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【毎週ショートショートnote裏】メルトダウンする伯爵

カーテンの隙間から淡い光が差し込む。
夜が終わるたび胸の奥が鈍く痛む。
まぶたを閉じると、君の首を絞める夢を見る。
目覚めると、涙の温もりが手に残っている。

あの夜の記憶は、断片しか残っていない。
記憶は真っ白に、融かされて消えた。
森の奥、月明かりの下でなにかに襲われた。君は震えて、「化け物にはなりたくない」と泣いた。
わたしは抱きしめるように、その喉に手をかけた。君の涙が指先を濡らして、やがてすべてが静かになった。

それからどうなったのか、覚えていない。
気づいたときには夜が広がり、私は館の主として迎え入れられていた。
誰もが私を“伯爵”と呼ぶ。
血のように深いワインを口にしても、喉の渇きは癒えない。

太陽が昇ると、意識が遠のく。まぶたの裏には、あの夢が浮かぶ。
柔らかな首筋の感触、震える呼吸。
君が誰だったのか、もう思い出せない。
けれど今日もわたしは、眠りの底でその喉を求め、手を伸ばす。

(388文字)

メルトダウン、と聞いてこれしか思いつきませんでした。大好きな曲です。

表のお題はこちら⇩


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