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終わらない時代 第27話

『廃墟の出会い』

拠点へ戻った三人は司令室のテントへ向かった。

「失礼します。」

中ではカイルが地図を広げ、何かを考えていた。

三人の表情を見るなり、その異変を察する。

「……何があった?」

ジュリアはシホロシティで遭遇した出来事を順を追って説明した。

街で見つけた資材。

突然現れた人型の化け物。

そして、やむを得ず撤退したことを。

写真を印刷し、カイルに見せた。

カイルは写真を一枚ずつ見つめ、静かに呟いた。
「数百体の人型の化け物か……。」

「厄介だな。」

腕を組み、しばらく考え込む。

「何故、突然現れた?」

「何か心当たりはないか?」

三人は顔を見合わせる。

しかし、誰も思い当たることはなかった。

「あの……。」

リンが小さく声を漏らす。

「もしかして……。」

ポーチを開き、中から一本の赤く光る花を取り出して机の上へ置いた。

「リン……。」

ミネルは思わず目を見開く。

「それって……。」

リンは少し申し訳なさそうに答えた。

「一本だけ咲いてたから……。」

「気になって持ってきちゃった。」

カイルはミネルへ視線を向ける。
「ミネル。」

「何か知っているのか?」

ミネルは少し考えてから答えた。
「まだ推測ですが……。」

「この花は、侵入者を感知するための器官なのかもしれません。」

「この花は巨大樹の神経のような役割を持っている可能性があります。」

カイルは静かに頷く。
「つまり、この花がセンサーとなり、化け物が反応して集まってきた……ということか?」

「恐らく、その可能性が高いです。」

ミネルは静かに頷いた。

リンは俯いたまま、小さく肩を落とす。
「私……余計なことしたかな……。」

すると、カイルは穏やかな声で言った。

「よく持ち帰ってきた。」

リンは驚いて顔を上げる。

「本格的な調査に入る前に、その危険性が分かった。」

「次からは、この花に注意すればいい。」

その言葉に、リンの表情が少し明るくなった。

続いてカイルはジュリアへ視線を向ける。
「それからジュリア。」

「すぐに撤退を判断したのも正解だった。」

「数で劣る状況では、生きて情報を持ち帰ることが最優先だ。」

ジュリアは静かに頷いた。
「ありがとうございます。」

「今日はもう休め。」

「明日から、改めて対策を考える。」

「了解。」

三人は敬礼すると、司令室を後にし、それぞれ寝所のテントへ向かった。


翌日――。

カイルの指示により、ガレス、ジュリア、リンの三人で再びシホロシティへ向かった。

目的は、人型の化け物のサンプルを回収することだった。

「さて……奴らを探すか。」

ガレスは周囲を警戒しながら、小さく呟く。

ジュリアとリンも建物の周囲を調べるが、人型の化け物の姿は見当たらない。

「手分けして探すぞ。」

ガレスは二人へ視線を向ける。

「いいか。見つけても無理に戦うな。」

「まずは報告だ。」

険しい表情で念を押した。

「了解!」

三人は頷き、それぞれ別方向へ散っていく。

しばらく周囲を捜索していたジュリアは、建物の奥で赤く光る何かを見つけた。

(あれは……?)

拳銃を構え、足音を殺しながら慎重に近付いていく。

建物の中へ足を踏み入れた瞬間、思わず息をのんだ。

(何……ここ?)

室内は、白い糸のようなものが無数に張り巡らされていた。

壁や天井、床にまで絡み付き、まるで巨大な生き物の巣のような異様な空間になっている。

「キャウ!」

突然、動物のような鳴き声が響く。

音のした方へ銃口を向ける。

すると――

白い塊が、ゆっくりと動き始めた。

よく見ると、それは白い小動物だった。

全身に白い糸が絡み付き、身動きが取れなくなっている。

「キャウ……。」

その動物を助けようか一瞬ためらった。

害はなさそうな様子。

拳銃を収め、動物に近づく。

ジャリ……。

背後から、小石を踏む音が聞こえた。

「!?」

振り返るとそこには、人型の化け物が立っていた。

いつの間にか、すぐ目の前まで迫っている。

ジュリアは反射的に拳銃に手を掛ける。

しかし――

化け物は早かった。

そのまま勢いよく飛びかかり、ジュリアを床へ押し倒した。

「うっ……!」

必死にもがく。

(なんて力なの……!)

押し返そうとしても、びくともしない。

倒れたまま拳銃を抜き、発砲する。

ダン!ダン!

銃弾は化け物の胴体に命中した。

しかし、化け物止まらない。

(銃が効かない……!?)

バン!

奥の扉が勢いよく開く。

「何があった!?」

銃声を聞きつけたガレスだった。

状況を一瞬で把握すると、迷わずアサルトライフルを構える。

ダダダダッ!

銃声が建物内に響き渡る。

ドサッ……。

化け物は力なく倒れ、そのまま動かなくなった。

ガレスは素早く近付き、銃口を向けたまま様子をうかがう。

数秒後――。

「……よし。」

ゆっくりと銃を下ろす。

そしてジュリアへ手を差し伸べた。

「大丈夫か?」

「……はい。」

ジュリアはその手を借りて立ち上がる。

「助かりました。」

二人は倒れた化け物を警戒しながら、その姿を見つめた。

ガレスは倒れた化け物のそばへしゃがみ込むと、慣れた手つきで体組織や体液を採取していく。

採取を続けながら、小さく呟く。

「集団で襲ってこられたら、かなり危険だな。」

「キャウ!」

白い動物が小さく鳴いた。

「ガレスさん。」

ジュリアは白い動物を指差す。

「あの動物は、どうしますか?」

「ん?」

ガレスは近付き、全身を観察する。

「何だ、こりゃ?」

しばらく考え込んだ後、小さく頷いた。

「一応、連れて帰るか。」

「研究すれば何か分かるかもしれねぇ。」

「了解。」

ジュリアはナイフで絡み付いた糸を丁寧に切り裂く。

自由になった白い動物をそっと抱き上げた。

「キャウ!」

白い動物は抵抗することなく、ジュリアの腕の中で大人しくしている。

ジュリアは不思議そうにその赤い瞳を見つめた。

この小さな出会いが、やがてジュリア達の運命を大きく変えることになる。


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