写真と絵本で紡ぐ、自分なりの幸せ——『ねこのすみか』みけにゃんさんに聞く|文学フリマインタビュー
この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。
今回参加いただいたのは みけにゃん さんです!
屋号:ねこのすみか
作者名:みけにゃん
近刊本:「わたしのご褒美タイム 推しパフェ記録」「大賀ハスに魅せられて〜千葉公園朝さんぽ〜」
参加イベント・ブース:文学フリマ東京41・D-81
文学フリマカタログ:https://note.com/1031mike
Webサイトなど:
どんな本を出されているんでしょうか?
諧謔:屋号と作者名を教えていただけますか?
みけにゃん:屋号は「猫のスミカ」で、ひらがなです。作者名はみけにゃんです。
諧謔:今回出される本は、どのような内容でしょうか?
みけにゃん:フォトブックが2冊と、絵本が1冊です。フォトブックは「推しパフェの本」と「朝散歩した大賀橋の写真」で、どちらも自分が一押しの写真、本当にぜひこれは見てほしいなっていうベストショットを厳選して一冊にしました。
絵本の方は、休職エッセイをもとにした作品です。もともと文字で全部書いていたんですけど、文字だと読みづらい部分もあったので、絵を描いてもらうことで、ちょっとソフトにして、より本当に休職している人に読んでもらえたらいいなっていう思いを込めて作りました。
諧謔:フォトブックは厳選してとのことでしたが、どんな風に選んでいるんですか?
みけにゃん:直感ですね。自分でもう一回見返しても「あっ」ていう、目を引く写真というか、ちょっともう一回見たいなって、つい二度見しちゃうような写真を選んでいます。写真自体はいっぱい撮っているので。
諧謔:直感で選んでいる時って、どんな気分になりますか?
みけにゃん:写真は、だいたいほとんどが風景とか食べ物、パフェなんですけど、どの部分が一番ものを美しく見せるというか、魅力を引き出せる部分を、どの角度から撮ったらいいかとか、そういうこと考えているのはワクワクしますね。それを見てくれた人がやっぱり同じように「いいね」って共感してもらえることを思ってやっているので、すごい楽しいです。
諧謔:パフェを好きになったきっかけはありますか?
みけにゃん:たまたま友人がすごい芸術的なパフェを知ってて、「知ってますか?」みたいな話になって、「いや、知らないです」みたいな。「あるんですよ」って言われて、意外と自分の自宅から近い場所にあったので、せっかくならじゃあちょっと行ってみようかなって思ったんです。
ただ予約制で、すぐ取れるだろうなと思ったら意外と取れなくて。当時、私が教えてもらったのが二年近く前なんですけど、全然取れなくて、最初はやっぱり三ヶ月ぐらい行くまでかかりました。
諧謔:三ヶ月ですか。どんなパフェだったんですか?
みけにゃん:まず見た目が美しいんです。本当に芸術的で、もう見ている方が、写真撮っている時間の方が食べている時間より長いかなっていうぐらい。食べるのがもったいないっていう感じです。
でもすごい、やっぱり食べる人のことをすごい考えられているパフェで。基本的にパフェって甘いんですけど、ちょっとしょっぱい部分もあったりとかして、飽きが一切来ないっていう、最後の一口まで美味しいんです。一回食べたらやっぱり虜になるなっていうのがよくわかるパフェですね。
パフェももちろん美味しいんですけど、お店の雰囲気もすごくて。ちょっと少し暗めというか、落ち着いた雰囲気もあるし、店長さんとか他の店員さんとかもすごい対応がいつ行ってもアットホームで、気遣いで必ず一言二言、声かけてくれたりするので、自分にとっては本当にご褒美パフェみたいなところでもあるし、癒しパフェでもあるし、元気をもらえるような、サードプレイスみたいなそういう存在です。
諧謔:パフェのどんなところに魅力を感じているんですか?
みけにゃん:実際言うと、パフェはそんなに実はそんなにまで興味なかったんですね。他のパフェを食べているかって言ったら、実はあんまりパフェは食べてなくて、このお店のパフェだけにちょっとこだわりを持っている感じです。だから本当にここしか逆に言うとパフェは食べてないんですけど。
やっぱりお店の雰囲気、味だけじゃなくて、もう空間ですね。お店の空間自体に魅力を感じています。
諧謔:三冊目の休職の絵本ですけど、これはどんなきっかけがあったんでしょうか?
みけにゃん:もともと絵本を別で書いていて、でもせっかくならやっぱり休職のこともやっぱり自分にとってターニングポイントでもあったので。実際いろいろその休職の、エッセイも出した時もあって、すごい反響があったんですね。
でも内容的に、やっぱりそんなに明るい内容じゃなかったんですよ。ちょっと重たい、結構リアルな話を結構セキララに書いたので、読む分にはちょっとやっぱきついというか。当事者になっている時は、例えば実際休職している人がそれを読めるかっていうと多分読めないんですよね、重すぎて。
でもそれをちょっと絵で起こしてみると、やっぱり柔らかく、ちょっと雰囲気が変わってきて。内容としてはそんなにすごい大きく変わってはないんですけど、絵がクッション材じゃないんですけど。あと文章もそんな難しい、ちょっと重たい内容をなるべく控えめにして、シンプルだけど、でも言いたいことはちゃんと絵本には込めたというか。
だから誰か、本当に気軽にもう寝転がりながらでも読めそうな内容で、ちゃんと最後は明るい内容になっています。
諧謔:反響があった時って、どんな感情になりましたか?
みけにゃん:嬉しいっていうのも変な話ですけど、やっぱり周りには自分の周りにはそんなにいなかったので。やっぱりこの世の中っていうのもちょっと極端な話ですけど、やっぱり休職で悩んでいる人とかたくさんいるんだなって改めて感じました。
それで自分のエッセイとかが何かしら、人の心にちょっと響いて、気持ちが少しでも軽くなれば、それは嬉しいなっていうのは感じました。
これまではどんな活動をされていたのですか?
諧謔:これまで他にどんな本を書いて来られましたか?
みけにゃん:他には二次創作、ファンアートの本は結構書いていました。簡単に言えば男女の恋愛ものですね。十年前ぐらいから書いています。
あとは過去に絵本も作ったことがあって、それは自分のまたノンフィクションで、ペット、猫を亡くした時の話ですね。ペットロスの絵本です。
諧謔:どんな猫だったんですか?
みけにゃん:種類としてはキジトラだったんですけど、もう可愛い。本当に可愛いの一言としかないんですが、もう癒しというか、生きがいに近かったですね。人生楽しいなっていうのをすごい感じさせる存在でした。
諧謔:生きがいがいなくなってしまったということですよね。
みけにゃん:本当そうですね。生きがいが急にいなくなって。まあ生きがいっていうとちょっと極端な話ですけど、心の支えというか。猫と過ごしている人生ってすごい楽しいなっていう、クオリティオブライフが上がったなっていう時でしたね。
諧謔:みけにゃんさんにとって書くってどういうことなんでしょうか?
みけにゃん:やはり今究極の自己開示なのかなっていうのはあります。
実は私、自己開示ちょっと得意じゃないというか、あんまりできないんですよね。自己開示すると、それこそまあ今だからこそちょっと言えることなんですけど、自分の名前すら言うと泣いちゃうっていうぐらい、ちょっとここは病的な問題かもしれないんですけど、そういうことがあったんですよね。自己紹介とかで名前を言っただけで泣いちゃうっていう時があったんですよ。いろんな理由があったんですけど。
だから、多分いわゆる音声とか言葉っていうか音にするよりかは多分文章とかの方が、多分自分を出しやすいのかなっていうのは後々感じたことです。
諧謔:じゃあ、自己開示の方法を他にもいろいろ試してみたんですか?
みけにゃん:そうですね。最初は朗読とかそういうのもやっていたりとか、あとはハンドメイドでちょっとつまみ細工とかそういうこともやっていたり、楽器もやっていましたね。クラリネットです。それは今もやっているんです。
多分何かしら自己表現をどうしてもしたいっていう気持ちが多分子供の頃からあったんじゃないかなって。それが最終的というのはあれですけど、結果的に行き着いたのが多分文字になったんじゃないかな、文章を書くことになったんじゃないかなと思います。
諧謔:他の自己表現の方法と文章って、みけにゃんさんの中でどう違いますかね?
みけにゃん:何が違いますかね?本当にそれは私の中でも謎なんですけど。
やっぱり文章を読むのがもともと好きだったので、それを、好きな文章を読んでいたら、自分もこうしたいなっていう、多分理想があって、それを理想をちょっと自分も文字で表現してみようかなっていう気持ちになったのかもしれないですね。
イベントへの意気込みをお願いします!
諧謔:今回の文学フリマ参加への意気込みをお伺いしたいんですけど。
みけにゃん:今回はチャレンジな年、チャレンジです。今回三回目の参加になるんですけど、出店自体は三回目で、普通に買い物自体はもう何回か行っていて、文学フリマに行くこと自体はもう五回目ぐらいですかね。
やっぱり一回目がそれなりに自分の中で手応えがあって。二回目がちょっといろいろ準備不足だったりとか認識不足だったり、少しちょっといろいろ覚悟が足りなかったなっていうちょっと反省点もあったので、今回の三回目はもうちょっと初心にいろいろ戻って。
新たなフォトブックっていう本を出展するということで、自分の可能性をちょっといろいろ試したいっていうのと、純粋にいろんな人とお話ができることの喜びを味わいたいという気持ちが強いです。
諧謔:手応えってどんなものですか?
みけにゃん:手応えがやっぱり、本を出したら手に取ってもらいたいっていう気持ちがやっぱり一番強いんですけど、一回目はやっぱり結構それが、休職っていうタイトルの休職のエッセイ本だったので、やっぱりそれなりにやっぱり興味を持ってくれる人がいたんで、いけてるんじゃないっていうちょっと勝手な自惚れをしちゃったんですね。
二回目は休職の後の復職エッセイも書いていたんですよ。でももともと復職自体がそんなにやっぱり、例えばnoteとかでも記事であんまり書いている人いないんですよね。だからあんまりやっぱり正直需要ないんだろうな。でも休職と復職ってちょっと私の中ではやっぱり意味合いがちょっと違ってきて、結局休職を抜けられたから次復職で、もういろんなことがすべてが丸く収まりましたっていうわけじゃなくて、復職は復職の大変さというか、そういうのもあるので、そういうのやっぱりちょっと伝えたかったんですけど。
難しかったかなと。自分としては満足はしているし、本を作ったことも全然後悔もしてないんですけど、やっぱり人に訴えかける内容ではなかったのかなっていう点もありますね。
前回が休職の時が本を読んでもらえたから次も見てもらえるだろうっていうよくわからない期待というか、そういうのもあったので。もう何か、よく分からない根拠のない自信がついていたんだなあっていうのがあります。だから三回目はもう一回初心に戻ってやっていこうかなと思います。
諧謔:読者の方に伝えたいこととか、これから読者になるかもしれない人に伝えたいことはありますか?
みけにゃん:人生いろいろあるよなっていう。自分の中の正解っていうのは、いわゆる普通を私は求めていたんですけど、普通っていうのは何だろうなっていう風に最近は思うようになって。
多分普通っていうのは一般世間的なものでよく示されるものなんだろうけど、自分の普通と他人の普通はちょっと違っていて、みんな違ってみんないいっていう、そういう格言もあると思いますけど、それなり自分なりの幸せというか、そういうものを見つけていきたいなっていう思いで、本とかも作ったりもしているし、noteとかの発信もしていますので、よかったらこういう人間もいるんだよっていうのが分かったら、ちょっと覗きに来てもらえたら嬉しいです。
諧謔:自分なりの幸せって、みけにゃんさんにとっての幸せってどんなものですか?
みけにゃん:そんな大したことじゃないんだなと思って、やっぱり私の場合は多分一番は人とのつながりだと思っています。できればまあもちろんオンラインとかそういうところでもいいんですけど、やっぱり今回文学フリマにも出たい理由としては、やっぱり人と直接対面ができるっていうところがあるので。
ほんの一瞬でもいいから誰かと楽しい時間を過ごせれば、それが多分自分にとって結構幸せなんだろうなっていうふうに思える瞬間だと思います。
インタビューを終えて
誰かの気持ちを軽くすることを願う人にとって、自分の経験を話すこと、その中でもつらい経験を話すことは、その人自身の強さに加えて、一番つらかった時からわずかにでも足を踏み出しかけている証のような気がする。私がつらいことを話せるようになっているときは、無自覚にでも問題に対する答えが決まっていたり、もっとも感情的になっている度合いが相対的に弱くなっていたりすると思うからだ。休職していたことを文章にすること自体、おおよそしんどい作業なのは想像に難くないのだけど、みけにゃんさんは文章化することに加えて、読む側の立場に立って意図的に絵をつけているというのだから、その時点で休職時のご自身とはすこしでも距離をとれている印象を受けた。私は自身の休職の話を文章にすることはできても、(本当はまだ無理かも)絵をつけるまでの考えには至らない、すなわちまだ消化できてない、語る・書くという行為で精いっぱいのできごととして頭の隅に生きている感覚があるからだ。これは、いつかうまく消化できるといいな・・・
インタビュー担当:諧謔
制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)
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