読書🟢遠野物語/柳田國男
感想
夏向けの小説といえば、怪談物などがおススメかもしれませんが、民俗学者の柳田國男先生の『遠野物語』なんていかがでしょうか?これは岩手県の遠野地方にまつわる不思議な話がつづられた短篇集です。本書は一昨年、いわゆる新訳で刊行されたもので、とても読みやすい文章なのでおすすめです。
山男、山女、ざしきわらし、さまよう死人、河童、魔法使い、山の神など多様な怪人がどんどん出てきて興味は尽きません。それぞれのお話が相当簡潔に短くまとめられているのも良いし、注釈も充実していて本文の理解を深める大きな助けとなりました。アイヌ語にゆかりの土地があるのも興味深かったですね。意外だったのは、遠野市の山間だけでなく山田町や吉里吉里などの湾岸地方も舞台となっていて案外広範囲にわたっていました。
エピソードでは第17章が良かったですよ。三浦家の奥さんが無欲だったために山奥の不思議な屋敷(マヨイガ)のお椀で資産家になる話です。第18章との連作になっていて、人間の欲深さを暗示していました。

