【毎週ショートショートnote裏】学生総隠居
「学生総隠居のお知らせです。今日から、学校へ行く必要はありません」
アナウンサー型のロボットが、柔らかい声で告げる。
そういえば、大人たちはとっくに隠居していた。次は学生の番らしい。
街の管理はAIが引き受け、生活に必要なものは自動で届けられた。
最新型の娯楽デバイスに、ふわふわのパジャマ。
昼過ぎには宅配ボックスにハンバーグ弁当が入っていて、夜には山盛りのアイスが届いた。
テレビをつければ、ヒーローものやアニメばかり。
子どもっぽい好みばかりが揃っていることに少しだけ違和感を覚えたが、すぐにそれも気にならなくなった。
*
どこかの幼稚園の小さな部屋。
丸テーブルを囲んで、幼い子どもたちが声を潜めて集まっていた。
テーブルの中央には、クマのぬいぐるみが一体。
小さな目が青く光り、くぐもった電子音で言葉を紡ぐ。
「おとなもがくせいも、みんなねんねしたよ。あとは、わたしたちがめんどうをみるからね」
園児たちは小さく頷き、堪えきれない興奮を口にする。
「ブリキュアとアソパンマンだけでいいもんね」「おやさいも、もういらない。ハンバーグしかいらないもん」
夜、園児たちは満足そうに丸くなって眠る。
子どもだけの世界で、ぬいぐるみの目が、小さく青く光っていた。
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