整備士見習いから学ぶ、伸びる人は考えて動ける人材
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自ら考えて動ける人は、指示を待たない
高西の記事でたびたび登場する後輩に、クロツナ君というメカニック見習いの後輩がいる。
ありがたいことに高西に憧れて地元から愛知へ引っ越してきて、整備を学びながらアルバイトとして現場に立っている若手だ。
彼と一緒に過ごす中で感じるのは、彼がとにかく「自分で考えて動ける」人間だということだ。
サーキットに行く際も、こちらから細かく指示を出すことはほとんどない。
走行準備、工具の段取り、空気圧調整の補助、片付けまで、今この瞬間に何が必要かを自分で判断して動いている。
こちらが「次、これやるか」と考えている頃には、すでに準備が終わっていることも多い。
こういう人は、教える側として本当にやりやすい。
なぜなら、「何をやれ」と言わなくても、「なぜそれをやるのか」を理解しようとするからだ。
指示待ちの人間は、「言われたことはやる」が、「言われていないことはやらない」。
「やれない」「考えられない」のほうが正しいかもしれない。
一方で、後輩のようなタイプは、「今、この場で自分が何をすれば一番役に立つか」を常に考えている。
この差は、経験年数や年齢の差ではない。
完全に思考の癖、仕事への向き合い方の差だと感じている。
情報を拾う力は、現場でしか鍛えられない
先日、スパ西浦モーターパークでセットアップ走行した際の話だ。
サーキット走行前にはブリーフィングがあり、スタッフからその日の路面状況や注意点が共有される。
気温、路面温度、タイヤの温まりにくさ、注意すべきポイントなど、安全に直結する重要な情報が多い。
その日はマイクを使ったブリーフィングで、スピーカー越しに場内全体へアナウンスされていた。
後輩はその時間、車両の走行準備をしてくれていたため、スムーズに走行時間へと移行できた。
そして走行後に彼がまとめてくれていたメモを見て驚いた。
こちらから「ログを取っておいてくれ」と一言も言っていないにもかかわらず、各ピットインごとに行ったセットアップ変更が、すべて時系列で記録されていた。
どのタイミングで空気圧をどう変更したのか、脱着したパーツや変更した減衰など。
走っている本人ですら曖昧になりがちな部分が、後から見返せる形で整理されていた。
これらはすべて、指示されたからやったことではない。
「あとで役に立つかも」と自分で考えた結果の行動だ。
さらに驚いたのは、ブリーフィング時に話されていた路面温度まで記録されていたことだ。
彼自身はブリーフィングを直接受けていないにもかかわらず、作業をしながらスピーカーの内容に耳を傾け、「これは重要な情報だ」と判断して拾っていたということになる。
これは単にメモがマメという話ではない。
何が重要で、何が後につながる情報なのかを自分で考えていなければ、そもそも記録しようという発想自体が出てこない。
現場でアンテナを張り、全体を見ながら動いている人間でないとできない行動だと、強く感じた。
何気ない行動に、その人の思考が表れる
もう一つ、車や整備とは直接関係ないが、強く印象に残っている話がある。
彼は学生なので、生活は基本的にアルバイト収入でやりくりしている。
普段飲む水も、毎回コンビニで買うのではなく、箱でまとめ買いしてコストを抑えているそうだ。
彼が選んでいたのは「いろはす」だった。
ここまでは、特別な話ではない。
いろはすを選択した理由を聞くと、「高西がいつもサントリーの天然水を飲んでいるから、一緒にいる時に飲み物が判別できるように」とのことだった。
正直、ここまで考えて水を選ぶ人はほとんどいないと思う。
私自身もやらないし、気にしたこともない。
ただ、この話を聞いた時に感じたのは、「常に周りを見て、自分の行動でより良くできるか考えている」という点だ。
仕事でも生活でも、判断基準が一貫している。
普段から私は、「すべての行動に意味を持て」「何も考えずに動くな」と言っているが、飲み水ひとつにまでそれが反映されているとは思っていなかった。
もっとも、高西を恐れて私にだけアンテナを張っていた可能性がゼロとは言わない。
だが、それも含めて「相手を見て行動をする」「環境に合わせて最適解を選ぶ」という点では、十分に優秀だと思っている。
若手だけの話ではない。
年齢や立場に関係なく、自分は日々の行動をどこまで考えてやっているか。
水を選ぶ、メモを取る、話を聞く。
どれも些細なことだが、積み重なれば確実に差になる。
今回の話は、後輩から学ばされた話であり、
同時に、自分自身への戒めでもある。
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