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終わらない時代 第12話

『入隊への試練』

ジュリアとリンが案内されたのは広い部屋。

部屋には大きなケースとバックパックが2人分置いてあった。

「これを身に着けろ。」
カイルは2人に促す。

「この部屋の奥まで走ってここまで戻ってこい。これは体力テストだ。」

2人はバックパックを背負い、両手にケースを持つ。

「よし…始め!」
カイルは合図した。

ケースは1つ10キロ。バックパックは30キロ。
合計50キロの装備品。

男性隊員でも厳しい重量なのだが、ジュリアとリンは難なく動いていた。

(ふむ…体力は問題ないな…。)
納得するカイル。

「どう?もう1回行く?」
リンは余裕の表情。

「いや、もういい。体力テストは合格だ。」

「次は実地試験だ。ついて来い。」
カイルは2人を屋外訓練所へ案内する。

屋外訓練所は森。

人工物は無い。

整備された道も無い。

手つかずの自然。

カイルがテストの説明をする。
「次のテストは探索だ。この森のどこかに赤い植物が生えている。それを一時間以内に俺の所に持ってこい。」

ジュリアとリンは顔を見合わせた。
(この広い森を何のヒントもなしで…?)

「…では、始め!」

ジュリアとリンは森の奥へ進む。

「うーん、赤い植物…。どこに生えてんだろう?」
リンは足元を見ながら呟く。

何の手がかりもない。

周りは似たような植物ばかり。

時間だけが過ぎていく。

「見える場所には生えてないのかも…。」
ジュリアがぽつりと呟く。

「あの時の赤い植物はミネルが採ってきたし…。場所は聞いてないな…。」
リンは生存者の町の出来事を思い出す。

「リン、木の根元を見てみよう。まだ見てないでしょ?あの植物、普通じゃない。」
ジュリアは提案した。

2人は手分けして何本か木の根元を調べる。

残り時間が10分を切った。

2人の表情にも焦りが出てくる。

そして…

「あった!」
リンは木の根元から赤い植物を引き抜く。

「…やっと見つけたね。」
ジュリアは赤い植物を見つめる。

「ジュリア、早く持っていこう!」 
2人はカイルの元へ走り出す。



(ほう…時間内に見つけてくるとは…。)
「ああ、この植物だ…。いいだろう。」
宣言するカイル。

「やった!」
喜ぶリン。

(あとはミネルか…。)
ジュリアは信じている。

ミネルなら、大丈夫だと。


ーーその頃別室でミネルがテストを受けていた。

ミネルは生存者の町で採取したサンプルと写真を机に並べた。

「これは…君が採取したのかい?」
調査隊の科学者が問う。

「はい。生存者の町と呼ばれている場所で採取しました。」
ミネルはそう返答した。

(これは…見た事がないサンプルだな…。それにこの写真は…。)
調査隊の科学者はサンプルと写真をじっくり観察する。

「君はこれらを何だと思う?」
科学者はミネルに質問した。

「はい。これらは独立した生物であり、巨大樹の一部でもあります。」

「甲虫は人間や動物に寄生して自らの栄養源にしたり、自身を守る存在。」

「小さな植物は外敵などを感知し、巨大樹に知らせる存在。」

「つまり、これらは巨大樹の目であり手足なのです。」

これがミネルの出した結論。

「…君は何者だい?それは我々が3年掛けてようやくたどり着いた結論だ。」
科学者はミネルの顔を見る。

「あなたと同じ科学者です。」
ミネルは笑顔で答えた。

「では何故巨大樹は大きな都市ばかり襲う?」
次の質問。

「まだ仮説ですが、巨大樹が出現した都市は何処も資源の消費量が多い場所です。」

「恐らくこれ以上資源を使わせないように破壊したのかと…。」
これがミネルの仮説。

「それも我々が立てた仮説に近い。君は知識もあり、着眼点も素晴らしい。」
調査隊の科学者はミネルを認めている様子。


――1時間後。

「待たせたな。ジュリア、リン、ミネル。合格だ。君達の入隊を歓迎する!」
カイルは3人の実力を認めた。

「2人共お疲れ様。やったわね。」
ミネルはジュリアとリンに微笑みかける。

「ミネルは一人で合格したんでしょ?凄い!」
リンはミネルを激励した。

(どうにか仕事にありつけたな…。)
ジュリアの不安が消える。

「明朝にここに集合だ。任務を与える。」
カイルは3人に命じた。

こうして3人は調査隊として活動していく事になった。









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