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【タイトル未定】七月、夏の夜空に光を灯しおそろいの道の上を。【ライブ感想】

 今日も今日とて賃金労働を納めて退勤したのち、電車でX(旧Twitter)を開くと非常に心配なニュースが飛び込んできた。

 北海道に拠点を構える同事務所のグループが定期開催している音楽ライブ、通称「木曜定期公演」について、私がいま一番楽曲に惹かれているアイドル「タイトル未定」のメンバー、阿部葉菜さん(以下、敬称略)の当日欠席が発表された。

 この報を受けて「まぁそんな時もあるよなぁ…暑いしなぁ…」「新曲『空』のラスサビ半音上転調を炎天下で披露し続けるの、どう考えても負荷かかるよなぁ…」「臨時ボーナスで今月の給与明細に転調手当とかいっぱい入っててほしい」「とりあえず今日はゆっくり休んでね」と比較的穏やかな心持ちでTLやおすすめ欄を見ていたのだが、このグループを昨冬から追いはじめたファン歴半年の自分と歴戦の戦士たちではどうも反応が違うらしい。

 5年間ではじめて!??マジで????この5年なんて特に感染症とか諸々あったのに!???すごいな、それは伊達に元気印言われてないわ。いやもうそれは身体が「いい加減休みなさい」言ってるんだよ。自分が身体壊した経験あるからこそだけど、絶対に回復タイム必要。
(とはいいつつ中小の弊社で急に主任が欠席しあわわどうしようはわわどうしようになった時の私に例えると残された側は「それどころではない」になりつつ「頼り切ってたなぁ、申し訳ない」を同時に感じたり)

 タイトル未定は間違いなく「阿部葉菜のボーカル」を楽曲やパフォーマンスにおいて強みにしているグループでもあり、彼女の明るさと気配り、かつエネルギッシュな立ち回りが総合的なライブの魅力に繋がっていることは事実である(と思っている)。
 そんな彼女を欠いた本日の公演について、とても残念に思うと同時に、ほか4人、このグループを構成する一人ひとりのポテンシャルに絶大の信頼を置いている私は「どんなものを見せてくれるんだろう」という興味深さも感じていた。

 そして(配信で)実際に観た結果、心からこのグループの力を感じられる公演だった。Xに書き込むのも野暮と思い、予定外だが即座にノートPCを開きキーボードを叩いている。この感情を備忘として忘れないうちに留めおきたいと思った。

 以下、当日行われたタイトル未定の出順のセットリストとともに私が感じているものを出力したい。
(予定は未定マインドで書き出した結果、なんか常体から引き返せず後悔しており補足カッコで力を抜いている中の人についてもお楽しみください)

木曜定期公演 7/24(木) @Sound lab mole

タイトル未定 セットリスト

SE
 実は過去noteであまり入場SEに言及していなかったが、私がこのグループのライブを「良い」と感じたのもSEの空気感が影響している。
 エコー交じりの鍵盤によるリフに加えアコースティックギターが上モノで鳴り、踊れるトラックが中盤に差し込まれる。エフェクト含め音数としては少なくはないのだが、鳴っている音は非常にシンプル。それは、これから披露されるステージを「タイトル未定」のものに変えるためのある種静寂と緊張の演出と言える。そしてSE終盤で淡々と、かつ堂々とステージに登場するメンバー。そこには煽りも同調圧力もなく、上品さを保ったうえでの「これから始まるライブの一曲目への期待感」のみ。
 それなりに、様々なアーティストの公演を観ている自負はあるが「入場SEの自分の好き度」的にもタイトル未定は私の人生においてトップクラスの「好き」である。つくづく良いグループと出会ったなぁ、と同時に「もっと早く知りたかったなぁ」が過る。でもあべはなさん、全てはタイミングで意味があるんだよね。
 (それはそれとして配信でいいのでこのSE音源リリースしてくれませんか)

1:夏が来れば

 せっかくなので公式よりライブ動画verを紹介。(2分30秒あるけどこれで1コーラスなんだよね)(続くのはBメロ→落ちサビ→ラスサビで終了なので1曲としては4分20秒ちょい)

 この曲は、数ある未定ソングのなかでも特に「阿部葉菜が歌でパブリックイメージとしてのアイドルを突き詰めようとしている」楽曲に感じる。そのボーカルスキルと他メンバーとのバランスもあり、ソロパートでは力強い歌声やロングトーンが印象的な彼女だが、『夏が来れば』では素人目にも分かるほど意識的にボーカルスタイルを変えており、彼女の「この曲で目いっぱいアイドルしちゃおう!」を振付含め味わうことができる。
 なぜなら、この曲は「単純に詞も曲もいい普遍性のあるポップソング」であり、おそらく「どのアイドルグループがやってもよくなる」良曲である。だからこそ、確かな実力を持つアーティストが披露すれば"遊びしろ"が曲中に産まれ、そこに阿部葉菜の表現が宿るのだと思う。
 本公演では彼女の不在を各メンバーが的確にカバーしており、一曲目、ステージの幕開けとして品があるスタートだった。

(話変わるんですがこの曲の1B多田もえぴろーぐちゃんが名前コールされてるときの「我慢してるんだけどオタク達の至近距離コールにちょっとだけはにかみ照れ笑いしちゃってる」が「タイトル未定を楽しんでいる新メンバー」すぎて超かわいいです、あれやっばいです)
(ってか日に日に多田もえぴろーぐさん進化してます、これは現場に行った人じゃないと分からないと思うんですがなんかアレもう発光してます。いい意味で自然に目が行っちゃう、いま観なきゃいけない人です)

2:夏のオレンジ

 いつもより曲間少なめで流れたのはこれまた夏ソング。そりゃ夏だしな。そう来るよな。
 正直に、言葉を選ばずに言うと、この2曲の流れで「阿部葉菜抜きでもやりやすいセットリスト」をやるんだろうな、合理的だけど自分がこのグループを好きになった理由ってそういうことじゃないんだよな、でも今回はしょうがないよな。そんなことを考えていた。
 勿論ステージの彼女たちはキラキラしていたし、いい曲だし、それ自体は間違いないのだが。

3:壊せ

 そして、そんな私の感情を見事にひっくり返したのがこの曲順で流れる『壊せ』。タイトル未定はどこまでもステージに真摯であると刻んだ選曲だった。前2曲の流れについて安牌を取ったと思ってしまった自身を恥じた。言ってしまえばこれはその反省を備忘として残したいとの意でもある。

 冒頭、尺を長めに取って四つ打ちのキックとともに客席へクラップを煽る彼女たちを観て「あぁアンセムとして分かりやすい『鼓動』かな?次いでまた夏ソングの蜃気楼やキー低めの曲で場を回すのかな…」を脳裏に過りつつ、そんな私の予想をまさに壊したのがこの曲で象徴的なタオルを手に取る彼女たち。「やられた!!!!」としか表現しようがない。

 以前の記事で私は『壊せ』について、「各メンバーがパスを回し、阿部葉菜がゴールを決める(阿部葉菜を主人公=ヒーローにする)チームプレーの楽曲」と評している。これについては、曲がりなりとも音楽好きとして自信を持っている表現である。だからこそ、呆気に取られてしまった。
 全然違ったじゃないか、これは「阿部葉菜がいなくても成立するタイトル未定」でお茶を濁す時間なんかじゃない。「阿部葉菜のいないタイトル未定に挑戦するライブ」ということなんだ、と。

 歌い出し、原曲のサビ始まりで阿部パートを務めたのは直近で急激にパフォーマンス力を上げている多田萌加だった。彼女の努力と実力を踏まえ、彼女たちを支える大人が正当にタクトを振った証左である。堂々とこのセクションを乗り切った。
 1サビ始まりの阿部パートは山下彩耶が担当。これは経験値を上げる的な意味合いにも受け取ったが、その他のパート含め彼女の本曲歌唱を聴き、「彼女が懸命に自身の歌い方を模索して辿り着いた結果="シンプルに自身の歌声で、目いっぱい歌をファンに届ける"」なのかもしれない、とも感じた。以前と比べ、力の抜けた印象でかつ楽曲にしっかりと馴染んでいる。怪我による出遅れもあったが、それでもこのステージに立ってくれていることに一人のファンとして「誠実に頑張ってくれて本当にありがとう」を伝えたいパフォーマンスだった。

 そしてこの曲のイントロが始まりファン誰もが思うであろう、ラスサビ終わり、楽曲を締める「光を手にして」は誰が歌うのだろう。そこに抜擢されたのは、こちらも近年パフォーマンス力を急激に上げている谷乃愛だった。
 前談として、ラスサビの歌い出し阿部パートも谷が担当していたが、とにかく彼女が堂々としていた。「背負ったうえで、自分の時間にする」を感じ、個人的にはとても好印象だった。それを踏まえて彼女による「光を手にして」、原曲の阿部葉菜にも引けを取らないロングトーンの絶唱が素晴らしかった。代役としてではなく、本日のこの楽曲において確かに谷乃愛がヒーローを演じきった瞬間。
 私の想定やファンが感じていた不安、そしてタイトル未定というグループの固定概念、様々なものを壊した4分間だった。
 ただ、wowwowのユニゾンになると明らかに声量が小さく感じ、物足りなさを覚えた。この曲における「阿部葉菜」の存在感についても改めて思い知らされた。

4:空

 新曲『空』。前曲『壊せ』で私が感じた反省について追い打ちを掛けるような選曲。参りました、としか出てこない。「それでもこの曲をやる」ということが決意表明以外の何だというのだろう、という。
(『群青』『壊せ』は上記同様あべはなヒーロー、『空』はそこに谷ちゃんがヒロインとして加わった曲という話を以前の記事で書いています)
(なんかいつの間にMV20万再生行きそうじゃん、すごっ…)

 この楽曲は、確かに阿部葉菜がヒーローとしての役割を果たしているとともに「スキルを上げた5人がそれぞれの役割で存在感を出している、映画のような歌」だと思っている(ミュージカルということではなく)。
 実際に阿部葉菜不在の『空』を聴き、個々のパフォーマンスが楽曲に宿っているからこそフラットにこの場を受け取ったときに大きな違和感は覚えなかった。単曲として成立している。
 だが、私は阿部葉菜のいる『空』を知っている。そのふたつの空の色は違うと言える。はっきりと。

 そしてその違いがある、を前提にして言いたいのは、『壊せ』に続いて阿部パートを担当する谷乃愛の迫力が凄まじかった。この場を、曲を自身が引っ張るんだという意志に溢れたパフォーマンスだった。
 谷乃愛は『溺れる』のような要所のフレーズにおいてだけでなく、楽曲全体を通して「谷乃愛というヒーロー」にもなれるという事を見せつけた本公演だったのではないだろうか。

 またそれに呼応してか、絶対的な世界観を持つ冨樫優花の歌唱についても、谷乃愛に引っ張られるように、普段とは違う、よりエモーショナル寄りに振ったように感じた箇所が阿部パートだけでなく、元々の自パートでもあった(単純にラスサビ転調後のキーが高いというのはある)。


 阿部葉菜不在の本公演、本人、本人のファンには非常に申し訳ないが、「タイトル未定」を語るうえでとても大きな一日になったと言えるのではないだろうか。
 まさに「馴れるなよ 僕を塗り替えてゆけ」を体現した4曲だった。

 私が初見で本日の4人ライブを観て「この4人でグループアイドルです」と言われたとして、みんな歌がうまい、可愛い、いいグループだねと感じるだろう。でも私はここに阿部葉菜が加わった五つ星を知っている。
 本日のライブを披露した4人でも素晴らしいのに、そのうえで歌がうまく、努力家で、かわいいアイドルの「阿部葉菜がいることがタイトル未定としての大きすぎる、確かな強み」であること、それをこのグループを好きな自分が感じられたことが素敵な収穫だった。

 なのであべはなさん、
 しっかり休んでまた5人のタイトル未定を見せてね。


 あと!TIF行くので!!初日だけですが!!!よろしくお願いします!!!!


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