本好きの下克上 14章 「決着」
『本好きの下剋上』14章 「決着」
ハッセの一件が、ひとつの結末を迎える章。
正直、この回は読んでいて楽しい話ではない。
できれば避けて通りたいような重さがある。
でも、だからこそ描かれる意味がある回なのだと思った。
今回強く感じたのは、貴族としてのローゼマインの認識と覚悟の足りなさを、改めて突きつけられたこと。
麗乃としての現代の価値観。
マインとして生きてきた下町での感覚。
そして、ローゼマインとして求められる貴族の常識。
その3つが混ざってしまうのは当然だと思う。
特に麗乃として生きた時間は長く、現代の「話し合えば分かり合える」という感覚が根底にある。
けれど、この世界では身分や立場そのものが大きな意味を持つ。
ローゼマインが守りたいと思ったものと、貴族として守らなければならないものは、必ずしも同じではない。
優しさだけでは守れないものがある。
その現実を目の前に突きつけられた回だった。
そしてハッセの村長については、もちろん許される行動ではないけれど、「こういう人はどの時代にもいるのだな」と感じた。
自分の知っている範囲だけで判断すること。
相手の立場や、その先にあるものを想像できないこと。
時代が変わっても、人間の弱さとして残る部分なのかもしれない。
だからこそ、この出来事を経験したローゼマインが、これからどう向き合っていくのかが大切なのだと思う。
重い出来事の後、最後に元家族からの思いやりが描かれたことで、ただ苦しいだけで終わらなかった。
マインだった頃の温かさは、ローゼマインになっても失われていない。
貴族としての責任を背負いながらも、彼女の中にある大切なものが残っていることに、少し救われた章だった。
