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【otsumami】2nd Oneman Live 夏翳 - natsukage -に寄せる『夏翳』楽曲感想

 残暑厳しい日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私はここ最近週1ペースだった幣noteの更新が途切れるくらいにはだる気を抱えながら過ごしております。

 そんな過ぎゆく日々に揉まれていたら、気付いたら9月も末近く。6月にチケット抽選に応募した音楽ライブの開催を間近に控えることとなりました。運良くゲットできたのでこちらに行かせていただきます。

 クリエイターユニット「otsumami」による2ndワンマンライブです。日取りは9月26日(金)、会場は渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて。当日券ではありますが、まだスタンディングでチケットが購入できるみたいですね。
 そして、こちらのユニットに名を連ねるのが音楽家の青葉紘季さん、アートワークを担当されている福井伸実さん、フィーチャリングボーカルで参加している「タイトル未定」の冨樫優花さん(mikan名義)らで、筆者は彼らのクリエイティブに共鳴してnoteを4本書きました。


こちらの記事がいわゆる総まとめになっており、見やすい形かと思います


 そんなotsumamiですが、ライブタイトルにもなっている『夏翳』という楽曲を7月に配信リリースしております。2ndワンマンに寄せ、まだ幣noteで触れていなかったこちらの感想を書いていこうと思います。いい曲なので。

『夏翳』(2025.7)

〇総評
 とてもよいです。儚いです。もっと聴かれればいいのにって思います。otsumamiのなかでもトップクラスに好きな楽曲です。おすすめです。


 結論から書いてもう以上でよくない?と思いつつたぶんこのnoteに求められているのはもうちょい細かいあれだと思うので、がんばります。

〇楽曲情報

 本楽曲に際して、こちらのインタビューでご本人たちが解説しております。「夏翳」というタイトルとラストフレーズは決まっているうえで、本作の歌詞は2022年『タイムカプセル』以来mikanが手掛けたとのこと。サウンド面では生バンド感を重視し作られたそうです。

〇かわいい

(かわいい)


〇歌詞について

 上記でも触れたとおり、本楽曲の詞は2022年以来mikanが手掛けたものですが、情景描写が素晴らしい品のある「歌詞」だと感じました。
 夏が終わり、次の季節へと進んで行く”時間”というものについて、アスファルトに落ちる雨の粒を時計の秒針に見立て、その不可逆さを現しているのがとても詩的ですね。この曲が持つ儚さをこれ以上なく演出しています。
 限られた日々のなかで無力さを覚えつつも、それでも自分が進むために必要なのは「メロディー」。それが目に見えないものだとしても、不確かなものであっても、"僕"の闇を照らすその道のりには音楽があり、それが自分なりの答えだというメッセージソングでもあり。
 これは詞を書いたmikanが自分を表明しているかのようにも感じ、とても彼女らしいすてきな表現だなと思います。


〇作編曲について(間違ってたらごめんなさいのやつ)

 生バンド感溢れるミディアム・ロックバラード。特に印象的だと感じたのは1番で多用されるトレモロエフェクト(ビブラートみたいな、ふわわわ~って聴こえるやつ)なエレキギターのフレーズです。「翳ってゆく」儚い情景が音像で儚さを演出していて非常にエモーショナル。バンドサウンドな楽曲はこれまでのotsumamiでもありましたが、このアプローチは少なかったかなぁと。
 エフェクトで言うと、歌詞の中で雨に触れている1番でなく、2Aメロから雨音のSEが入るのが面白いですよね。楽曲のフックとしても成立している演出と感じます。
 また、mikanのコーラスワークを売りにした『吹雪』という楽曲がありましたが、その美しさがこの曲では遺憾なく発揮されています。Bメロの「ha~」やラス前「Tu-lu-lu-lu-lu-lu...」がリバースリバーヴっぽい感じで余韻を残していくところもイヤホンで聴くと鳥肌ものです。

 全体的に切なさを演出しているサウンドですが、2Bの「限りのある美しい日々を~」で希望をうたうセクションでこれまたエレキが力強くコードを弾いてバンド感強くなるところもメリハリが効き、かつ詞の世界観に沿ってていいですね。この曲、全体的にベースが力強く聴こえる気がします。
 そして、この流れから溜める落ちサビの「メロディー」からの流れがとてもドラマティックですよね。mikanの独唱からピアノ、件のトレモロギターやアコギが徐々に入り、再度力強いバンドサウンドが鳴りつつそこで歌われるのはサビではなくBメロのリフレイン。
 この楽曲、全体の構成がAメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→2Aメロ→Dメロ(ここは変則のAメロとも言えるのかな)→落ちサビ→Bメロの流れでラストフレーズの「夏が翳ってゆく」に繋げているんですよね。予定調和のラスサビでなくBメロの「秒針は進む」でラストへ向かうのが歌詞面でも触れた不可逆性の演出にも感じ取れました。

 ただ、キーがBmの短調であるこの楽曲、平行調で言うとDというのもあり、ダイアトニックで鳴っているコードはギターで言う開放弦多め、開いてる音だと思うんですよね。そこが青葉さん印と言いますか、シンプルに聴きやすく普遍性のあるポップスであるという所がotsumamiらしさであり、私がこのグループの楽曲に惹かれている点でもあるのです。

 何はともあれ『夏翳』、いまこの季節にぴったりのすてきな楽曲です。
 ぜひ聴いてください。おすすめです。


〇おまけ

 以前に取り上げました前作シングル『開花』について、もうちょい聴かれてもいいのでは?感想も読まれてもいいのでは?と思い至り、こちらに再掲いたします(過去記事からこちらの記事に移す形にしました)。

『開花』(2025.4)

 耳馴染みがあるスタンダードナンバー(こちらの記事で青葉さんは『オー・シャンゼリゼ』『Daydream Believer』を挙げていました)を想起させるような、親しみある曲調です。CMソングに使われてほしい。
 そのうえでmikanの優しいボーカル、リスナーの気持ちいいところを的確に突いてくるメロディ、楽曲全体に広がるイノセントな世界観を広げるようなバックコーラス、華やかだけどもあくまで主役を歌にしているホーンセクション…とても聴きやすい楽曲です。
 otsumamiとしてもこういったゆるシャッフルはあまり無かったテンポ感で、新しい手札になったのではないでしょうか。

 そして、この歌詞が令和版『世界に一つだけの花』でもあるなあと。
 それぞれが「それぞれ」であることを肯定し、ありのままの自分自身で咲き誇ればいいというテーマで共通しつつ、きれいだけではない「それぞれ」だからこそ、自分のペースで焦らずマイペースに。単なる開き直りではなく確かに前を向いて、"まだ まだ 咲くな"と未来へ期待を向ける。

いつだって 満開はこれから
綺麗だけじゃつまらない
ピークなんて言わせない

まだ まだ 咲くな 私の花

作詞曲:otsumami,2025年,otsumami『開花』より引用

 「比較からの脱出」ではなく「前へ進むことを前提にしたうえで懸ける自身への期待="花を咲かすこと"」を比喩に言葉を編んでいるこの詞は、令和のいまだからこそだとも感じます。
 アップデートというと仰々しい感じにも聞こえるので、ゆるりとマインドチェンジくらいの心持ち、を受け取りました。

 アートワーク面でクリエイター陣に名を連ねている福井伸実さんによるジャケット(動画サムネ)も、穏やかに蕾の状態でこれから咲くことを楽しみしているであろう少女が可愛らしく描かれており、とても素敵なクリエイティブでした。



 以上、otsumamiシングルレビューでした。開花、夏翳ときて次に摘まめるものは秋のうたか、それとも。

 来る9月26日、渋谷duoのライブを楽しみに待ちましょう。


配信もあるんですって。


 それではまた、次の記事で。

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