円安・物価高でも、なぜ"体験"にお金を使うのか——2026年夏の海外旅行に見る「メリハリ消費」とベルトラの立ち位置
2026年の夏、海外旅行を取り巻く環境は、決して追い風とは言えません。歴史的な円安、続く物価高、そして世界的な観光地の混雑(オーバーツーリズム)。旅行のハードルは、ここ数年でむしろ上がっていると言えます。
にもかかわらず、当社『ベルトラ』が取り扱う現地体験ツアーへの支出は、高い水準を保ち続けています。本記事では、7月1日に公表したベルトラが公表した「2026年 夏の海外旅行動向調査」のデータをもとに、これが当社にとって、そして投資家の皆様にとって何を意味するのかを紐ときます。
データ①:体験単価は高い水準で定着している
まず、現地体験アクティビティの平均顧客単価です。2026年夏は約2.7万円で、これは前年同時期の水準と肩を並べています(※)。
※6月時点の速報値。直前に低単価のチケット等の予約が積み上がる関係で、シーズン終了後には実績数値は落ち着く傾向があります。2025年の5月時点の速報の平均顧客単価は約2.76万円。
2年続けて"速報段階で約2.7万円"という高い水準に並んでいる——つまり体験単価が一過性ではなく高い水準で腰を据えつつある、と読むのが妥当だと考えています。逆風下でも変わらない「底堅さ」が注目すべき点です。
データ②:これは「値上げ」ではなく、旅行者の「選択」
加えてデータが示すのは、旅行者自身が体験消費への予算を引き上げる選択をしているという事実です。「昨年の夏と比べて今年の旅行予算はどう変化したか」という問いに対し、「増えた(かなり+やや)」と答えた人は49%。「減った」と答えた人(9%)を大きく上回りました。
単純に財布の紐が緩んだわけではありません。費用を抑える工夫の1位は「ポイントや割引の活用(約44%)」。その一方で「妥協せずお金をかける」対象は「観光・アクティビティ(約55%)」「食事(48%)」が上位を占めました。日常の出費はポイ活で賢く節約し、浮いたぶんを「一生モノの現地体験」に振り向ける——この「メリハリ消費」こそが、体験単価を支えています。


データ③:誰がその単価を払っているのか
回答者の年代構成も注目です。40代以上が全体の約93%を占め、なかでも50代と60代以上だけで約74%に達します。
時間と可処分所得に比較的余裕のある「ミドル・シニア層」が、当社の海外体験予約の中心的な顧客基盤である——この事実は、いまの高水準の支出が気まぐれではなく、確かな支払い能力に支えられていることを示唆します。この層の「今しかできない体験に投資したい」という意欲は底堅く、実際にアンケートの自由回答でも、憧れの絶景や美食を目指す前向きな声が数多く寄せられました。
「人生で一度は見ておきたい絶景マチュピチュに行きます。今日が一番若い日なのでエイッと航空券を予約しました」(50代)
「母とサグラダファミリアに行く予定」(40代)
「美食な街での食べ歩きとスイスでのトレッキング」(60代以上)
「7年ぶりのハワイを楽しむ」(40代)
高まる体験ニーズの受け皿となるベルトラ
旅行者の体験志向という追い風が、ベルトラでは当社の単価という形で表れているのは何故でしょうか。
第一に、ベルトラが「現地での体験」に特化したプラットフォームだからです。世界約9,000社の催行会社とつながり、約23,000のツアーを揃える独自の在庫——そこには、モン・サン・ミッシェルやグランドキャニオン日帰りツアーのように、高単価の体験が数多く含まれます。旅行者が「体験にお金をかけたい」と思ったとき、その受け皿になれる品揃えを持っていることが、単価の底上げに直結します。
第二に、そしてより構造的な点として、「事前に予約・確約しておく」という行動様式の定着があります。今回の調査では、混雑対策として約66%が「日程をずらす」、約43%が「事前にオンラインで予約・チケットを確保する」と回答しました。これは単年の現象に留まらず、昨年の夏レポートでも、観光ツアー(+4pt)や空港送迎(+1.5pt)、事前のチケット確保(+1.7pt)、貸切ツアー(+0.7pt)といった「事前手配・安心志向」の予約が軒並み伸びていました。現地での待ち時間や完売リスクを避け、体験を前もって"確約"しておく——このタイパ重視の流れが強まっていることは、まさに事前予約プラットフォームである当社にとって、構造的な追い風と言えます。

(こうした収益構造の話は、以前の記事「『単なる旅行OTAではない』——外部アナリストが立てた3つの問いと、私たちの答え」で、利益率やAI時代の競争力という観点から掘り下げています。あわせてお読みいただけますと幸いです。)
おわりに
今年の予約ランキングは、上位4エリア(ハワイなどの王道)が堅調を保つ一方、5位には昨年のグアムに代わってタイが新たに入りました。「絶対に行きたい王道」と「賢く楽しむ近場アジア」への二極化——この幅の広い需要を1つのプラットフォームで受け止められる在庫の厚みも、当社ならではの強みです。

逆風のなかでも旅行者が「体験」の価値を重視し、その支出水準が高止まりしているという事実は、私たちのビジネスの土台をあらためて確かめさせてくれるものでした。今後も、ベルトラならではの視点で市場動向を読み解いてまいります。
本記事は、2026年7月1日公表のプレスリリース「【2026年 夏の海外旅行動向調査】」および当社の予約データ・過年度の夏レポートに基づいて作成しています。(調査期間:2026年6月13日〜20日、ベルトラ会員294名を対象にインターネットで実施。)単価等の予約データは記事公開時点の速報値であり、今後変動する可能性があります。
本記事は当社事業に関する情報提供を目的としたものであり、将来の業績を示唆・約束するものではなく、また特定の投資行動を勧誘するものではありません。

