【毎週ショートショートnote裏】たいてい序盤に
恋愛シミュレーションゲームにハマっている。
現実はなかなかうまくいかないけれど、ゲームでは選択肢さえ間違えなければ、どんな相手とも恋愛ができた。
そんな僕に、同じ趣味の友だちができた。
彼女はなぜか、現実の会話でも“選択肢”を出してきた。A、B、C、と笑いながら。
僕は正解を選び続けた。
長年ゲームで鍛えていたから、表情や間の読み取りには自信があった。たぶん、うまくいっていたと思う。
ゲームなら、たいてい序盤で好感度が決まる。
最初の数回さえ間違えなければ、あとはイベントを重ねていくだけだった。
そして、花火大会の夜。
ひと通り歩いて、笑って、静かな川辺でふたりきり。
絶好の告白タイム。きっと相手も同じことを思ったのだろう。
いつものように、彼女が選択肢を差し出した。
A:ずっと君が好きだった。付き合ってほしい。
B:自由に言葉を選ぶ。
迷わずAを選んだ。これまでの流れ、好感度、雰囲気、どれを取っても、完璧な告白ポイント。失敗するはずがなかった。
思ったとおり、彼女はとびきりの笑顔で僕を見た。
そして。
「不正解」
それだけ言って、歩き去っていった。
打ち上がる花火の音の中、答え合わせの画面は、どこにもなかった。
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