[短編]星を見に行こう|片想い文芸部
星を見に行こう
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風が少し冷たくなって 夜空が煌めいた
星を見に行こう
どこでもいいから 僕と一緒に
話したいことがたくさんあるんだ
急いじゃいない
でも、君の手は ぎゅっと握るよ
ひとりだった夜の空
ふたりで歩けるのならそれでいいんだ
별 보러 가자 by JukJae
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ー 星を見に行こう
ー 星?
ー うん。いい場所があるんだ
すこし勾配のきつい、この遊歩道をのぼりきったところが目的地。
坂道を踏みしめるたびに、乾ききった落ち葉が、ガサガサ音をたてる。
木々の隙間から覗く空を見上げれば、
さっきまでわずかに裾に滲んでいた橙色の襞が
群青の夜にすっかり呑み込まれてしまっていた。
そして煌めき出す。
凍りつきそうな極寒の夜空に
震えているようにまたたく小さな星々。
「ねえ、待ってったら」
背後で、彼女が僕に抗議する。
振り向くと、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「誘ったくせに、置いてかないで…」
確かに。
ふたりの距離が、思いの外開いてしまっていたことに、僕はまったく気づいていなかった。
僕は足を止め、振り返ったままその場に立ち尽くす。
彼女は追い付くや否や、頬をぷうっと膨らませ、恨めしそうに僕を睨んだ。
「ペース、早すぎよ」
「どうもこの、長い足がいけないらしい」
「こういう時は、ごめん、でしょ、普通」
「おっと、この口も悪さして…」
「もう。話にならない」
そう言うなって。
僕は今、とっても緊張してるんだ。
君とこうしていることに。
そしてこの先、数分後の未来に。
僕は決めていた。
今日絶対、片思いのフェーズを終わらせるって。
だけど、
どんな顔で、
どんな声で、
どんなテンションで、
それを告げたらいいか。
どう言えば、僕の心の全部を知ってもらえるか。
あいにくその成功体験を、僕はひとつも持ち合わせてないからさ。
「…ほら」
彼女は僕が差し出した手を、きゅっと握る。
心臓を、直接掴まれたみたいだった。
僕も、同じくらいの力でぎゅっと握り返す。
彼女は少しだけ目を見開いて、それからそっと視線を逸らした。
冷え冷えとした夜風が、頬をくすぐる。
星を見に行こう。
ふたりで。
いつもひとりきりでそれを眺めていた、とっておきの場所に案内しよう。
この坂を登り切れば、そこにたどりつく。
空が開け、それを埋め尽くした満天の星に、君は驚くだろう。
星空と、住みなれた街の対比に感嘆するだろう。
その時には多分、いつもの笑顔を僕に見せてくれるだろう。
僕は話しをするだろう。
オリオン、シリウス、プレアデス…。
空に光る、静かで切ない恋人たちの物語を。
そして言葉で伝えるだろう。
もし、君が望むならーー
何度でも、この日の夜空を語り合いたいと。
[おわり]
#片思い文芸部 というのがあると知って
参加させていただいたのですが…間に合ってるのだろうか
ナル様、素敵な企画ありがとうございます。
星がこれでもかと瞬くお話なので、と言い訳しますが
季節の設定が、なんと真冬…
この曲をテーマに、随分前に書いたやつを手直ししました。
ビートルズ風のアレンジがいい感じ.
推しがファンミで歌っていたのを聞いて、いいなって…。
적재(JukJae): 별 보러 가자(星を観に行こう)
曲をネタにすることがすごーく多いです。
聞いてもらえるきっかけになるといいなって思っています。
読んでいただいてありがとうございました。
