見出し画像

終わらない時代 第5話 脅威の工場

ジュリアとリンは廃工場に到着した。

「資材って何だろ?」

ジュリアは廃工場を見たまま答える。

「工場なら機械や部品、工具。それから原料ね。」

「それを売って宿代か!」

そう言って笑うリン。

廃工場の周囲には何も無い。

ボロボロの建物。

屋根は崩れ、窓はほとんど割れていた。

リンが呟く。

「なんかさ。」

「あの廃村と似てない?」

ジュリアは再び廃工場を見る。

確かに同じだった。

長い時間放置された場所。

「ん?」

「何この花?見た事ない。」

ジュリアも近づく。

花のすぐ近くに、小さな虫がいた。

赤く光沢のある甲虫。

「それにこの虫…気持ち悪い…。」

リンは恐る恐る観察する。

「リン。」

「うん?」

「早く売れる資材を探すよ。」

「はーい。」

二人は工場の中へ入っていく。

薄暗い工場内には古びた資材が並んでいた。

コンベア。

古びた工具。

金属板。

リンが辺りを見渡す。

「宝の山じゃない!」

嬉しそうなリン。

近くの機械に手をかけ持ち上げようとする。

「……重っ!」

ジュリアが呆れた表情で言った。

「無理に決まっているでしょ?」

リンは笑う。

「ちょっと試しただけだって!」

「手分けして回収しよう。」

ジュリアが指示する。

「了解!」

二人は資材を探し始めた。

廃工場の中は金属音だけが響いた。

金属板を運び、工具を拾う。機械を分解して部品を取り出す。

小型トラックの荷台に、少しずつ資材が積まれていく。

「ふぅ…宿代くらいにはなりそう?」

ジュリアが答える。

「買い取り業者次第。」

リンが笑う。

「高く買い取って貰おうよ…」

カサ……

工場の奥から音がした。

2人の手が止まる。

リンが小さく言う。

「……何かいる。」

ジュリアも同じ方向を見る。

作業台の上に小さな影。

二人は近づく。

そこには――

おかしなネズミが一匹。

リンが顔をしかめる。

「何このネズミ!?気持ち悪い!」

ジュリアは冷静に観察する。

「この虫……外にいた虫と同じ?」

リンが少し後ずさる。

「寄生してるの?」

ジャリ……ジャリ……

後ろから足音が近づいてくる。

二人は同時に振り向く。

暗い通路の奥から牛が現れた。

リンが目を見開く。

「牛…?」

その姿はネズミと同じく普通ではなかった。

リンが小さく言う。

「何なの…?虫が沢山くっついてる…。」

ジュリアは静かに牛を観察する。

「私達の事…見えてない?」

牛は二人の横を通り過ぎ、そのまま工場の奥へ歩いていく。

ネズミも牛の後を追う。

「奥に何があるの?行ってみようよ!」

リンは廃工場の奥に行こうとしたが、ジュリアが止めた。

「待って!もうすぐ日が暮れる。今日はここまでにしよう。」

「……分かった。帰ろう。」

2人は小型トラックに乗って町に戻っていった。

2人はまだ気付いていなかった。

廃工場の奥に恐るべき「脅威」が潜んでいる事に。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集