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日常の光を、写真と文章で——『記憶の停車場』作者に聞く|文学フリマインタビュー

この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。

今回参加いただいたのは miho さんです!

屋号:こころの現像室 -写真と文章-
作者名:miho
近刊本:『記憶の停車場』『色彩エッセイ −WHITE−』『色彩エッセイ −BLACK』、『Shizuoka2020-2023 Lite Edition』(写真ZINE)、ポストカード・しおり・L判写真(グッズは全てQRコードから読めるエッセイ付き)
参加イベント・ブース:文学フリマ東京41・ち-34
文学フリマカタログ:https://c.bunfree.net/c/tokyo41/4F/%E3%81%A1/34
Webサイトなど:

X:https://x.com/p_c_m22
Instagram:https://www.instagram.com/p_c_m22


どんな本を出されているんでしょうか?

諧謔:屋号と作者名を教えていただけますか?

miho:「こころの現像室」で出してます。サブタイトルが「-写真と文章-」です。作者名はmihoです。

諧謔:今回出される本は、どのような内容でしょうか?

miho:エッセイ集を3作品と、写真ZINEと、QRコードが付いていて読み取ると文章も楽しめるポストカード・しおり・L判写真を出します。QRコードの作品は共通です。

エッセイは3作品作りまして、1作品目がメインで「記憶の停車場」という本です。2つ目がシリーズ作品になってて色彩エッセイ、色をテーマにしたエッセイで、ホワイトとブラックの白と黒ですね。色をテーマにエッセイを書いて、それをまとめた作品です。

諧謔:メインの「記憶の停車場」はどんな内容なんですか?

miho:去年、30歳になり、自分の人生を振り返ってみようと思い、noteで1年間毎週末にエッセイを書き続けたんです。それで1年間書き続けたものを、今回本にしようと思って自分で大幅に加筆修正をして、一冊の本に作り上げました。

テーマは日常なんです。日常の中にある些細な出来事、子どもの頃の思い出とか、今自分が大切にしてることとかをすくいあげて、なんとなく優しいような柔らかいような話を集めました。

諧謔:30歳で振り返りたいと思ったきっかけは何だったんですか?

miho:私自身が10代の時にすごく生きづらさを感じてて、とにかく生きるのが苦しかったんです。20代になっても、「私は何者だろう?」とか「生きるとは何だろう?」っていうのをずっと考えて葛藤して。でもそれでも「やっぱり生きなきゃな」っていう思いを抱くようになりました。すると、ようやく30歳手前ぐらいで、トンネルを抜けたような感覚になってきたんですね。

そういうことを感じてる人って多いんじゃないかなと思って。私の人生を振り返っているんですけど、普遍的なテーマに落とし込めるように書きました。なんとなく辛いこともあるけど、日常にある「きらめき」を大切にしたい。ぐちゃぐちゃでも、それでも前に進んでいきたいっていう気持ちを素直に書いたような本になってます。

諧謔:生きづらさというのは、具体的にはどういうものだったんでしょうか?

miho:「なんで生まれたんだろう?」とか、「私が生きる意味ってなんだろう?」とか。自分の気持ちがよくわからなくて、自分が何がやりたいのか自分でもわからない。苦しいこともいっぱいあって、なんでこんな苦しい思いをして生きてかなきゃいけないのかなっていう、ティーンエイジャーのよくある年頃の悩みみたいな感じですかね。

あと家族の問題。本では、家族をテーマにした話が多くて、親にちょっと強く言っちゃったけどそれを後悔してる自分とか、でもそれを謝れないもどかしさみたいな。本当は感謝してるって言いたいけど素直になれないっていう、一筋縄ではいかない難しい気持ちを振り返ったんだと思います。

言葉にすることによって、過去の自分を抱きしめてあげるような、気持ちをショウカする…昇華の方ですね。

諧謔:こういう人多いんじゃないかなって気づいたきっかけは何だったんですか?

miho:私自身が高校時代に親と仲が悪くなった時があったんです。その頃、一番の悩みが家族だったんですけど、大学生になった時にいろんな人と知り合って交友関係も増えて、家族の話しをすると結構家族で悩んでる人って多いんだなって知ったんです。

いろんな子の話しを聞いてると、悩んでるのって自分だけじゃなかったなって視野が広がって。やっぱみんな似たような感情ってどこかしらで持ってるのかなあと思いました。

書いていくうちに思ったんですけど、それってもしかしたら多くの人もこういう気持ちに共感できることあるんじゃないかなと。同じ人生って絶対ないけど、似たような感情を抱く時って結構あると思うんですよね。親との関係もそうかな。私の書いたもので、「ああ、ちょっと自分もわかる、こういうことあったな」って共感してもらえたらいいなあと思って本にしました。

諧謔:色彩エッセイはどういう内容なんですか?

miho:もともと「記憶の停車場」を作ったとき、誰かに読んでもらいたくて本にしたいと思ったんです。文フリみたいなところに出ればもっといろんな人に読んでもらえるかなあと思って、じゃあもっといろんな価格帯のものを作ろうと思って色彩エッセイを書いてみました。

諧謔:白と黒にしたのは何か理由があるんですか?

miho:まず取っつきやすいのが白と黒かなと思ったんです。分かりやすい、対になる。でも意外と書いてみると難しくて。写真だと「光と影」とよく言いますけど、光があるから影があるんですよね。白があるから黒があるみたいな。意外と書きやすいかなと思ってたけど、これは白も黒も言えそうだなあとか、これ書けるかなみたいな葛藤はありました。色って難しくて面白いなあとは思いました。

諧謔:色のシリーズ化を考えてるんですか?

miho:今回は白と黒で作ったんですけど、いずれ赤とか青とか、虹色になればいいかなって。結構面白かったんですね、書いてて。

色って、例えば「りんご」って言ったら「赤」じゃないですか。でも「赤いコート」の話になったら自分だけの話になっちゃう。この境目が難しいんですよね。自分に課題を課したいのかもしれない。テーマを決めてから書くという練習ですね。色は難しくて、まず題材を探すのが難しい。これは自分にとってはこの色だけど、みんなに読んでもらうにはこの色じゃないのかもしれないみたいな。

諧謔:なんで自分に課題を課したいんですか?

miho:年を重ねるごとに、新しいものって自分で作っていかないと減っていくばかりなんですよね。10代、20代で初めて見る景色って山のようにあったと思いますけど、年を重ねるごとに経験が増えてくから、これだったらこのパターン、この景色もう見たことあるなって増えていって、刺激が減ってくるんです。

やっぱりある程度の刺激を、やっぱり人は必要としてるのかなと思って。それが私にとって創作になってるんですかね。同じことをやり続けてても面白くないので、新しいものを取り入れていきたい。それが長く続けられるヒントになるのかなと思います。

諧謔:どんな方に読んでほしいですか?

miho:私のエッセイは読みやすい言葉で書いてます。誰でもさらっと読めるような言葉で書くように心がけています。テーマも結構普遍的というか、そこらへんに転がってそうな話ばかりなので、ぱーって読んでもらうと共感してもらったり、「あるある!」みたいなそういう話も多いと思います。

日常の優しさというか、光みたいな、そういうふわーっとしたものが読みたかったら、ぜひご興味あればお越しいただければ幸いです。

これまではどんな活動をされていたのですか?

諧謔:これまで出した本はありますか?

miho:文章の本は今回が初めてなんです。写真集は昔から出していて、何年か前にも出してます。もともと写真の活動の方がメインというか、表の活動は写真の方がすごく多かったので。スナップショット、街の瞬間を切り取るみたいな作品撮りをしてて、そういう写真集は作ったことがありますね。

今回、文学の人達にも手に取ってもらいやすいような、ちょっと薄めのZINEにして再編して出してます。

諧謔:写真を選ぶときってどんな感じで選んでるんですか?

miho:写真集の場合だと、見開きで見たときに対になってたり。あと全然被写体は全然違うものでも、なんとなく構図が似てたりとか。色あそびしてみたり……同じ色がテーマになってるような作品を並べてみたりとか、なんとなく違うけどちょっとした共通点があったりとか、むしろ真逆だとか、そういうので選んでますね。

諧謔:文章を書くようになったきっかけは何ですか?

miho:もともと文章は結構書くのが好きだったんです。小学生の時から作文とか読書感想文とか結構得意で。でも本格的に書き始めたのは、友人がnoteを始めて、それで私も触発されて書いてみようと思って書き始めたんです。何年か前の話ですね。

その時、どうしても書きたい話があって、それを書いたら自分の中でも満足かなと思ってたんです。だけど、それを書いた後もどんどんスラスラいろんな他の話も湧き出てくるように出てきて。昔の話がね。書いていくうちに、「あ、これエッセイって言うんだよなあ」みたいな。日記とはまた違う感じ。自分の話だけど、人に読んでもらうための文章。そういうのが山のように出てきました。

諧謔:写真や文章を創作してる時って、どんな気持ちなんですか?

miho:「生まれてきたからには、自分の生きた証しを爪痕として残したい」っていう気持ちはすごくあったんです。「何かを生み出す」っていうことに対して価値があると思ってるタイプの人間で。書き続けてるうちに本を作りたいなって思ったんですよね。本として形に残して、自分の生きた証しというものとして、この世に残しておきたいっていう気持ちがすごく強くなって、それで本になりました。

本当にたくさんの方が写真を撮ったり文章を書いてらっしゃるんですけど、皆さん、やっぱり何かを残したいと思ってやってると思うんですよね。鉄の壁に爪を立てるような思いで……。そう言ったら大げさかもしれないけど、私はその感覚に近いですかね。いっぱいいろんな人がいて、芽が出る芽が出ない、いろいろあると思いますけど、それでも何かを残したいっていう強い想い。だから、もう本当に、鉄の壁に爪立ててるような気持ちでやってます。

なかなか爪痕がつかないけど、でもそれでも私はここに生きているという思いをぶつけて。鉄の壁は、もしかしたらこの世界なのかもしれないですね。「私はここで写真を撮って文章を書いているぞ!!」という、ちっちゃな叫びというか。叫んでる側かもしれないですね。

イベントへの意気込みをお願いします!

諧謔:文学フリマ参加への意気込みをお教えてください。

miho:前回の文学フリマに友人と共に行った時に、会場の熱気がすごくて、これだけたくさんの人が自分の作ったものを世に出して、誰かに届けようとしてる熱量にすごい感動しちゃって、もう私もここに出たいと思ったんですよね。その時に。

なので初めてなんですけれども、ちょっとそんな熱い人々に紛れて、私も精一杯頑張りたいと思います。

諧謔:最後に読者へのメッセージをお願いします。

miho:私のエッセイは読みやすい言葉で書いてます。多くの人に読んでもらうためには、読みやすい文章の方が多くの人に届きやすいかなと思って。ネットの文章とかもそうですけどね。一文が長くばーってあるよりも、短く区切ってたほうが読みやすい。あとは、難しい漢字に振り仮名を振らないのは読みにくいですからね。そういう点を踏まえて、読みやすい文章を心がけて書きました。

テーマも普遍的なものが多いです。そこらへんに転がってそうな話ばかりなので、読んでもらうと、「あるある」みたいなそういう話も多いと思います。同じ人生は1つもないけど、重なる部分を感じてもらえたら嬉しいです。ぜひ日常の優しさ、光みたいな、そういうふわーっとしたものが読みたかったら、ご興味あればお越しいただければ幸いです。

インタビューを終えて

人生はつらいことばかりだと、子供のころから思っていたかもしれない。そこまで言語化していなくても、毎日楽しい?と聞かれたら、屈託ない笑顔で「うん!」とはいえないタイプの子供だった。なんであの子たちはあんなに楽しそうなんだ、何も感じていないのかなって、一人でぐるぐるして、彼らを遠目で眺めながら教室の隅っこにいたことをmihoさんへのインタビューが終わったあとに回想していた。なんで生きているんだろうってのは、客観的に説明のつく本当の意味というのはきっとどこにも存在しなくて、誰かが決めた答えがそれっぽく多数派の人に信じられているだけで。考えても答えは見つけられないし、きっとその意味付けは自身で決めたらそれが意味になるんだろうと、私自身もmihoさんの似たようなタイミングでトンネルを抜けた。次また数年生きたら、別のトンネルが待っているのかもしれないし、20代の時より肩の力を抜いて、たまには踏ん張って、でも基本はゆっくりで、生きていく。

インタビュー担当:諧謔

制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)

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