終わらない時代 第4話 生存者の町
白い小型トラックは、長い道路を走り続けていた。
「ねえ……。」
リンがハンドルを握ったまま呟く。
「このまま走っても、どこにも辿り着かない気がする。」
ジュリアは静かに前を見つめる。
「……でも進むしかない。」

しばらく沈黙が続く。
「あ!」
リンが前方を指差す。
遠くに町が見えた。
入口には、鉄板や車両で作られたバリケード。
その前には銃を持った男が立っている。
「……どうする?」
「停めて。」
小型トラックはバリケードの前で停車した。
武装した男が近づいてくる。
鋭い目つき。

「お前達、どこから来た?」
リンが答える。
「シホロ基地。」
男の表情が変わった。
「……あそこか。」
男は小さく頷く。
「知っているの?」
ジュリアが尋ねる。
「一昨日、シホロ基地からトラックが来た。」
男はそう答えた。
「え!基地から!?」
リンは驚いた表情。
「あの!白い服を来た髪の長い女性を見なかった?」
リンは男に尋ねるが、男は「知らないな。」
その一言だけ。
「そう…。」
悲しそうな表情のリン。
「お前達、町に入るのか?」
ジュリアは首を縦に振った。
「わかった。おい!門を開けてくれ!」
男の声で鉄板の門がゆっくり開いた。

この町には巨大樹の暴走から逃れた人々が集まっていた。
いつしかこの町は「生存者の町」と呼ばれるようになった。
しかし、住民は誰も笑っていない。
疲れた顔。
暗い目。
住民達は小型トラックを黙って見つめていた。
「……空気重いね。」
リンが小さく呟く。
二人は広場へ小型トラックを止めた。
「あ!市場がある!食べ物あるかな?」
リンは笑顔を向ける。

ジュリアは真顔で答える。
「リン…私、お金持ってないんだけど?」
……。
リンの笑顔が止まる。
「……お金を稼ごう。」
ジュリアは町の中央を見つめた。
周囲より比較的新しい建物。
入口には「役場」と書かれている。
「先ずは仕事を探す。」
「なるほど!」
二人は役場へ向かった。
役場の中は慌ただしかった。
走り回る職員。
壁一面の求人票を眺める住民達。
積み上げられたまま放置された物資。
2人は受付に向かった。
受付の職員が顔を上げる。
「今すぐ稼げる仕事ない?」
リンがそう言うと、職員はファイルと地図を広げる。

「そうですね…ここから10キロほど離れた場所に廃工場があります。」
地図の一点を指差す。
「そこに残っている資材を町の業者に買い取ってもらうのはどうでしょう?」
リンの目が輝く。
「いいね!簡単そうじゃん!」
だがジュリアは地図を見つめたまま動かなかった。
一本道。
町から少し離れた古い工業地帯。
(どうして町の人は行かないんだろう……。)
小さな違和感が胸に残る。
だが今は、お金が必要だった。

「ジュリア!早く行こう!」
ジュリアは短く答えた。
「……そうだね。」
2人は小型トラックに乗り込み走り出す。
向かう先は、廃工場。
二人はまだ知らなかった。
そこに、巨大樹とは別の“異変”が待っている事を。
