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終わらない時代 第9話 赤い絶叫

翌日、3人は廃工場へ向かった。
誰も喋らない。

ジュリアは無言でハンドルを握る。
ルームミラーを見ると緊張しているのか、リンは荷台で遠くを眺めている様子。
ミネルは助手席で廃工場の地図を見ていた。

廃工場に到着し、建物を見上げる。
「…2人共、準備はいい?」
ミネルが最終確認をする。
ジュリアとリンは首を縦に振った。

リンが先頭に立ち、工場内を進む。
あれほど嫌っていた虫の近くを歩いていく。
これは訓練ではなく『実戦』。
虫を嫌っている場合ではなかった。
3人は作戦通り2階に上がる。

「…ここに流せば球根の上から燃料を落とせる。」   
ミネルは床の穴に燃料を流し込んだ。

燃料は1階の天井を伝って球根の真上から流れ落ちていく。
「よし…。上手くいった。」
ミネルはマッチに火を付け穴に落とす。

「ギイィィィィ!!」
穴の底から炎が噴き出し、絶叫が聞こえる。
「1階に行きましょう!」
3人は巨大な球根の元へ向かう。


「そんな…!」
ミネルの見立てではこれで球根は燃え尽きるはずだった。

巨大な球根の外殻は焼け落ちていたが、中心の核は赤く脈打っている。

……まだ終わってない。

だが、巨大な球根も巨大な甲虫もかなりのダメージを受けている様子。
「リン!構えて!」
ジュリアの号令で銃を構える。
「了解!」

ダダダダダ!!
銃を乱射する。

「ジュリア!数が多い!」
焦った表情のリン。
「一体ずつよく狙って!」
助言するジュリア。

(よく狙って…。)
深呼吸して照準器を覗く。
リンは周りが見えなくなっていた。
 
「うわぁ!!」

死角から伸びてきた蔓に拘束されてしまう。
「ぐぁっ…!!」
蔓はリンの身体を締めつける。

「リン!今助ける!」
ジュリアは蔓に銃口を向けるが蔓は不規則な動きで狙いが定まらない。
(マズい!このままじゃ…)

「球根を撃って!!」
ミネルが叫ぶ。

ジュリアは素早く動いた。
「リンを離せ…!」

至近距離から無防備な球根の核に多数の銃弾を叩き込む。
「ギイィィ……!」
奇声を上げる巨大な球根。
核の赤い光が消えていき、周囲の蔓が床に倒れていく。
巨大な甲虫も炎で焼かれて力尽きていく。
巨大な球根と甲虫は完全に沈黙した。

「はぁ…はぁ…」
ジュリアは銃を構えたまま確認する。
(……もう大丈夫そう。)
ジュリアは銃を下ろしリンの元へ駆け寄る。
ミネルも駆け寄る。
「リン!大丈夫!?」

「あぁ…何とか…。」
リンは疲れた様子だが無事だ。
(良かった…。)
安堵するジュリアとミネル。

「ジュリア…助けてくれてありがとう。」
リンはジュリアに礼を言った。

「私達、やったんだね…。」
ミネルは囁く。

「作戦成功ね。」
ジュリアは微笑む。

3人は抱き合って喜んだ。
限られた人員。
限られた物資。
限られた時間。
無茶な作戦だったが彼女達は成功させた。

「町に戻りましょう。」
3人は廃工場を後にする。

…少しだけ強くなったような、そんな気がした。


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