【毎週ショートショートnote裏】墓ミーム
SNSで「#墓ミーム」が流行っている。
墓の写真に、短い言葉を添えるだけの投稿。
「さようなら」「またね」「いい人生だったね」ーーー冗談とも本気ともつかない、墓へのひとこと。
誰が始めたのかもわからないが、いつのまにか文化として定着していた。
ある日、ひとつの投稿が現れた。
写っているのは、ただの草むら。石も名前もない。
キャプションには、たった一言。
「ここにいるよ」
異様だと感じた人たちが、次々と拡散した。
スクリーンショットを試みたが、誰も撮れなかった。
画面が真っ暗になる、保存できない、エラーが出る。
そんな報告がさらに注目を集め、拡散は加速していった。
けれど突然、アカウントは削除され、投稿も消えた。
リンクは無効となり、痕跡ひとつ残らなかった。
その数日後。
件の草むらから、人の骨が見つかったという。
ニュースはさらりと流れて、すぐに忘れられた。
それでも投稿を見た人たちのあいだでは、あの言葉だけが、不自然なほど鮮明に残りつづけている。
ーーーここにいるよ。
(423文字)
表のお題はこちら⇩
*この記事は下記企画に参加しています*
