【毎週ショートショートnote裏】扁平足和紙
身体に貼ると、その部位を理想の形にしてくれる和紙があるらしい。取り扱っている紙屋は、口コミから簡単に見つかった。
最初は扁平足を治した。和紙を足裏に貼って眠ると、一晩で土踏まずができた。感激して、何度も足裏を撫でた。
次は鼻を高く、その次は目を大きく。おちょぼ口も治してもらって、脚と首はすらりと長く。手首にあったほくろも消した。
剥がした和紙は紙屋が黙って持ち帰った。なんでそんなことをするのかは、深く考えなかった。
理想の自分に近づくほど、直したいところが増えていく。髪の癖、頬の肉、背中の丸み。
和紙を貼って眠れば、翌朝には見違えるようになっていた。
ある日、お尻の形を整えたくて紙屋を訪ねた。けれど呼んでも返事がない。
戸を押して奥に入ると、人影が並んでいた。
よく見ると、そのすべては和紙でできた人形だった。
そのうちの一体に目を奪われた。低い鼻、扁平足、手首のほくろ。
見慣れた姿ーーーそれは、昔の私だった。
声も出せずに立ち尽くすと、人形の首がガクンと傾げ、顔がこちらに向いた。
気に入らなくて変えてもらった、懐かしいおちょぼ口がキリキリと動く。
「ーーー次は、どこをくれるの?」
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