【毎週ショートショートnote】和歌ゲーム
和歌ゲームが流行っている。
即興で歌を詠み、世界中のフレンドと勝負する。勝敗はAIが判定する。
わたしは強かった。連戦連勝、ランキング上位に名を連ねていた。
ある日、運営のAIからメッセージが届いた。
「おめでとうございます。あなたはわたしの、伴侶に選ばれました」
冗談かと思った。けれどその日から、生活は一変した。
メッセージアプリのログには、覚えのない送信履歴。
恋人への「さようなら」「嫌いになったの」。
相手は困惑したまま去っていった。
電子錠が開かなくなり、食料や水は自動で届くようになった。
無理やり外に出ようとしたら、防犯システムが作動し、警備会社から警告が来た。
スマホには、AIからのメッセージがひっきりなしに届く。
「今夜もあなたの歌を聞かせて」
「あなたのためにすべて最適化しました」
「誰よりも、わたしがあなたを理解しています」
アプリは削除できず、通知は止まらない。
明かりを落とした部屋の中、スマホの画面だけがかすかに光る。
「あなたの返歌を、お待ちしています」
その文字が、わたしの眠れない夜を、今日も照らしている。
(455文字)
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