Silent Fragments #6
このページは、“#6” にあたる物語です。
これは、夜の奥で誰にも見せずに咲いた、
小さな決意の欠片。
イラストと音楽に導かれるまま、
あなたの感覚で読み進めてみてください。
第6章:A New Horizon
― 音の果てに、旅が続く ―
灰色の空は、今日も静かだった。
どこかで鐘が鳴るような音がしたが、
風のせいか、心のせいか、はっきりとは分からなかった。
ヴィスは歩いていた。
いつものように、記録を残すためにー
……いや、もう違った。
彼の手には、もう“記すべきもの”はなかった。
拾い集めるべき“声”は、すべて集まっていた。
振り返れば、どの音も小さく、かすかで、
時には名前すら持たずに消えていった。
それでも確かにそこに在った“想い”だけが、
今、彼の中で静かにひとつの流れになっている。
過去を記す旅は、もう終わった。
それはどこにも残されない。
石に刻まれることも、名前が呼ばれることもない。
それでも――
彼は知っている。
祈りが音になる瞬間を。
その音が、次の誰かを目覚めさせることを。
遠く、雲間から光が差した。
白く、細く、けれどまっすぐな光。
それは彼が拾い集めた“すべての記憶”のように、
あたたかく、確かなものだった。
ヴィスは、胸に手を置いた。
心の奥で、音が生まれていた。
それは“誰かのもの”だった音が、
“まだ知らない誰か”のための音になっていく感覚。
「……ここからだ。」
声にはならなかったが、
確かにそう、心が言った。
彼は歩き出す。
もう誰にも届かなくていい。
けれど、いつか、誰かが耳を澄ましたとき――
この音が、静かに目を覚ますだろう。
それがもし、
消えた光の向こうで聴こえたのなら。
それは、祈りが繋がった証になる。
沈黙の果てに、音が生まれた。
そして世界は、まだ終わっていない。

🌱物語はこのまま第7章へと続いていきます
この世界が、あなたの想像で広がっていくことを願っています。
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