「メタバースでのアイデンティティ」の感想
はじめに
この記事はバーチャル美少女ねむさんとリュドミラ・ブレディキナさん(以外、ミラ)が報告したレポート「メタバースでのアイデンティティ」の感想と分析です。
自分がこのレポートの中で興味を惹かれた部分の感想、分析を書いていきます。
また、比較の為にも二人が2023年に報告したレポート「ソーシャルVRライフスタイル調査2023」も引用します。
感想と分析
アバターの外見の男女比の分析


前回の調査に比べて、女性型アバターの比率が減少しました。これは個人的には調査方法の変化が大きいと思います。
具体的には、2023年の調査のアンケートは純粋な選択式で今回のアンケートは記述を含んでいます。記述が含まれる事で面倒くさくなり、参加しなかった人が増えた事は回答数(2023年2007人→2024年1012人)を見ても、明らかです。
それでも回答してくれた人はメタバースに対する学術的な考察に興味を持つタイプのメタバース原住民が多かったと思います。このタイプのメタバース原住民は自分の肌感覚ですと美少女アバター文化に対して批判的な方も少なくなく、それが今回の男女比に影響したと思います。
よく利用するプラットフォームの比率の分析


2023年と比べて、2024年ではスマホにも対応し、VR機器単体でも入れるという敷居の低さが売りのclusterの順位が2位から3位に転落しています。
これも調査方法の変化により、前述と同じ理由で今回は高性能なゲーミングPCを所有し、玄人向けの高性能なメタバースプラットフォームにアクセスできるメタバース原住民が回答者に占める割合が高かった事に起因すると思います。
女性型アバターを選ぶ理由




男女共に女性型アバターを選ぶ理由の上位に「可愛くなりたい」が挙げられました。
これは男性型アバターを選ぶ理由にはない特徴で、男性型アバターを選ぶ理由には「可愛くなりたい」(例えば、カッコよくなりたい)に相当する理由がなく、現実男性に関連付けられた言葉だけが並びました。
そこから男性型アバターは男性を指し示す表象として評価され、選ぶ理由になっていると考えられます。また、これは男性型アバターは男に見られる為の手段と言い換える事ができます。
もちろん、女性型アバターも男性型アバターと同様の理由で選ばれている面が表から読み取れますが、それに付け加えて「可愛くなりたい」という理由があるのです。
「可愛くなりたい」という理由には「数学ができるようになりたい」のような能力の向上だけがあり、現実女性に関連付けれていません。
逆に言えば、現実女性に関連付けられていない「可愛くなりたい」だけを目指したアバターさえ、女性型アバターとカテゴライズされている現状があるのです。(なぜなら、アバターはメタバースユーザーが自作したり、ユーザーと同じ文化圏に属するアバター作者が制作するケースが多く、アバターの使用理由が即制作コンセプトになるから)
そう考えると、男性型アバターの場合は「男性に見られたい」用のアバターだけがカウントされ、女性型アバターの場合は「女性に見られたい」用のアバターだけではなく、「性別に関係ない能力の向上」用のアバターもカウントされた為に女性型アバターの比率が上がったと思います。
おわりに
これで「メタバースでのアイデンティティ」の感想と分析は終わりです。
ねむさん、ミラさん、後世に残る貴重な研究を無料で提供してくれて、ありがとうございます。
参考資料
記事内のスクリーンショットはこちらのnoteの記事にあるレポートから引用しました。ねむさん、引用の許可をありがとうございます。
