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猫との日々を短歌と小説に——『猫星人VSタコ怪獣』さとうきいろさんに聞く|文学フリマインタビュー

この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。

今回参加いただいたのは さとうきいろ さんです!

作者名: さとうきいろ
近刊本:『猫星人VSタコ怪獣』
参加イベント・ブース: 文学フリマ東京41 B-14
HPなど:

文学フリマカタログ:https://c.bunfree.net/c/tokyo41/1F/B/14
X:https://x.com/sugar_section
Instagram:https://www.instagram.com/satokiiro


どんな本を出されているんでしょうか?

qbc:今回出される本は、どのような内容でしょうか?

さとうきいろ:普段は短歌を作ってSNSで発表しています。例年文学フリマでは、SNSで発表した短歌をまとめた歌集を発行しています。
今回の文学フリマでは、猫を今年の初めから飼い出したこともあり、猫に関する短歌がたくさん溜まったので、猫に関する短歌と、猫に関する小説、といってもショートショートぐらいの文量なんですけど、そういったものをまとめた本を出します。

qbc:どんな感じの内容になるんですか?

さとうきいろ:タイトルは「猫星人VSタコ怪獣」で、表題作でもある「猫星人VSタコ怪獣」は、物語風の連作短歌です。うちの猫はタコのぬいぐるみが好きで、いつもけりけりしたり遊んでるんです。その光景を見て「猫とタコが戦ってるな」と思えたので、猫とタコが戦っているような光景を物語風の連作短歌にまとめました。それだけでなく、SNSで発表した猫との日常的な短歌をまとめた章なども収録します。

qbc:猫は何猫なんですか?

さとうきいろ:ブリティッシュショートヘアの男の子です。最近一歳になりました。

qbc:本の中に込めた気持ちとかメッセージとかそういうものってありますか?

さとうきいろ:初めて猫を飼ったんですが、想像も一緒に生活するのは大変でした。でも意外なことがいっぱいあるのが楽しくて。今まで過ごしていた日常と陸続きだけど、日常からちょっと違う日々がやってきて、楽しいなみたいなことですかね。

qbc:どんな人に読まれたいっていうようなイメージはありますか?

さとうきいろ:猫好きさんはもちろんですけど、ファンタジー的な作品でもあるので、今まで短歌に触れてこなかった方にも手に取ってもらいたいです。もちろん、猫好きな短歌好きさんはぜひ!

qbc:読み終わった後、どんな気持ちになってほしいとか、どんな行動を取ってほしいとかってあります?

さとうきいろ:家に猫がいれば猫を撫でてほしいですし、ぬいぐるみがあればぬいぐるみを撫でてほしいですね。

qbc:端的に言って、猫との生活って、今どんな感じなんですか?

さとうきいろ:最近はやっと落ち着いてきたんですが、それでもずっと見ちゃいますね。本当に何をしてても見ちゃう。寝てても見ちゃうし、遊んでても見ちゃう。家のなかにずっと見ちゃうものがいる、という感じです。
今回収録している歌の中に、まさにそんな生活を歌った短歌があるんです。
「予定では料理も読書も積みゲーもするはずだったが猫を見ている」っていう。全部予定をすっ飛ばしても、気づけば猫をぼうっと見ている生活ですね。

qbc:短歌はどれぐらいの頻度で作られるんですか?

さとうきいろ:一日に何本は作ります。最低でも一首以上は作るようにしてます。

qbc:作るサイクルってあります?一日の中で。

さとうきいろ:逆に決めないですね。何にも本当に出てきてなければ、夜頑張って生み出そう!っていう時間はつくります。でも、頑張って作るというよりは、日常の中で浮かんだことをすぐスマホのメモに書いたりして作っています。

qbc:完成させるのは夜とかそういうのもなく?

さとうきいろ:ものによりますね。すごく頑張って推敲しようっていうのは確かに夜とかにやりますけど、喋るみたいな感覚でほろほろっと出てくるような短歌は、そのまま完成になりますね。


これまではどんな活動をされていたのですか?

qbc:これまではどんな本を書かれてきた方なんでしょう?

さとうきいろ:文学フリマ自体は三年目ぐらいで、これまでも短歌の方をまとめて発行してました。今まではSNSで発表してきたものを一年分まとめて一冊にするっていうような形でした。テーマとかはなく、自分の一年分をまとめた歌集っていう形で作ってました。

qbc:いわゆるTwitter短歌の人っていう理解でいいですか?

さとうきいろ:そう名乗るのが一番近いかもしれませんね。Twitter短歌も頑張っていますし、雑誌などへの投稿も頑張っています。

qbc:短歌自体はいつ頃から始められたんですか?

さとうきいろ:四年ぐらいですかね、確か。

qbc:きっかけは何だったんですか?

さとうきいろ:きっかけはこれもTwitterなんですけれど、バズった岡本真帆さん、まほぴさん(https://x.com/mhpokmt)「ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし」(『水上バス浅草行き』収録)っていう短歌がもうものすごく刺さって。
暗誦できるほど読み込んでしまったんですね。そうしていたら、岡本真帆さんが歌集を出されて、それを読んで、私もやってみたいなあっていうところからはじめました。最初はTwitterへの投稿から始めた感じですね。

qbc:どうでした? 短歌作ってみて。

さとうきいろ:最初は、ただ面白かったですね。5・7・5・7・7の定型に当てはめて言葉を出すっていうこと自体が本当に面白くて。それが、どんどん「面白い」から「難しい」になっていきました。もっと上手に短歌に出来ないのかなとか、みんな何を考えて作っているんだろうと。今は「難しいけど面白いな」っていうところにいますね。

qbc:前はどういう文章を書いてたんですか?

さとうきいろ:小説とかは書いてはいましたけど、しっかり書いてはいませんでしたね。

qbc:短歌を歌集にするというか、文学フリマで出るっていうところまで行けたっていうのは違いがあるんですかね?

さとうきいろ:子どもの頃、小・中学生の頃には同人活動をしていました。自分一人でコピー本とか作っていたので、同人誌作れるな、っていう発想は自然と出てきましたね。

qbc:今、短歌で難しいなって感じることって何なんでしょう?

さとうきいろ:純粋に上手になりたいってのもありますけど、今って短歌を詠んでる人っていうのが多すぎるんですよね。その中で、どう個性を出していくか、ですね。
SNS上でもそうですし、文学フリマで頒布する際も、作品自体の個性を出すことも難しいですし、個性をPRしていくのも難しいなと思っています。

qbc:今、さとうさんは、短歌の世界をどういう風に捉えてて、自分のスタイルはこういう風にやっていこう、みたいなイメージはありますか?

さとうきいろ:Twitter短歌って定期的に流行になっていて、その度に新しい人たちがどんどん入って、SNSで発表するっていうようなサイクルがあるんですね。私もそれで入ってきた一人なんですけど。
その中から雑誌に投稿しだす人がいて、歌人としてやっていこうという人がいて、SNSだけ、趣味として詠んでる人がいたり、それぞれ短歌との向き合い方があると思っています。

それはそれとしてやっぱり歴史がある定型詩の世界なので、上の方はもうすごい上の方がたくさんいて。インターネットの世界を離れて見ると、ご年配だけど全然新人の人もいたり。そういうところも面白いなとは思いますね。ほかの趣味や、会社のコミュニティで出会う人とは違ってきますね。自分のスタイルとはずれたお答えですけれど。

qbc:結社に入ろう、みたいなことはあるんです?

さとうきいろ:結社入ってないです。入ろうかっては考えることはありますけど、怖いですよね。30代後半で短歌を始めたので、この年でどういう顔して新人ですって入るんだろうと日和ってしまいます。

qbc:自分にとって書くこととは、何ですか?

さとうきいろ:書くことは、やりたいことですね。息をするように言葉を書けるかっていうと、全然そこには達していないのですが、言葉を書いていきたいなあ、苦しくても書いていきたいなあと、今は思い続けてますね。

qbc:書く前は、どんな気持ちですか?

さとうきいろ:書く前は何パターンかありますね。息をするように自然に同時に言葉が出てくることもあります。そうではなく、書かなくちゃ、やらなくちゃって辛いと思いながら書いてる時もありますね。それはそれで完成すると楽しいですけれどね。

qbc:書いた後は、どんな気持ちになっていることが多いですか?

さとうきいろ:「無」ですね。出したら無になるタイプなんです。体の中に言葉があって、それを出したので、もう私の中には何もないですっていう感覚です。
なので、書き終わったものを推敲する作業が一番しんどいですね。もちろんしなきゃいけないんですけれど。

qbc:短歌を書くきっかけはお伺いしたんですけど、短歌が続いてる理由って何だと思いますか?

さとうきいろ:短歌ってSNSとかで毎日お題を出してくれるようなサイトやアプリがあって、もうどんなに辛くても何にも浮かばなくても、これだけは毎日出そう!と思ってやってきたので、それで続いてるのはあると思います。運営してくださってる方々には、本当に感謝の思いです。

イベントへの意気込みをお願いします!

qbc:文学フリマ参加への意気込みを聞かせていただけますか?

さとうきいろ:今回は今までSNSに出してきた短歌をまとめたという形とは違って、初めて一つのテーマに絞った本っていうのを出してみることにしました。
今回は自分でも本づくりを頑張ろう!いい本にしよう!と思って、表紙のイラストもデザインも専門の方に頼みまして、かなり可愛い本に仕上がる予定です!ぜひ本の表紙だけでも見に来て、立ち読みだけでもしに来ていただければ嬉しいなと思います。

qbc:文学フリマの魅力ってどんな所にあると思いますか?

さとうきいろ:実は文学フリマ自体はもう十年前ぐらいから遊びに行っています。あの頃から、「文学って言えば、何でも出していいんだ」っていうような場所だなっていうのが私の中の認識です。
最近衝撃を受けたのは、「ブーン」ってご存知ですか? 2ちゃんねるのVIPっていう板のキャラクター?なんですが。

qbc:”⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン”

さとうきいろ:2010年ころに「ブーン系小説」という、いわゆる2ちゃん小説・SSみたいな形式の作品がはやっていたんです。最近の文学フリマで、「ブーン系小説」のQRコードを配布している人がいたんですよね。
令和に「ブーン系小説」を文学フリマで配布していいんだ!と感動しました。本当に何でもやっていいんだなっていうのが一つ、文学フリマの大好きなところですね。
文学だからこういうことを書かなきゃいけないとかってないはずなので、広義の文学っていうものが許容され続ける場であってほしいし、それを面白がれる人たちがたくさん出店して、たくさん遊びに来てくれる場であり続けてほしいです。

qbc:最後に読者へのメッセージをお願いします。

さとうきいろ:一年間猫と過ごした日々っていうのを、素直に表現できた短歌がたくさん詰まっています。今の私にしか書けない、作れない本になったかなと自負しています、ぜひ見に来ていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

インタビューを終えて

すこし前に歌人の人を一年くらい追跡インタビューしていて、歌を詠む生活の片鱗というか手ざわりみたいなものを覚えているのだけれども。
言葉を定期的に生み出すということは、結局、日常と密接になっていくことが多いんだろうなと。今回は、その日常の中に「猫」が入りこみ、そうすることで、どのように、毎日の、気持ちというものが変化していったのか。
その世界の中にすこし侵入するような感触のあるインタビューでございました!

⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
    ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
        ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン

インタビュー担当・制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)

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