ?」
「アンタの判断はいつも正しい。だからこうして生きているでしょ?」
リンは励ますように言った。

「リン…。戻ろう。ミネルを探しに行く。」
ジュリアはそう提案した。
「分かった。基地に戻ろう。」
リンは基地に向かって小型トラックを走らせる。
基地に到着して直ぐに2人はトラックから飛び出して走る。
向かった先は地下の研究室。
「そんな…これじゃ通れない…。」
リンは崩れた通路で立ち尽くしてしまった。
「ミネル!今行くから!」
2人は瓦礫を動かそうとするが瓦礫は重く、ビクともしない。

「ミネル!返事して!」
リンは呼びかけたが返事は無かった。
ジュリアはまだ諦めずに瓦礫を動かそうとする。
しかし、手が止まってしまった。
「ミネル……。」
ジュリアの目から涙が溢れる。
「ジュリア……。」
リンはジュリアを優しく抱きしめる。
「大丈夫…。ミネルは生きているから…。」

ミネルは生きている。そう信じるしかできなかった。
