二次創作の怖い話から短歌まで——多彩な活動を続ける『どや乳』聖龍さんに聞く|文学フリマインタビュー
この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。
今回参加いただいたのは 聖龍 さんです!
屋号:どや乳
作者名:聖龍
近刊本:「同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験)3.」「限界腐女子短歌集」
参加イベント・ブース:文学フリマ東京41・ち-35
文学フリマカタログ:https://c.bunfree.net/c/tokyo41/4F/%E3%81%A1/35
Webサイトなど:
どんな本を出されているんでしょうか?
諧謔:ブース名と作者名を教えてください。
聖龍:サークル名は「どや乳(どやちち)」と言いまして、どや乳」でずっとやっています
名前は聖龍と言います。
今回(文学フリマで)出す本は、もともとnoteでずっと連載をしている作品で、私の実体験なんですけれど、『同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験)』の三巻目になります。
実体験エッセイで、私が実際体験した事を一話完結で、ずっと連載してるまとめ本になります。一話完結なので、途中から読んでも問題ないですよっていう形で出しています。
もう一冊の本が、今回初の短歌集です。
実は私、同人サークルを長いことBLでずっとやっていたのですが、ここ数年程、特に二次創作を休んでいたんです。
それは特にハマっている作品がなかったせいなんですが、最近又数年ぶりぐらいにハマるジャンルが二次創作でできてしまって…そのハマった時から本を出す迄の間の嘆きとかを書いた『限界腐女子短歌集』っていう、腐女子の立場で詠んだ自由律な短歌をまとめた本になります。
諧謔:怖い話ってどんな感じなんですか?
聖龍:メインは人間が怖いって話ですね。
後はヒヤッとしたっていうヒヤリハットな話もありますね。
今回の新刊の中の話だと、フォロワーさんだけどそこ迄仲が良くない人…顔は知ってるけど挨拶する程度の人が、イベント中に私がブースで搬出とかをしてる時に挨拶に来られたんですよね。
その時は忙しいので挨拶をしただけで「又今度ね」って言って終わったんですけど、全然別の日にその人と所要(グッズ交換)でDMする事があって、そこで住所交換をする約束をしたんですよ。
そこで「(私の)住所を教えますね?」って言ったら、その人が「あなたの住所もう暗記してるから大丈夫よ?」って言うんですよ。
もうびっくりして「なんで???」ってなって聞いたら、本当悪びれもなく「いや、搬出してる時に(搬出の荷物の宛先見て)住所見たから覚えてる」って言うんですよ。
仮にですけど…たまにいるじゃないですか、パッと見てフラッシュ暗算みたいな感じで(見たものを一瞬で)覚えられる人が世の中いるのは知ってるんですけど、でもその人がそうだったとして、人として住所とか個人情報ってとても大事だっていう一般常識がある中で、そういう能力があったとしても、普通口に出さないじゃないですか。
そう言う嗜みみたいなのがあるじゃないですか。
そういうのがない人なのかーってなった話とか、今回の新刊にそういう「怖えーな、これ」みたいな話をいっぱい書いています。
諧謔:怖い話を本にしようと思った理由は何なんですか?
聖龍:(私が書いている)本の前書きにも定番で書いてるんですが、もともと私はずっと二次創作界隈にいまして、コロナ禍でちょうどイベントが軒並み中止になった時に、私の参加する予定のイベントも中止になってしまったんです。
世間の風潮も遠出するなみたいなのがあって行けなくなっちゃって、そしたらもうすっかり(二次創作を)やる気なくなってしまって、そこから暫く、自認としてはオタクで腐女子のままなんですけど、ハマるジャンルもなく、同人活動も年単位で休止して、友だちとネトゲをしているだけな期間がコロナのせいであったんですよ。
そんな時に友だちが…ちょうどこちらのインタビューを受けてた友だちがいるんですけど、その子がずっと短歌界隈で活動していて、文学フリマにコンスタンスにも出店しているんですが、私が暇してる時にその子から「暇しているなら、文学フリマに出てみません?」と言われたのがきっかけですかね。
私は創作以外に、私生活で人怖な体験をする事が多くて…例えば民事で裁判やった事もあって、いろいろ面白い体験をしているんですよ。
その話を友だちにもよくしてたから「そういう話を本にして出しなよ!」って前々から言われてたんです。
でもいくら二次創作で三十年近くノウハウがあったとしても「一次創作でいきなり素人が書いたエッセイを出したとして、初見の人が買ってくれるのか?」っていう思いがすごいあったので、まず(買ってもらう為にも)私をブランディングして知ってもらおうって考えたんです。
そこでnoteで何か連載しようって考えたネタがこれ(同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験))なんですよね。
最初は私の私生活の面白い話をしようとしたんですけど、私個人の話よりもこう…人が興味引きやすい話題って、他人の不幸だったり怖い話だったりが多いなっていう認知があったで、それと文学フリマに来る人だと、だいたい皆さん創作をやってたり、創作に興味がある人が多いかなと当たりをつけて、そういう人たちに受けるネタはこれかなと思って、この題材を選びました。
それがサークルをしたりとか、二次創作とか、同人活動とかやっていく上で、実際にあった怖い話です。
ありがたい事に、最初の文学フリマに出るまで、ブックマークもビューも伸びてくれて、励みになりました。
あ、初参加の時は全然(同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験)の)まとめ本じゃない、別のエッセイを出したんですけれど、それも好評いただいて、現地と通販とで完売しました。
結論、折角本を出すなら売りたくて、それなら受け入れやすく、わかりやすいネタで書き出したっていうところが、怖い話にした理由ですね。
諧謔:短歌集について、短歌にした理由は何かあるんですか?
聖龍:先程も話した、私を文学フリマに誘った友だちが、まず短歌界隈にいたっていうのが大きいですね。
私、その友だちにから聞くまで全然短歌の事を知らなかったんですが、その友だちを通じて「最近短歌が人気なんだ」っていうことを知って、そこからSNSやnoteなんかで、たまに短歌のお題とか流れてると、自分でも詠むようになったんですよね。
前に参加したイベント(文学フリマ東京40)で、無配として「オタクが詠んだ短歌」みたいなネタをまとめた無配ペーパーを作ったんですよ。
そしたらそれが意外と好評で「オタクあるあるを短歌で詠むって面白いね」と言われたんです。
そこで「こう言う面白いのか」って思ってたんです。
そこから、私が久々に二次創作のジャンルにはまった直後とかに、友だちとDMやLINEでやり取りしてる中で、結構七五調な単語とかがまとまってるなと気付いて「これ短歌にできるな?」と気付いてから、意識的にちょっとまとめだしたんですよ。
「ふざけるな」とか「赦さない」とか「気が狂う」とかそういう単語を。
そこで手始めに十首ぐらい詠んでまとめたのを、その短歌やってる友だちや腐女子友だちに見て貰ったら「面白い」って言われたんで、そこからは日記代わりに、二次創作にハマっている自分の様子を短歌で詠むようになりました。
それで「気狂いながら推しカプ漁る」とか「好きすぎて気が狂いそうどうしよう」みたいな内容を短歌で詠んでまとめていたら、気付いたら百首ぐらいできてました。
で「そこまで書いたんだったらまとめろよ」って言われて「じゃあまとめようか」ってなったんです。
諧謔:どんな方に読んでほしいですか?
聖龍:怖い話の方は、やっぱり同人活動をやってる人、創作をやってる人に読んでもらいたいですね。
短歌集の方は、二次創作でBLが好きな人、腐女子の人には是非読んでもらいたいです。
ジャンルにハマった時の嘆きとか、そういうのを共感してもらえたら嬉しいなって思います。
これまではどんな活動をされていたのですか?
諧謔:これまで他にどんな本を書いてこられましたか?
聖龍:文学フリマだけで言ったら、同人活動の話を一冊ずつ出してきた以外だったら、一番最初に出した本が『元彼が貯金返さず遁走し、裁判した愉快な話』ですね。
さっき軽く話しましたが、私は裁判した事があるってずっと公言してるんですけれど、「裁判をした経緯とかを知りたい」「裁判ってどうやるの?」をすごく聞かれてきたので、それを書いたっていう感じです。
私はその当時、付き合ってた彼氏と結婚前提でお付き合いをしてんですけれど、その彼氏と二人で、結婚資金的に三十万円ぐらいお金をちょっと貯めたんですよ。
で、その元彼が結婚前提だったのに、浮気してくれたんですよね。
深夜一時に彼氏に電話したら女が出て「あれ?彼氏に電話したよね?間違えた?」と確認しても彼氏の電話番号宛に間違いなく電話してて、やらかしてくれたなあってなった後日に、彼氏に「どういう事?」って聞いたら「浮気は芸の肥やしじゃんwww」みたいな訳分かんない理由を述べられたので「別れるわ」ってなったんですよね。
で、別れるにあたって、その結婚資金で二人で貯めた三十万円なんですが、その共同貯金が彼氏名義で貯めてたのもあったので、私の分を返せって言った瞬間に、彼氏から連絡断たれたんですよ。
「コイツ金返す気ねえな」となって、さすがにカチッときたからどうにかしたいと思って、当時私大学生だったんですけど、どうにかできないかと社会人の知り合い何人かに相談したんですよ。
そしたら「少額裁判っていうのがあるんだけど、そういうのやったら?」って言われたんです。
一日で判決がついて、少額の金銭のやり取りに特化した裁判があるって聞いて、そこから俄然やる気になって、全部自分一人で調べて裁判所に電話したり、弁護士事務所に有料で相談したりとかして、裁判所に行って申し立てをして、裁判を起こして、なんやかんやあって無事お金を返してもらったっていう話をまとめた本ですね。
それ以外にも、私結構愉快な人生を歩んでいるので、実家が金持ちだったんですけど、祖母が死んだ時に遺産相続で揉めて、親族の揉め事に嫌気がさして遺産放棄して家を出て生活をしていたら、全然連絡をしてこなかった母方の親族から連絡来て「何だろう?」と思ったら、母方の親族が最近流行りの新興宗教の方たちで「宗教入りませんか?」って連絡だったとか…そういう話をまとめた『私的に縁を切っていた血縁と、物理的に縁を切った話』っていう本を書いたり、そういう私の過去の話、こういう変な体験しましたよっていう実体験エッセイを書いています。
諧謔:本のタイトルに愉快な話ってついてたんですけど、愉快だったんですか?
聖龍:だいたい愉快なオチがつくんで、愉快で面白かったですね。
これは私の持論なんですけど、私、大阪人なせいもあって、笑えない話ってしてもつまんないなと思っているんです。
内容としては怖いしヒヤッとするけど、でも私にとっては「こんな変な話あったんだよ?面白いよね?」っていう意図があります。
私が「裁判したんだよ」って話すと、人によっては面白い話だけど(気を遣って)笑っていいか戸惑うって人とかもいて、それなら先にこっちの方から「愉快な話なんで笑っていいですよ?」っていう前提で、『愉快な話』ってタイトルにつけたんです。
私、トラブルが起こると結構トラブルを楽しむ方なんで、あんまりしんどい、もう無理っていう感じにはならないんですよね。
だから読んでもらう人にも、前提として愉快な話、面白い話ですよってわかりやすい感じにしています。
諧謔:同人活動を辞めてから、また再開した時で何か気持ちに変化とかってありますか?
聖龍:とりあえず生活に彩りができたよね。
張り合いって言ったら大袈裟かもですが、別に日常的に私生活は充実してるんですけれど、それでもなんかこう、推しがいるのと、いないとのでは、いる方がといいよねって感じですかね。
私にとって同人活動って、ある意味推し活みたいなものなので、そっちの方が生活に張り合いがあるよねって感じです。
例えば、私は趣味だと自分でセーブができる感じなんですよね。
私の中で趣味は、例えばゲームだったら「このゲーム、ちょっと今日だるいからやめよう」とか「このゲームよりも先にこの用事をしなければ」とか節制できるんですけど、それがハマった二次創作とかになると、もう沼にハマってしまったらこう、見えないものが見えてしまっているから、何をおいても書かずにはいられないみたいな感じになっちゃうんですよね。
理性よりも本能が勝る感じがすごくて、そうなるとこう、心身とも(張り合いがよりあるなって感じになりますね。
諧謔:聖龍さんにとって書くってどういうことなんですか?
聖龍:言いたいことが溜め込むことができない人間なので、人に聞いてもらうための手段としての一つですかね。
イベントへの意気込みをお願いします!
諧謔:今回の文学フリマ参加への意気込みをお教えてください。
聖龍:毎回ありがたいことに、結構皆さんよく(ブースに)来てくださるので、出店時の事前相談で文学フリマの方に相談して、今回角配置になったんですよ。
通路よりの角配置なんで、たくさん来ていただいても、見本誌の立ち読みなんかで周囲(のブース)に迷惑かけるリスクが減ると思うので、このインタビューを見た方でも、お気軽に無配とを貰いに来るだけとか、立ち読みとかでもOKなので、気軽にうちのブースに来てもらったらなと思います。
諧謔:文学フリマの魅力って、なんでしょうか?
聖龍:やっぱり「楽しい」が一番ですよ。もともとリアルイベント、同人即売会っていうものが大好きなので、一般で参加するのも、サークルとして参加するのもすごく好きなんです。
直接自分の作品を読んでくれる人と会えて話せる、もしくは自分が好きなサークルさんとか気になってるサークルを見て直に作者と対話できる、そんなコミュニケーションを取れるのが楽しくて、いいですよね。
それに色んな本があって、色んな人が参加している。
文学フリマに関して言えば、やっぱり活字に特化しているのが良くて、ジャンルがすごく多岐に渡ってるのもいいですよね。
私も初参加の時は、出店した癖に買い子目線で文学フリマに行きましたけど、新しいジャンルと出会えるっていうか、自分が知らないジャンルと新たに出会えるのは大きいですよね。
諧謔:最後に読者へのメッセージをお願いします。
聖龍:当日は角配置なので、是非とも遠慮なく来ていただければと思います。
無配もありますし、立ち読みも全然OKなので。怖い話はお馴染みですけど、短歌集も初めて出すので、よかったら手に取っていただけたら嬉しいです。
同人活動やってる人、腐女子も是非来て下さい。お待ちしています!
インタビューを終えて
インタビュー担当:諧謔
https://www.instagram.com/yasuyowrite/
制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)
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