【otsumami】楽曲紹介(後編)~その果実は、皐月に花ひらいて~
まえがき
※こちらの記事は、2025年3月に投稿したものを間違えて削除してしまい以前のデータを修正、再掲したものです。
本稿は、札幌を拠点に活動しているアイドルグループ「タイトル未定」に筆者が近々で尋常じゃないハマり方をし、
そのメンバーである冨樫優花さんがフィーチャリングボーカル,mikanとして活動しているクリエイターユニット「otsumami」によるリリースされた全楽曲のレビューnoteでございます。
(前編)(中編)(後編)と三部にわたりましたが、現時点でリリースされている作品は以上なのでひとまず区切り。
わたし、けっこうリスナーの音楽感想文とかを読むのが好きなんです(自分との共通ないしは相違ポイントをおもしろく感じるので)、ただ「このユニットの楽曲を追ってみよう」と思った折に少なくともnoteではまとまったレビューが少なく、他媒体でもあまり見られず(あったらごめんなさい)。
「なんでないんだよ」「じゃあ書くよ!」のマインドにて5000字超えのnoteを3つも生産してしまいました。
ただ、この「なんでないんだよ」マインドの内訳は「なんで(こんな良い曲たちが広まりきって)ないんだよ」「じゃあ(せめてもの微力+自分が曲の良さをなにかの形にしたいから)書くよ!」の意でもあります。いい曲は人を動かすので、たくさんの人に聴かれるべきだと思っています。
そんな過去記事が以下でございます。
(前編)
・おすすめ冨樫さんコーナー、otsumamiとは
・『きみのものにだけ』~『タイムカプセル』楽曲感想(リリース順)
(中編)
・『さよならにさよなら』~『醒めない予感』楽曲感想(リリース順)
・『ピアノと私 ♯1』『ピアノと私 ♯2』紹介
以下は「タイトル未定」について書いたもの、このotsumami記事含めてマガジンとしてまとめたものです。拙文ですがよろしければどうぞ。
それでは本題。今回は「第ニ章」以降の楽曲に触れていきましょう。全曲レビューは続きます。
ちなみにこの記事を書くにあたり今回も初聴タイミングを満を持してここまで取っておきました。どうぞ、お手柔らかにお願いいたします。
楽曲紹介(後編)
『青葉』(2023.5)
12ヵ月連続リリースというハイカロリーな第一章を経て、そこからたった二か月で第二章の幕開け。リアルタイムで追ってた方はびっくりしてそう。
わたしがこのグループの楽曲を聴いてみよう、に至った経緯は(前編記事にも書いてますが)楽曲制作チームであるteamOUCAを率いる青葉紘季さんの作風が好みというのもありまして。そしてこの区切りでのタイトルが『青葉』。立夏、青葉の季節と言われる時期でのリリースにもかけているとは察しますがある種楽曲としてセルフタイトルのような、そんな決意表明が込められていると受け取りました。
楽曲としては、6/8調で冒頭ピアノ弾き語り~徐々にバンドインしアレンジが華やかになっていく王道のミディアムバラードですね。mikanのボーカルがとてもナチュラル、かつ芯があり、何かロールを演じるというよりはこのユニットとしての決意表明、そのフロントに立つ自身が唄としてそのまま出力されているように感じました。
その決意表明とは何か。わたしはそれを歌詞から感じました。全体的に「第一章へのアンサーソング」になっている気がするのです。第一章では多くの楽曲テーマで別離・そして巡る季節を唄っていましたがそれらは「振り返る「昨日」になる」。『3373』では「せめて漣は起こせるかもしれない」といった希望的観測を唄っていましたが、「掠れた葉の音は~(中略)かけがえのない日々へ」とあるように前作主人公の精神的成長のような形でこの『青葉』の詞ひとつひとつが紡がれているように思うんですよね。
その上で、"さよなら"した人には幸せを願い。その一つ一つをかけがえない日々として自分の糧に、昨日をいつか愛せるように「今日」を生きていく。それは、そよぐ風に吹かれていた若葉が勢いよく茂り青葉へとかたちを変えていくように、otsumamiというグループの新しいスタートを現している姿なのかもしれませんね。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
『恋のまぼろし』(2023.7)
季節ものの楽曲が多いotsumamiですが、なかでも夏ソングの供給が多い。どうやら青葉さんが夏が好きとのことで。そしてこのタイミングでmikanが冨樫優花さんであることを公表したみたいですね。なるほど確かにここら辺から再生数のアベレージが上がっている…
正直に、初聴の印象はまさに幻のようにさらっと流れていって終わってしまった…という感想でしたが気が付くともう一回聴きたい、もっかい…ヘビロテしていました。
爽やかなミディアムポップ楽曲なんですが、冒頭短いイントロでがっつりバンドサウンドとギターのハモリを効かせたあとのサビ始まり、そこから儚いボーカルを際立たせるAメロに入っていくわけで、やってることの緩急は激しい。
実はこの曲構成が特殊で。"イントロ→サビ→Aメロ→間奏→2Aメロ→サビ→Cメロ→アウトロ(1分強)"みたいな感じなんですよ。この王道をちょっとだけ崩した展開もどこか捉えどころのない浮遊感を演出してる気がします。
そしてとにかく音像がきれい。余韻を残すコーラスワークや、音としては歪んでいるけれども儚さがあるギターフレーズのリフレイン。とっても好きトラックでございます。
ちなみに後日mikanの中の人が出演するショートクリップが公開されたみたいです。かわいい。動いたりくるくるしててかわいい。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
『レモン水』(2023.8)
夏の終わりを想起させるバラード楽曲。サビメロがとても印象に残る、折り目正しい歌謡曲ですね。前記事で取り上げた『忘れ者』に続き「ご家族におすすめしたいotsumami楽曲」でございます。こう、「来てほしいとこに来てほしいメロディが来る」が青葉さん楽曲の個人的好きポイントなんですよね~。
第二章ではmikanのルーツである昭和歌謡アプローチ要素が増している気がします。それに伴い、一人の「冨樫優花」という素材と魅力を誠実に紐解いた結果が、「otsumamiのmikan」としてパフォーマンスを出力する際に素敵なクリエイティブとして表れるのでしょう。
「レモン水」
— otsumami (@otsumami_staff) September 10, 2024
otsumami feat.mikan@Title_Yuuka
🎧:https://t.co/oWBb7l6Sql
📺:https://t.co/LLOK38DsIO pic.twitter.com/hq3rrgWljj
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
『星影のパレード』(2023.11)
これは…好き曲です…。
otsumami初のクリスマスソング。『冬のうた』で冬ソングはありましたが。全体に纏うかわいい雰囲気が初期の楽曲を想起します。調べたら青葉さんもこれが初めてのクリスマスソング作曲らしくびっくり。
パレードと名のつく通りウィンドチャイムやホーンセクション、鳴る楽器は華やかなんですがそれを目立たて過ぎないサウンドなのがいいなぁ~好みだなぁ~と。
全体的にこの曲がやっていることは安心できる「いつもの」でもあり。歌詞は「ひとりぼっちのジングルベル」だったりしますし。Aメロまではパレードどころかバラードですし。すごい譜割細かくて歌うのむずそうだけど。
そして、1フレーズのみのBメロで「何かが起こるかも」を聴き手に想起させ、サビの多幸感溢れるメロディとリズムと接続。パレード、というと整列して行進しながら勇ましくスネアを叩いて…みたいなのがパッと浮かぶイメージと思いますが、この『星影のパレード』はみんなで色んな楽器を持ちながら顔を見合わせ、歩き方は違えど歩調はいっしょに、みたいな形で平和に進んでいるような画が見えるパレードですよね。
ただそこに乗る歌詞はこれまた「君」との別離を唄っていて、mikanボーカルとともに楽曲としての儚さを出しているという…
配信サイトの楽曲紹介ではホーンなどに言及されたキャッチが書かれているんですが、それはあくまで楽曲としての一要素でしかなく。「otsumamiがクリスマスソングをやったらこうなるよ」の快作です。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)
『負けるな、わたし』(2024.3)
王道のミディアムバラード、そして清々しいくらいメッセージソング。mikanのきれいな高音域を味わえる楽曲です。
この曲、実は2年前からあった作品とのことで。mikanのスキル向上を受けてキーを上げ再録しているのだとか。そして今回は青葉さんではなく、笛田サオリさんという方が作詞を担当しているみたいです。言われてみればなるほど、細かい語尾や言い回しが他楽曲と違うニュアンスな気もします。
個人的に「応援歌」ってすごい難しいテーマだよなと思っていて。まったく同じワードだとして、誰かには強く響く言葉でも、一方で対岸の誰かの心を折ってしまうようなこともあり。生半可な覚悟で触れるテーマではないなとわたしは感じるのです。
だからこそ、この詞の「負けるな」はとても強い、扱ううえで勇気がある(と筆者は思う)言葉で、そのベクトルが「わたし」へと向かっているというのは絶妙なバランスですよね。更にこれを唄うのがmikanの繊細かつ儚い、でも芯のあるボーカルなのもまた、この楽曲を押し付けがましくない品のある真っ当な「応援歌」たらしめる要素であると思います。
(好き度:☆☆☆☆☆☆)
『大人は忙しい』(2024.5)
これは好き曲!こういう曲調欲しかった!!そしてMVがスタジオライブ!!!mikanかわいい!オレンジニット帽かわいい!初手カズーかわいい!!以上!!!!!
…という訳にもいかないのでまじめ感想。
これまでのディスコグラフィーに無かった横ノリが気持ちいい、ダンサブルな新機軸。これ楽器勢みんなテクいですよね。タイトに動きまくりかつグルーヴを出してるリズム隊、刻むカッティングギター、要所のキメ。「大人の遊び場」な感じがたまらないですね。歌詞で宮沢賢治を引用してるのも良い具合のお茶目ですよね~、銀河鉄道乗りたいmikanかわいい。
そう、大人だって未完成なんですよね。むしろ大人になってからのが終わりの見えない課題がどっさり。これもこれで一つの「応援歌」な形。
大サビ前にBPM落として弾き語りパートに入るのも遊び心でいいですね〜。こんな感じでまったりしたくなる時もありますよね。
青葉さんはこの楽曲を「寄り道」と話していましたがこういうのもっと下さい。絶対これ生バンドで聴きたい。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)
『ニゲナツ』(2024.8)
恒例となったotsumamiの夏ソング。過去曲ともまた違うアプローチ、かつ王道歌謡曲のフィールドで戦い続けているのはいちリスナーという立場ながら頭の下がる思い。わたしは最初のイントロでがっつり掴まれました。このアコギの重ねがとても好みで「あっもう良い曲じゃん」に20秒でなれます。
ギターに関しては狙って荒い音像にしており、全体的に90年代フォークロックを意識したサウンドになっているとのこと。裏で鳴る乾いたバッキングがいい味を出していますよね。
また、イントロ~Bメロまではセブンスコードを多用したおしゃれ展開からのサビで転調し、Eから始まる王道進行(スピッツみたいな感じするよねメロ含め)な普遍的サウンドになったと思ったら「夏よ逃げないで」で切れ味よく終わり清涼感溢れるアコギのイントロに戻ってくる構成がまた最高。
この曲に限らずですが、2サビを飛ばして間奏→大サビと展開を変える楽曲が多いですよね。ほとんどが4分弱で終わるので聴きやすいです、otsumami。
ちなみにですがこの曲のリリースに際して、青葉さんの作家としての背景、otsumami結成、『ニゲナツ』についてなどが語られているインタビュー動画が公開されておりこちらも必見です。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)
『吹雪』(2024.11)
昨年振りの冬ソング。タイトルは『吹雪』ですが、誰かの心にそっと寄り添うようなバラード楽曲です。
そしてmikanが全編に渡りMV出演。『大人は忙しい』はスタジオライブの様子でしたが、今回はMVという映像の中で動くmikanが見られます。かわいい。途中から二人にふえてる。かわかわいい。コーラスというより掛け合いのようなボーカルで耳が幸せ。
そこにあるのはピアノとmikanの声(途中でストリングスも入るけど)という、シンプルかつストロングスタイルな楽曲。青葉さんはインタビューでこの楽曲を原点回帰と評しており、これを「ずっとやりたかった音楽」と言い切るのが強いなと。
筆者自身も「優れた音楽はシンプルにいい曲といい歌」だというのが持論としてありますが、音楽を創る(実績のある)クリエイターと確かな歌い手がまさにそれをこの無駄を極限まで廃した楽曲で体現していると感じます。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
あとがき
以上、otsumamiリリース全曲レビュー三部作でした!
いかがだったでしょうか?わたしは疲れました!でもいっぱいいい曲に出会えたので嬉しかったです!!
4月4日に新曲がリリースされるとのことですが、そちらの感想はまたいつか。冠するタイトルが来るべきワンマンライブと一緒で『開花』ということで、非常に期待がふくらみます。
otsumami feat. mikan 新曲「開花」
— otsumami (@otsumami_staff) February 21, 2025
4月4日リリース決定🌷#otsumami #新曲 #開花 pic.twitter.com/eax760uTY8
そう、ワンマンライブやるんですよ。こちらに際して、烏滸がましいですが自分の記事が少しでも呼び水になれたらと書いた全曲レビュー記事でございます。チケット当たったのでわたしも行きます。
配信もあるんだって。
それでは、この素晴らしい楽曲が現地で聴ける機会に恵まれることを願いつつ、この記事を締めさせていただきます。それまでこのスタジオライブ映像みて楽しみにしてましょ。たのしみかん🍊
それでは、また次の記事で。
